「短期記憶」における「短期」は正しくはどれくらいの時間を指すでしょうか?

理学療法評価
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「短期記憶」における「短期」は正しくはどれくらいの時間を指すでしょうか?

理学療法士・作業療法士であれば認知症を合併したクライアントを担当する機会は少なくないと思います.

認知症の症状は中核症状と周辺症状に分類されますが,中核症状のうち日常生活上も問題となるのが記憶障害です.

記憶については「○○さんは短期記憶が…」なんて表現をする理学療法士・作業療法士は多いと思いますが,この「短期記憶」における「短期」とは正しくはどのくらいの時間を指すものでしょうか?

「短期記憶」における「短期」は正しくはどれくらいの時間を指すのかについて考えてみたいと思います.

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短期記憶とは?

短期記憶というのは保持期間が数十秒程度の記憶を指します.

一般的には20秒から1分程度の記憶を指します.

記憶の保持時間だけではなく,一度に保持される情報の容量の大きさにも限界があることが特徴です.

つまり昨日のことを覚えていないなんていうのは短期記憶じゃないわけですね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長期記憶とは?

短期記憶に含まれる情報の多くは忘却され,その一部が長期記憶として保持されます.

この保持情報が長期記憶として安定化する過程は記憶の固定化と呼ばれます.

長期記憶は保持時間が長く,数分から一生にわたって保持される記憶です.

短期記憶とは異なり,容量の大きさに制限はないことも特徴です.

 

 

 

 

 

 

 

 

臨床神経学領域における記憶の分類

短期記憶・長期記憶について述べましたが,臨床神経学領域では記憶は即時記憶・近時記憶・遠隔記憶に区分されることがおおいです.

 

 

 

 

 

 

 

 

即時記憶とは?

即時記憶は情報の記銘後すぐに想起させるもので想起までに干渉を挟まない記憶を指します.

臨床場面では数字系列の復唱などで評価を行います.

HDS-Rの1回目の「さくら・ねこ・でんしゃ」の復唱をイメージすると分かりやすいでしょう.

 

 

 

 

 

 

 

 

近時記憶

近時記憶は即時記憶より保持時間の長い記憶です.

保持時間の長さについて明確な定義はありませんが,一般的には数分~数日を指します.

情報の記銘と想起の間に干渉が介在されるため,保持情報が一旦意識から消えることが特徴となります.

臨床場面では前夜の食事内容を尋ねる,単語の遅延再生などで評価することが多いです.

HDS-Rの2回目の「さくら・ねこ・でんしゃ」の再生をイメージすると分かりやすいでしょう.

心理学における分類との違いは,短期記憶と長期記憶が保持時間のみで区分されるのに対し,即時記憶と近時記憶が記銘から想起までの干渉の有無によって規定されるという点が重要です.

 

 

 

 

 

 

 

遠隔記憶

遠隔記憶は近時記憶よりもさらに保持時間の長い記憶を指します.

その期間は数十年にもわたるものです.

臨床場面では個人の生活史(冠婚葬祭や旅行など)を尋ねることが多いでしょう.

 

 

 

 

 

 

 

 

理学療法士・作業療法士が想定する短期記憶は近似記憶のことを指すことも多い

上述したように短期記憶障害というのは20秒から1分程度の記憶が障害されている状況を指します.

実際には理学療法士・作業療法士が想定する短期記憶は近似記憶のことを指す場合も多いのではないでしょうか?

つまり数分から数日の記憶を意味するような場合です.

靴を持ってきてもらうように昨日伝えたのに覚えていなかったとか,トイレへ行く際にはナースコールを押すように伝えたのに一人でトイレへ行っていたとかこういった場合は,数十秒の記憶というよりは数分以上の記憶ということが多いと思いますので,障害されているのは短期記憶と表現するよりも近似記憶と表現するのが妥当でしょうね.

 

今回は「短期記憶」における「短期」は正しくはどれくらいの時間を指すのかについて考えてみました.

細かいことではありますが言葉の定義ってとても重要です.

使用する以上は適切な意味を理解していないと,共通の認識ではなくなってしまいますからね.

短期記憶と近似記憶という言葉をうまく使い分けられるとよいですね.

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