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新型コロナウイルス感染拡大で臨床実習指導者講習会はオンラインでもOKに?
このブログの中でも何度もご紹介させていただきましたが,指定規則の改定に伴い理学療法士・作業療法士の臨床実習も変わろうとしております.
今後は臨床実習指導にあたって臨床実習指導者講習会の受講が義務付けられたわけですが,新型コロナウイルス感染拡大に伴い全国の都道府県で臨床実習指導者講習会が延期されている状況です.
このような状況を受けて日本理学療法士協会・日本作業療法士協会は厚生労働省にオンラインでの研修会開催の打診をいたしました.
日本作業療法士協会では既にオンラインでの講習会の開催が行われております.
新型コロナウイルス感染拡大で臨床実習指導者講習会がオンラインでもOKになった件について考えてみたいと思います.
日本作業療法士協会からの通達
謹啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます.日頃から一般社団法人日本作業療法士協会(協会)の活動にご支援,ご協力を賜り心から感謝申し上げます.
さて,昨年度から開催いたしております厚生労働省(厚労省)指定臨床実習指導者講習会(講習会)におきましては,各士会の多大なご協力を賜り深謝申し上げます.ご存じの通り,現状では COVID19 の感染拡大により,対面での講習会開催が中止となっております.そのような中,オンライン会議システム(ZOOM)を用いた講習会の開催を厚労省に認めて頂き,一般社団法人富山県作業療法士会主催で 6 月 6 日(土),7 日(日),13 日(土),14 日(日)の 3.5 日間で開催致しました.そして,対面の講習会に匹敵する成果が得られたのみならず,遠隔による講習会開催が十分に可能であることを実証頂きました.さらに,厚労省には一般社団法人東京都作業療法士会が 7 月に ZOOM を用いた 2 日間の講習会開催を認めて頂きました.
この間,教育部養成教育委員会が中心となって,「テレビ会議システム(ZOOM)を用いた厚生労働省指定臨床実習指導者講習会の手引き(β版)」を作成し,6 月 22 日に都道府県作業療法士会へお送り致しました.この際には,一般社団法人長崎県作業療法士会からご提案を頂き,「Googleドライブを活用した グループワーク方法 の提案」を合わせてお送り致しました.各士会が独自に工夫され,この難局を乗り越えようとされております.これからも,協会と各士会が一丸となって,新たな講習会や研修会開催の方策を作り上げて参ります.
今年度の当該講習会開催にあたっては,COVID19 の感染状況の遷移が不明であること,厚労省指定の講習会であること,参加者の安全性を最優先することなどを鑑みて,オンライン開催で進めてまいります.
つきましては,各士会主催の当該講習会に当たっては,オンライン開催を前提に計画頂きますようお願いいたします.なお,来年度以降については,12 月常務理事会で判断し,再度皆様にご報告する予定です.何卒ご了承願います.
私も知らなかったのですが既に日本作業療法士協会ではZOOMを用いたオンラインでの講習会が開催されております.
理学療法士の臨床実習指導者講習会
理学療法士の臨床実習指導者講習会についてどんな内容か振り返ってみたいと思います.
理学療法士の臨床実習指導者講習会ですが,各都道府県士会から数名(都道府県規模によって人数に傾斜配分がなされておりました)が中央講習会へ参加し,中央講習会の内容を各都道府県士会へ持ち帰って話すといったシステムとなっております.
講習会の内容ですが,講義が7時間,演習が9時間の計16時間のスケジュールとなっております.
丸2日の非常に厳しい研修会となっており,遅刻・早退・欠席は認められません.
16時間の講習会を受講すると,最後に厚生労働省から修了証が発行される流れとなっております.
演習9時間
演習は10名ごとのグループで行われます.
都道府県士会から中央講習会に参加した理学療法士がファシリテーターとなって6回の演習を行いました.
ハラスメントに関するもの,実習目標に関するもの,実習プログラムに関するもの,実習指導者評価に関するものと内容も多岐にわたっており,個人的には演習については,他施設の理学療法士と臨床実習指導についてさまざまな意見交換ができ,非常に有意義な時間を過ごせたと思っております.
演習ではグループワークで取りまとめた内容を,グループごとに発表するような形式となっており,他のグループで協議された内容についても把握できるので,非常に参考になる内容も多かったです.
講義7時間
問題は講義です.
講義は指定規則の改定,人間関係,ハラスメント,実習における水準に関する講義が1時間×4,実習プログラム立案,実習指導者評価に関する講義が1時間30分×2の計7時間のスケジュールです.
講師は都道府県士会を代表して中央講習会へ参加した理学療法士が務めるわけですが,基本的には日本理学療法士協会の教育部会が作成したスライドを棒読みする形式なので,聴講していても全く内容が伝わってきません.
講義内容をきちんと理解した上で,噛み砕いて説明して下さる講師の先生もいらっしゃいましたが,棒読みの講師が多いとTwitterの中でも話題になっておりました.
ただ個人的に思うのは,他人が作成したスライドで話すほど難しいことはありません.
スライドの流れにしても何を意図してそのスライドを作成したかといった行間が読めなければ,ただの棒読みになってしまうわけです.
正直,7時間を耐えるのはかなり大変です.
居眠りしている理学療法士が多かったのも実際です.
日本理学療法士協会は対面研修の方針?
都道府県理学療法士会の方針なのかもしれませんが私が知る限り複数の都道府県理学療法士会で対面研修の予定が既に立案されているようです.
ただ対面研修となれば当然所属施設が参加を規制することも十分に考えられますので,結果的に講習会修了者は増えずに養成校も実習地確保に困る気がするんですが…
これが協会や都道府県理学療法士会の方針であるとするのであれば考え直さないと困ったことになりそうですよね?
オンラインだと環境面で研修会参加が難しい理学療法士もいるのかもしれませんが,コロナ禍にはそれ以上に対面だと感染予防の観点から参加できない理学療法士の方が多い気がするのですが…
新型コロナウイルス感染拡大で臨床実習指導者講習会がオンラインでもOKになった件について考えてみました.
研修内容としてはコロナ禍でなくともオンラインで十分な研修だと考えておりますが,問題はグループワークをオンラインでどのように行うかですね.
ZOOMにもグループワークが行える機能が搭載されているようですので,このあたりをうまく使って全国一律でオンラインでの研修会開催が可能となれば受講者も増え,臨床実習受け入れ施設も増え,養成校・指導者ともにWIN-WINだと思いますけどね…
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