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疼痛評価のOPQRST VASやNRSだけで疼痛評価していませんか?
先日もご紹介させていただきましたが痛みの定義が41年ぶりに変わりました.
理学療法士・作業療法士が行う機会の多い評価として疼痛の評価が挙げられます.
運動器疾患はもちろんのこと中枢神経疾患のクライアントや内部障害関連の疾患を有するクライアントにおいても主訴として疼痛を訴えるクライアントは少なくないと思います.
疼痛の評価といえばVAS(Visucal Analogue Scale)やNRS(Numerical Rating Scale)等の疼痛の強さの評価が行われることが多いですが,疼痛の強さだけの評価では不十分です.
今回は疼痛評価のOPQRSTをご紹介させていただきます.
疼痛評価のOPQRSTとは?
疼痛ひょかのOPQRST法とは,疼痛に関して問診する際の方法の1つです.
上述したように疼痛の評価にあたっては疼痛の強さにとどまらず,疼痛が出現するタイミングであったり,疼痛の性質であったりさまざまな側面から疼痛を評価することが重要となります.
このOPQRST法を用いることで疼痛に関する問診に必要な要素を漏らすことなく聴取することが可能となりますので,理学療法士・作業療法士であればぜひ知っておきたい方法です。
Onset(開始)
まず重要なのは疼痛がいつ始まったかです.
またいつが疼痛のピークだったのかといった視点も重要です.
疼痛の開始時期を明確にすることで疼痛が急性疼痛なのか慢性疼痛なのか,そして疼痛の原因を判断する上でも有益な情報が得られます.
疼痛開始時期がかなり昔からの場合には既に慢性疼痛へ移行している可能性は高いと考えられますので疼痛に対する包括的なアプローチが必要となります.
Palliative・Provocative(寛解・増悪)
現在出現している疼痛に関して軽減・増悪があるかといった疼痛の変動を確認する作業も重要です.
日差変動や日内変動を明確にすることで疼痛の原因を考えることにもつながりますし,理学療法士・作業療法士がクライアントに対して行う日常生活指導にも役立てることができます.
Quality(質)
疼痛の性質についても評価しておくことが重要となります.
一般的にぼやっとしたような広範な疼痛の場合には関連痛が疑われますし,局所的な鋭利な刃物でさしたような疼痛というのは疼痛が出現している局所が疼痛の原因となっている場合が多いです.
Region(部位)
疼痛の部位については疼痛の強さと合わせて評価している理学療法士・作業療法士が多いと思いますが,疼痛の原因を考える上で疼痛部位の確認は欠かせません.
X線写真というの画像データや他の理学所見の結果を統合した上で,疼痛の原因が何なのかを関連痛も視野に入れた上で考えることが重要です.
Severity・associated Symptoms(随伴する症状)
疼痛の強さと合わせて,麻痺・感覚異常等の随伴症状も確認しておくとよいでしょう.
運動麻痺や感覚麻痺を合併している場合には中枢性の疼痛や末梢神経由来の疼痛が疑われます.
Time course(時間経過)
疼痛が持続性のものか周期的なものかを聴取することも重要です.
1日の中でどのように変動するのかといった日内変動と合わせて,1週間の中でどのように変化するのかといった日差変動も考慮することが重要です.
疼痛評価を行う際の問診のコツ
ここでは先のOPQRSTに関してどのように聴取を行えばよいかをご紹介させていただきます.
O:いつから痛くなりましたか?
P:痛みが強くなったり,弱くなる姿勢や動きがありますか?
Q:どのような痛みですか?
R:他の部位まで痛みが広がりますか?
S:痛みの強さはどのくらいですか?しびれた感じや動かしにくさはありませんか?
T:1日の中で痛みは変化しますか?
今回は疼痛評価のOPQRSTについてご紹介させていただきました.
この方法を用いることで,問診を通じて漏れのない情報を得ることができ,より意味のある疼痛の評価につながると思います.
理学療法士・作業療法士の皆様も疼痛の評価を行う際の参考にしていただければと思います.
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