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坐位と座位って何が違うの?
理学療法士・作業療法士が「坐位」・「座位」といった用語を用いる機会は少なくないと思います.
座るということを意味するこれらの用語ですが,「坐位」・「座位」には違いがあるのでしょうか?
また理学療法士・作業療法士が「坐位」・「座位」を用いる場合には,どちらを用いるのが適切なのでしょうか?
今回は理学療法士の視点で「坐位」・「座位」の違いについて考えてみたいと思います.
「坐位」・「座位」の意味するところは?
「坐位」・「座位」の意味は同じですが,いずれも「座る」という意味です.
専門書などでは「坐位」と表記してあることもありますが,一般的に「座位」と表記されていることも多いと思います.
元々は「坐」は動詞,「座」は名詞に用いられてきたものですが,「坐」が戦後の当用漢字~常用漢字に入らなかったために代用で「座」が動詞にも用いるようになりました.
坐位と座位って何が違うの?
上述したように,もともとは「坐」がすわる動作を表し,「座」は座席など“すわる”「場所」のことを表わす漢字でした.
「坐」は「人+人+土」で,地面に臀部をつけることを示しています.
「座」は「广(いえ)+坐」で家の中で人が座る場所を表す漢字です.
昭和31年7月5日に国語審議会が報告した,当用漢字表にない漢字を含んで構成されている漢語について、同音の別の漢字に書き換えるための指針の「同音の漢字による書きかえ」で「坐」が省かれ,「座」が採用されたわけです.
そのため「座」は「すわる」という動作と,すわる場所「座席」の意味でも使われるようになりました.
結局どちらを用いるのが正しいの?
「坐」が戦後の当用漢字~常用漢字に入らなかったために代用で「座」が動詞にも用いるようになったといった経緯を考えると,理学療法士・作業療法士が「坐位」・「座位」といった表現を用いる場合には,「座位」といった表現を用いるのが適切だと考えられます.
理学療法士・作業療法士が「坐」を使う場合には,坐骨結節のような坐骨に関連する用語に用いる際くらいでしょうか?
私も今回の記事作成を機会にいくつかの運動学の書籍を確認してみましたが,基本的には「座位」と表記されております.
ですのでカルテには「坐位」と記さずに,「座位」と記すのが正しいということになりますね.
今回は理学療法士の視点で「坐位」・「座位」の違いについて考えてみました.
座位といった用語はさまざまな用い方がなされますよね.
椅子に座った姿勢を表現する椅座位(いざい)であったり,椅子やベッドなどの端に足を下ろして座った姿勢である端座位(たんざい)であったり,理学療法士・作業療法士であれば車椅子座位とか長座位とかそういった表現も良く用いると思います.
「坐位」ではなく「座位」を用いるのが正しいといったお話でした.
「座位」の方が上に家を意味する「广」がついておりますのでADL感も出ますしね.
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