メルカリで出品されている理学療法・作業療法関連の裁断本って違法じゃないの?

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メルカリで出品されている理学療法・作業療法関連の裁断本って違法じゃないの?

理学療法士・作業療法士の皆様もメルカリを使用されている方は少なくないと思います.

私もメルカリを使用して理学療法関連の書籍を購入したことがありますが,メルカリに出品されている理学療法関連の書籍の中で特に目立つのが裁断済の書籍です.

裁断済の書籍というのは書籍を裁断してスキャンしてデータだけを保存したものを出品しているケースが多いわけですがこれって違法じゃないのでしょうか?

今回はメルカリで出品されている理学療法・作業療法関連の裁断本って違法じゃないのかについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メルカリにおける裁断済の書籍

 

 

これはメジカルビュー社の膝関節理学療法マネジメントといった書籍です.

メルカリにこれだけ中古の書籍が出ているってすごいですね.

書籍が売れないわけですね.

実はこの中の大部分が裁断本だったりするのでさらに驚きです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ裁断する必要があるのか?

 

 

 

これは書籍をスキャンする上で効率的にスキャンを行うことのできるScansnapといったスキャナーです.

このスキャナーを用いれば300頁以上の書籍も数分でデータ化できます.

こういったスキャンしたデータを「iPad」や「Kindle」など電子書籍の閲覧に適した端末を用いて閲覧するわけですね.

いわゆる自炊というやつです.

自炊というのは自らの蔵書を裁断機で切断し,スキャナーを使ってデジタルデータ化する行為を指します.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自炊は違法ではないのか?

自炊をめぐっては,書籍の裁断やスキャンを代行する「自炊代行サービス」までもが登場しましたが,同サービスは著作権法に違反するという声も多いのが実際です.

ここでは自炊が違法ではないのかについて考えてみたいと思います.

 

個人で電子書籍を「自炊」する行為は著作権法違反になるのか?

まず結論から申し上げますと,個人利用であれば現在のところ適法です.

そもそも自分の蔵書を裁断する行為については著作権法で問題になることはまずありません.

自分の所有物ですので裁断しようがどうしようが個人の自由というわけです.

また書籍をスキャンする行為については,著作権法で「複製」に該当するわけですが,私的使用のための複製の範囲内であれば適法ということになります.

図書室で私的使用のために書籍をコピーするのと同じことです.

著作権法にも,私的複製について「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とするときは,基本的にその使用する者が複製することができる」と定められております.

こうした規定を考えると,自分の蔵書を自分で利用するために自ら裁断したりスキャンする行為は,私的複製の範囲内として適法と見なされるわけです.

もちろんスキャンしたデータを自分のiPadやKindleに取り込む行為も法的には何ら問題はありません.

ここでもう1つのポイントは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用することも私的複製の範囲内であるといった点です.

そのためスキャンしたデータを家族や数人の親しいグループ内で共有するというのもOKということになります.

この共有というのはあくまで自分のiPad等を用いてデータを一緒に見るとかそういった範囲内のものですので,データをメール等を用いて受け渡したりというのは,新たな複製をともない私的複製とは認められません

そのため違法に当たりますので注意が必要です.

USBメモリを通じてデータをコピーするなんていうのも新たな複製を伴うことになりますのでもちろん違法です.

例えばデータが保存されたUSBメモリごと知人に譲渡する(デジタルコピーを行わないで譲渡する)のは適法になります.

つまりデータを新たにコピーすると違法になると考えておくとわかりやすいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裁断済みの書籍をメルカリでで販売するのは?

さて気になるのはメルカリ等のオークションサイトで裁断した書籍を販売する行為は違法なのでしょうか?

これは基本的には違法とする法的根拠が今のところ存在しないようです.

裁断済みの書籍というのは,裁断されているだけで基本的には出品者の所有物と考えられますので,これを譲渡する行為は現行法下では適法となります.

自分の所有物なのでやぶれていようが売るのは自由ということになります.

ブックオフ等の古本屋で売るのと同じわけです.

では裁断してスキャンしてデータだけを抜き取ったものを販売するのはどうでしょうか?

これも今のところ違法には当たらないようです.

音楽CDなんかをコピーして販売する行為は昔から一般的に行われておりますので,書籍の場合もそれと同じように考えればい方には当たらないと考えられます.

注意が必要なのは,裁断済みの書籍のPDFファイルをメルカリなどで販売するのは違法となります.

これは考えればわかることですが,他人に販売する目的で書籍をPDFファイルに変換する行為は私的複製とは呼べませんので,メルカリやヤフーオークション等でもデータの販売というのは禁止されている行為になります.

録画したテレビ番組をコピーしたDVD-Rを権利者に無断で販売するのが複製権・譲渡権侵害になるのを考えればわかりやすいですね.

 

今回はメルカリで出品されている理学療法・作業療法関連の裁断本って違法じゃないのかについて考えてみました.

こう考えると書籍って売れるわけありませんよね…

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のマーケットってたかだか20万人規模ですし,その中でこういった裁断・スキャン・転売といった流れがあれば,残念ながら売れる書籍というのは学校の教科書くらいでしょうね・・・

そうはいってもどうしても手元に置いておきたい書籍はスキャンなんてしませんけどね…

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