目次
日本理学療法士協会が監修した腰痛診断に関する漫画が話題
2020年7月17日が何の日だったかご存知でしょうか?
2020年7月17日は理学療法の日だったんですね.
先日,理学療法の日に日本理学療法士協会が読売新聞に数千万円をかけて日本理学療法士協会の宣伝広告を出したわけですが,その裏で(表で?)日本理学療法士協会がTwitter上での理学療法士マンガの連載を開始しました.
これはこれで面白い企画なのですが漫画の内容が波紋を読んでおります.
今回は日本理学療法士協会が監修した腰痛診断に関する漫画について考えてみたいと思います.
Twitter上に掲載された漫画
これが掲載された漫画です.
これの何が波紋を呼んでいるのでしょうか?
屈曲型腰痛と伸展型腰痛に分類するまでは良いが…
腰痛の分類はさまざまですが,昔から屈曲型腰痛と伸展型腰痛に分類する方法というのは簡便でよく用いられてきた手法です.
屈曲型腰痛というのは殿筋群やハムストリングスの短縮によって,体幹前屈動作における骨盤前傾が制限され,疲労・短縮した腰背部の筋が遠心性収縮を強いられて増悪するタイプを指します.
日常生活における愁訴としては靴下を履いたり,爪切りをしたりといった股関節の深屈曲を要求される動作や椅子に座る際に疼痛が出現することが多いです.
多くは腰背部筋群・殿筋・ハムストリングの緊張緩和と前屈運動における骨盤前傾の誘導によって運動時痛を軽減することができます.
伸展型腰痛の場合は,腸腰筋や大腿筋膜張筋など股関節屈筋の短縮や過緊張があり,体幹を伸展させる際に骨盤前傾・腰椎前弯が増強して疼痛が増悪するタイプの腰痛を指します.
こういった分類は私自身も使うことはありますが,屈曲して疼痛が強くなる場合は伸展しましょう,伸展して疼痛が強くなる場合は屈曲しましょうって,これは一般向けにしてもあまりにも短絡的ではないでしょうか?
Red flagsも考慮されておりませんし,日本理学療法士協会が腰痛を2つのタイプだけで発信して大丈夫なのかといった指摘もあります.
理学療法士が診断している?
また今回問題視されているのは漫画の中で「診断」という言葉が使用されている点です.
あくまでタイプを診断するということではありますが,理学療法士が腰痛を診断するといった誤解を与えかねないところが波紋をよんだ1つの理由だと思われます.
また新型コロナウイルス感染拡大に合わせて電話で遠隔介入を行っておりますが,これが電話口で診断に限りなく近いことをしているといった指摘もあります.
整形外科に問い合わせ電話が殺到しないか?
この漫画の意図というのはある程度理解出来ますが,病院勤務で多忙な理学療法士,または整形外科へこの記事を見たクライアントから電話がかかってこないかといった心配もあります.
今回は日本理学療法士協会が監修した腰痛診断に関する漫画について考えてみました.
漫画で一般の方にわかりやすくというのは非常に良いことだと思いますが,今回の件を考えると漫画として取り扱う内容に関しても難しいなと改めて感じました.
コメント