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即時効果が出せない理学療法士・作業療法士はプロじゃない?
皆さんの職場にもこんな理学療法士・作業療法士っていませんか?
理学療法士・作業療法士だったらきちんと結果出さないと
即時効果出せないと理学療法士・作業療法士として失格だよ
こんなこと言ってる理学療法士・作業療法士ってけっこう多いですが,これって本当でしょうか?
今回は即時効果が出せない理学療法士・作業療法士はプロじゃないといった考え方について考えてみたいと思います.
徒手療法の世界に多い即時効果を重要視する理学療法士・作業療法士
特に即時効果を重要視する理学療法士・作業療法士って徒手療法の業界に多く印象を持っております
徒手療法は特殊な魔法でもなんでもありませんが,徒手療法を特殊な魔法か何かと勘違いしていらっしゃる理学療法士・作業療法士って少なからずいると思います.
即時効果が出せないとプロではないなんて発言は,そもそも病態自体をあまり理解していないのではないでしょうか?
病態自体を理解していれば,徒手療法によって即時的に効果が出る症例もいれば,いくら徒手療法を行っても即時的な効果が得られない症例も存在します.
即時効果を出せないとプロじゃないといった考え方をされる理学療法士・作業療法士というのは,こういった病態を全く無視していることが多いのではないでしょうか?
そもそも何が効果か?
最近論文が増えているのがMeaningful clinically important differenceに関する論文です.
Meaningful clinically important differenceというのは介入による変化が臨床的に意味のある変化かどうかを判断するための閾値と考えると分かりやすいと思います.
例えばある介入によって膝関節屈曲可動域が5°改善した,歩行速度が0.1m/s改善したと主張してもそれは単なる誤差にすぎない可能性があるわけです.
介入による変化が誤差かどうかを判断する為には,Minimal detectable chageも考慮する必要がありますね.
こちらは臨床的な誤差というよりは数学的な誤差と考えると分かりやすいと思います.
即時効果がどうこう言っている理学療法士・作業療法士に限って,よくもわからないちょっとした変化を即時効果としている場合も少なくないです.
もちろんプラセボ効果も含めて考える必要がありますし,介入による変化がMeaningful clinically important differenceをこえるものかどうかはきちんと考慮する必要があるでしょう.
そもそも短時間でよくなるような病態であれば何やってもよくなるのでは?
1時間程度の理学療法士・作業療法士による介入で下肢の運動麻痺が劇的に改善したとしたら,これは不使用による負の可塑性か,元々末梢運動器が変異して中枢で生じた運動コマンドをモーメントに変換できていなかった可能性が高いと考えられます.
こういった場合,介入によって治ったというか,ただ単にポテンシャルを引き出しただけなんですよね.
もしかしたら他の介入でも変化したかもしれませんし,それを自分が治したというのは傲慢ですし,病態が全く見えていないと言わざるを得ないでしょう.
クライアントに何か変わりましたかって聞くのはやめませんか?
即時効果を重要視する理学療法士・作業療法士に多いのが,介入が終わった後にクライアントに対して「どこか変わりましたか?」とクライアントに問いかけるパターンです.
クライアントも「はい…なんか軽くなった気がします」なんて答えるわけですね…
これって一種の宗教ですよね.
これを即時効果ととらえるというのは非常に怖いと思います.
今回は即時効果が出せない理学療法士・作業療法士はプロじゃないといった考え方について考えてみました.
病態によっては効果が発言するまでに長期間を要する場合もあります.
またわれわれ理学療法士・作業療法士は病態を直すのではなく,回復を支援するといった認識を忘れてはならないと思います.
安易に「俺の治療で…」なんて言葉を使いたくないですね…
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