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今後求められるのはクライアントを型に当てはめてパターン化した理学療法
理学療法士・作業療法士の皆様も,先輩理学療法士・作業療法士または研修会の講師から,クライアントは1人1人異なるので,型にはめて考えることなく常に現象を引き起こす原因を考えろみたいな指導を受けたことがあると思います.
でもこれって本当でしょうか?
今回は型にはめてパターン化した理学療法こそが今後求められるといったお話です.
型にあてはめてパターン化した理学療法の何が悪いのか?
変形性膝関節症でこういった痛みのある方にはこういった理学療法が有効だとか,大腿骨頸部骨折のこの骨折型に対してはこういったアプローチが有効だとか,有効な理学療法をパターン化することに関してはさまざまな意見があると思います.
型に当てはめてクライアントを診療していては,クライアントも良くならないし,理学療法士・作業療法士としても成長できないなんて考える方も多いでしょう.
なぜその歩行時に膝関節痛が出現するのか,病態と関連付けながら原因を考えた上で,原因に対する理学療法アプローチを行うことは非常に重要です.
理学療法士の質の担保
今や毎年理学療法士が1万人以上増える時代です.
あまり質という言葉は用いたくありませんが,同じ資格を有する理学療法士も,研鑽している理学療法士から,何も考えずただただ働いている理学療法士までさまざまです.
こういった状況を鑑みるとこういった疾患でこういった症状があれば,こういった介入をしましょうといったある程度パターン化された介入も必要だと思います.
要は理学療法士の実力によってクライアントに対する運動療法の内容に差が出ないようにするためには,パターン化した理学療法も重要だと思います.
ある程度経験を積んだ理学療法士が,若い理学療法士にとにかく考えろといった指導をするよりも,こういった症例にはこういった介入が有効といった指導を行う方がクライアントにとって有益であることは言うまでもありません.
考える力すらない理学療法士に「自分でしっかり考えないと成長できないぞ」なんて指導するのは不毛な場合もあるでしょう.
病態をカテゴリー化する研究の進展
最近は因子分析であったり,クラスター分析であったり,クライアントを分類するタイプの研究が増えております.
phenotypeと呼ばれる型に分類して,その特徴を明らかにした上で,こういったタイプのクライアントにはこういった介入をといった研究ですね.
Clinical Prediction Ruleに基づく研究なんかもこのカテゴリー化に役立つ研究が多いと思います.
こういったクライアントの分類(classification)は評価バッテリーを用いて客観的に行われるわけですので,経験のある理学療法士が経験と勘で分類するわけではありません.
そう考えるとやっぱり理学療法士が対象とするクライアントをclassificationするような研究って今後ますます求められると思うんですよね.
京都大学の建内先生が公表された論文なんかまさにその1つだと思います.
変形性股関節症は3つのタイプに分類できる 京都大学建内先生の最新論文
今回は型にはめてパターン化した理学療法こそが今後求められるといったお話でした.
どうも理学療法士は型にはめて理学療法をパターン化することに関して否定的な意見を持たれる方が多いのですが,理学療法サービスの質の担保,標準的な理学療法の確立には,まずはクライアントを層別化して,その上で適切な理学療法を提供するといった流れが必要でしょうね.
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