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新型コロナウイルス陽性患者に対してリハビリテーションを実施すべきか?
言うまでも無くわれわれ理学療法士・作業療法士は医療保険・介護保険下では医師の指示の下にリハビリテーションサービスを提供することができます.
逆に言えば,医師から指示が出れば不要と思われるクライアントに対しても理学療法・作業療法を行うことになります.
もちろん医師に対して意見することは可能ですが…
新型コロナウイルス感染拡大状況下で新型コロナウイルス陽性患者に対して理学療法・作業療法サービスを提供している医療機関も少しずつ出てきているようです.
ただこれって非常に危険ですよね?
新型コロナウイルス感染陽性患者に対してリハビリテーションを実施すべきかについて考えてみたいと思います.
新型コロナウイルス陽性患者に対するリハビリテーション
新型コロナウイルス陽性患者に対するリハビリテーションについては医療機関ごとに対応が異なります.
最も遠いのは,PCR検査で陽性反応が出ている時期にはリハビリテーションは実施せず,PCR検査が陰性になってからリハビリテーション介入を行うといった施設が多いと思います.
しかしながら徐々にPCR検査で陽性が出ている段階からリハビリテーションを実施する医療機関が出てきているようです.
これは非常に怖いですよね…
医師の指示とは言え誰しもが陽性患者には関わりたくないというのが本音だと思います.
新型コロナウイルス感染患者に対する理学療法とは?
では具体的に新型コロナウイルス感染患者に対する理学療法というのはどんな介入をしているのでしょうか?
主には廃用症候群に対するケアと,肺炎症状に対する呼吸理学療法が中心になるものと思われます.
オーストラリアの理学療法士を中心としたエキスパートによる「急性期病院におけるCOVID-19の理学療法管理」が報告されておりますので,これも参考になります.
問題は理学療法士・作業療法士の感染,そこからの院内感染
非常に難しい問題ですが,新型コロナウイルス陽性患者に対してリハビリテーションを行うことに関してはさまざまな意見があると思います.
われわれ理学療法士・作業療法士ができることというのは非常に限られておりますし,今のところ陽性者に接触し感染を完全に回避するための方法は確立されておりません.(飛沫感染・接触感染は肝前防備すれば感染を防止することができるといった考え方もあります)
さらに医療防護具の不足した状態では,リハビリテーション職種が関わることで医療資源を浪費してしまうとの考え方もあります.
現在のところ理学療法・作業療法による回復の可能性より,自身や周囲への感染リスクが高く,実施すべきではないと考える方の方が圧倒的に多いでしょう.
治療法が確立していない感染者に対する理学療法・作業療法は逆に感染を拡大させてしまう可能性も考えられます.
今ところPCR陰性になってからの介入や,陽性者のリハビリは中止といった対応が標準的ではないでしょうか?
また医師や病院の方針だから仕方ないといった判断ではなく,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士というリハビリテーション職種が感染を拡大させないためにも冷静に考える必要があります.
新型コロナウイルス感染患者に対してリハビリテーションを実施すべきかについて考えてみました.
個人的にはこういった問題に関して,日本理学療法士協会や日本作業療法士協会が新型コロナウイルス陽性者に対する介入方法の一定の指針を出すべきだと思います.
ちなみに言語聴覚士の協会は嚥下訓練に関する指針を発表されておりましたね.
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