大学院に進学すれば研究ができるようになると勘違いしている理学療法士・作業療法士が多い件

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大学院に進学すれば研究ができるようになると勘違いしている理学療法士・作業療法士が多い件

最近は大学院に進学する理学療法士・作業療法士が以前より増加しております.

理学療法・作業療法関連の大学院も増加しており,通信制の大学院や,Webでの単位履修が可能な大学院も増えてきております.

理学療法士・作業療法士が大学院へ進学する目的として専門分野の知識を深く学びたい,学位を取得したい等様々な目的が挙げられます.

理学療法士・作業療法士が大学院へ進学する目的の1つとして研究手法を学びたいといった目的が挙げられますが,本当に理学療法士・作業療法士は大学院へ進学すれば研究ができるようになるのでしょうか?

今回は大学院に進学すれば研究ができるようになると勘違いしている理学療法士・作業療法士が多い件について考えてみたいと思います.

photography of school room

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔は大学院進学が研究の方法論を学ぶ数少ない手段であった

20年前には理学療法士・作業療法士が進学する大学院というのは非常に限られており,昨今のように大学院へ進学する理学療法士・作業療法士も多くありませんでした.

昔は研究に関して学ぼうと思っても,初学者向けの書籍は少なかったですし,今のようにWebでさまざまな情報を入手できる時代ではありませんでした.

職場の中にも研究経験を有する理学療法士・作業療法士は少なく,研究を学ぶために大学院へ進学するといった理学療法士・作業療法士が多かったわけです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時代は変わった

ところが時代は変わって研究に関する書籍も雑誌もわかりやすいものが多く出版されるようになりました.

情報を吟味する必要はありますが,研究に関連した情報が非常に分かりやすくまとめられているホームページも増えました.

また最近では理学療法士・作業療法士を対象とした臨床研究や統計解析に関連した書籍も多く出版されるようになりました.

さらに各都道府県理学療法士会でもさまざまな研究サポートが行われており,研修会に関しても全国各地で研究法に関する研修会が開催されている状況です.

またオンラインサロンを通じて研究サポートを受けるといった新たな学びの形も登場している状況です.

このような時代の変遷とともに大学院へ進学する方法だけが,研究手法を学ぶ方法ではない時代となったわけです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大学院だから研究の方法論を学べるわけでもない

進学する大学院の担当教授にもよりますが,大学院に進学しても教授の研究をよくわからないままやらされて,何一つ研究に関するスキルを身につけることなく卒業を迎えるといった場合もあります.

大学院だから研究を深く学べるというわけではないようです.

教授クラスであっても統計解析や研究デザインに関する知識に疎い教授理学療法士・作業療法士が少なくないのも実際です.

また教授やその研究室で3年間で1本も原著論文を書いていないといった場合もあるようで,そうなると大学院選びって非常に重要だと感じるわけです.

また上述したように,研究方法に関する情報を得られる手段も幅が広がっておりますので,研究の方法論を学ぼうと思えば,大学院に進学しなくても学べるわけです.

臨床で研究してきた人が深く学ぶために大学院へ進学する場合にはさらに理解を深められるでしょうが,臨床研究の経験のない理学療法士・作業療法士が大学院へ進学したとしても時間に追われて学費だけ支払ったといった形に終わってしまいがちです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在のところ大学院進学による理学療法士・作業療法士としての金銭的インセンティブはほぼゼロ

現在のところと申しますか,おそらく今後も理学療法士・作業療法士が大学院へ進学することで給与が上がったり,昇進に有利になったりということは考えにくいでしょう.

大学院へ進学しても金銭的なインセンティブはほぼゼロなわけです.

私立大学院であれば年間100万円以上の資金が必要となりますし,研究方法を学ぶために大学院へ進学するといった場合には,進学する大学院や教授をきちんと選ばなければ,費用対効果は低いと言えるでしょう.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大学院や所属するゼミの選択が重要

理学療法士・作業療法士が大学院に進学する場合には,教授が専門とする理学療法について理解を深めたい場合もあれば,研究の方法論を学ぶために大学院へ進学されるのであれば,大学院や所属するゼミを吟味した方が良いでしょうね.

この大学院や所属するゼミの選択を誤ると,さんざんこき使われて,高い学費だけ払って,学位は取得したものの何も身についていないといった場合が多いでしょう.

そのためせっかく大学院に進学して学位を取得しても,臨床では何1つ研究に取り組んでいないといった理学療法士・作業療法士が多いのも実際です.

実際に博士後期課程を卒業後に,博士論文以上の論文を作成できない理学療法士・作業療法士ってけっこう多いと思いますが,結局のところ博士論文は指導教授の論文にすぎませんので,結局は自分で論文を書けるスキルを身につけないまま学位を取得しただけという状況に陥ってしまっているわけです.

 

今回は大学院に進学すれば研究ができるようになると勘違いしている理学療法士・作業療法士が多い件について考えてみました.

大学院へ進学する前にしっかりと情報を収集して,研究の方法論を学ぶことのできる研究室を選択すること,大学院へ進学する前に自分なりに研究の方法論を学んだ上で大学院へ進学することで,大学院での深い学びにつなげることができるでしょう.

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