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富山市の理学療法士を介したクラスター感染から学ぶべきこと
2020年4月14日に富山県富山市の某病院で新型コロナウイルスのクラスター感染が起こりました.
実はこのクラスター感染は理学療法士が媒介となっていたことがマスメディアで報道されております.
私としては決して理学療法士個人を責め立てるようなことはしたくありませんが,このクラスター感染からリハビリテーション部門として確実に取り組んでおくべきことを再認識できましたので,改めて共有できればと思います.
既に対策をされている施設も多いと思いますが…
ニュースによると
富山市の病院の院内感染で,14日に新型コロナウイルスの感染が確認された理学療法士がリハビリ治療を担当した患者は20人で,8つの病棟に渡っていることが分かりました.
14日感染が分かったのは,富山市の病院のリハビリテーション科に所属する理学療法士です.
この理学療法士は,先月31日から今月9日までに20人の患者にリハビリを行っていて,担当したのは病院に13ある病棟のうち8つに渡っているということです.
富山市はこの20人を濃厚接触者として検査をすることにしています.
理学療法士・作業療法士の働き方の特徴
理学療法士・作業療法士の働き方の特徴として病棟をまたいで仕事をすることが多いと思います.
最近は病棟ごとに担当理学療法士・作業療法士を決めて,病棟間の移動を極力少なくしている病院も増えてきておりますが,病院全体のスタッフ数が少ないとそうもいきません.
看護師であればおおよそ1つの病棟で仕事をしていることが多いと思います.
医師にしても外来と診療科のベッドのある病棟で仕事をするということが多いと思います.
理学療法士・作業療法士の場合には,スタッフ数が少ない場合にはまだまだ病棟をまたいで仕事をされていることも多いと思います.
ベッドサイドでリハビリということもあるでしょうし,リハビリ室でということもあるでしょうし,病棟の廊下を使ってリハビリということもあるでしょう.
そうなるとあらゆる病棟へウイルスをまき散らしてしまうというのがわれわれ理学療法士・作業療法士の危険なところです.
今回の報道を受けて
今回のマスコミ報道では,理学療法士・作業療法士の病棟間の移動が取り上げられております.
今回のような報道がなされると,理学療法士・作業療法士の出入りを固定するしかありません.
ただ現実的に対応できる医療機関もあれば,対応できない医療機関もあるのが実際だと思います.
急性期で理学療法士・作業療法士が関わる病棟が多いうえに,理学療法士・作業療法士が少ないところとは難しいでしょう.
こうなるとこの病棟のクライアントはリハビリテーションを行えないといった状況すら出てきてしまうと思います.
ただ状況が状況ですので,もし理学療法士・作業療法士が発症してしまった場合に,できるだけ被害が少なくなるような働き方を選択せざるを得ません.
これまでの院内感染をみていても,院内でのクラスター感染が起こっているのは,新型コロナウイルスに罹患したクライアントが入院している病棟ではありません.
新型コロナウイルス感染者が入院している病棟では完全防備で対応を行っているところがほとんどです.
つまり万全な体制で管理が行われておりますし,そもそも感染者がいる病棟で理学療法士・作業療法士が媒介する頻度は少ないわけです.
現在,発生している院内クラスター感染のほとんどは無症状者が入院している病棟からの医療者が発生源となったものばかりです.
個人防護具に余裕があれば,理学療法士・作業療法士も完全装備で対応を行うのが理想ですが,個人防護具が不足している状況では難しい状況です.
現在の環境でどういった対策ができるかは非常に難しいですが,まずは理学療法士・作業療法士の病棟間の移動を完全に制限することがわれわれ理学療法士・作業療法士ができる1つの感染予防対策になると思います.
もちろん病棟間の移動を制限することでリハビリテーションを提供できないクライアントが発生してしまうわけですので,これはこれで大きな問題ですが,何よりもクラスター感染を予防することが優先だと思います.
今回は富山市の理学療法士を介したクラスター感染からわれわれ理学療法士・作業療法士が再認識すべきことを考えてみました.
病棟間の移動を制限してリハビリテーションが必要なクライアントに対応できないというのは理学療法士・作業療法士にとっては苦渋の決断になるかもしれません…
ただクラスター感染が起こってしまえば,全病棟のクライアントへ対応ができなくなってしまうわけですので,より早期の対策が求められます.
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