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新型コロナウイルス感染拡大で理学療法士の臨床実習に関して日本理学療法士協会が臨床実習に関して通達
全国に緊急事態制限が発令されたことで感染拡大地域のみならず,全国的にも理学療法士・作業療法士養成に大きな影響が出始めております.
養成校での教育はオンライン教育で対応する教育機関が増えてきておりますが,難しいのが臨床実習です.
2020年4月21日に日本理学療法士協会が理学療法士の臨床実習に関して新たな情報を発信しておりますので,ご紹介させていただきます.
日本理学療法士協会から出された通達(HPより抜粋)
理学療法士養成教育を取り組む上で
各種監督官庁の通知を踏まえて、各養成施設において、十分な検討を加えて取り組むことが必要です。
下記の点を考慮することが大切です。
- 養成課程にある学生の安全を考えましょう。
(学生への感染防止にご留意下さい。) - 臨床実習については、厚労省からの事務連絡を踏まえた上で、対応を検討していきましょう。
- 臨床実習施設の多くが医療提供施設であることから、感染対策についての指導を十分に実施することが必要です。
- 実習生自身が感染する危険性、実習生自身が媒介者となる危険性がともにあることを理解させることが必要です。
- 厚生労働省からの事務連絡にありますように、どうしても実習配置が困難な場合には学内実習への振替も特例として認められていますが、その運用をする場合には、準備ならびに工夫を考えることが必要です。
- 最終学年の学生は、来春には、国家試験を受けて臨床現場に出向くことになります。それまでに一定の臨床経験を蓄積して送り出す役割が養成施設にはありますので、工夫を考えましょう。
- 学生は、臨床実習で臨床経験を積み重ねていく権利(修学権)を有しています。従って、学生間で臨床経験の時間等に大きな差が発生しないような工夫も必要です。
学生指導ならびに学生の健康管理
- 毎朝、健康管理表(体温ならびにその他特記症状)を記録させる。
- 37.5°C以上の発熱を伴う風邪の症状がある場合は、自宅待機とする。
- 『3つの密を避ける』(換気の悪い密閉空間、人が密集する場所、密接した近距離での会話)
臨床実習対応策
臨床実習施設から実習の受入ができないという連絡がはいる養成施設も出てきています。その際の対応策についてのまとめです。
- 可能な限り、別の実習施設への実習配置の変更を行い、臨床実習が継続できるようにする。
- 現在、登録している実習施設のみで対応出来ない場合には、新たな実習施設を確保し、臨床実習が継続できるようにする。
(実習施設の登録については、特例制度が認められています。) - 臨床実習の期間を変更して、臨床実習が継続できるようにする。
- 学生間での臨床実習の履修期間に大きな差が生じないように工夫し、全体の臨床実習期間の短縮を行い対応する。(不足する実習期間については学内演習で対応する。)
- 実習施設の再配置、実習期間の短縮での対応等ができない場合には、臨床実習にできるだけ近づけた学内演習・実習を工夫して取り組む。
実習生が理学療法を学ぶ上での権利を守ると同時に、実習生自身が感染しない、拡散しないための感染防止策を講じることが必要です。
臨床教育
理学療法士は、対象者に直接、手を接触させて関わることが多い職種です。
また、病棟配属の理学療法士を除けば、多くの場合、複数の病棟の患者さんを受け持ち、日々理学療法を行っています。
理学療法士を介して感染を拡大しないために、
院内教育として
- 今一度、感染防止策について、確認し合いましょう。
- 担当する病棟の分担を決めるなど、病棟をまたいだ広範囲な活動にならない工夫ができるようであれば、可能な範囲で取り組みましょう。
感染防止のための基礎知識を増やしていきましょう。
今回の通達を受けて
現状では医療機関・施設においては家族の面会や外来リハビリテーション利用者を制限している状況です.
そのような状況の中で臨床実習生を受け入れることは非常に難しいといわざるをえません.
今回の通達にはいくつかポイントがありますが,重要なのは学内実習への振替も特例として認められているといった点です.
実習における経験というのは確かに重要ですが,それ以上に実習生が感染したり,実習生が感染を拡大させてしまうリスクを考えると,緊急事態制限が解除されるまでは協会から臨床実習の中止を要請するような通達があっても良かったのではないかと思います.
勉強も大事ですが,それよりも実習生の命,理学療法士が関わるクライアントの命を第一に優先すべきです.
そのための行動は明白です.
実習生を受け入れないといった選択肢の他に考えられません.
現実,看護師や薬剤師の実習についても中止になっているところがほとんどです.
先日から報道されているように医療機関での院内クラスター感染が増えている状況で,実習生なんて受け入れられるわけがありません.
現場はコロナ対策で手一杯です
正直なところ理学療法士・作業療法士の現場はコロナ対策で通常以上の業務量になっており,とても実習生の教育に手が回らない状況です.
もちろん日本理学療法士協会の一定の臨床経験を蓄積して送り出す役割が養成施設にはありますというのは理解出来ますが,状況が状況ですので理学療法士・作業療法士養成校で臨床経験を蓄積できるような工夫をしていただいて,学内実習へ振り替えていただくというのが現実的でしょう.
今後,緊急事態制限が解除されたとしても,ワクチンが開発され,日本国民全員が免疫を獲得するまでにはかなりの時間がかかるでしょう.
もう数年は従来のような理学療法士・作業療法士の実習は難しいというのが結論だと思います.
実習も形式を変えざるを得ないと思います.
臨床実習指導者講習会についても今年度の開催は難しいでしょうね.
2日間も長時間にわたって行う3密研修ですので,2021年度入学生からは講習会を受講した理学療法士・作業療法士でないと臨床実習指導ができないといった基準にも猶予が設けられる可能性が高いでしょうね.
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