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クライアントの信頼を得るために理学療法士・作業療法士も知っておきたい単純接触効果(ザイアンス効果)
理学療法士・作業療法士の皆さんはどのようにしてクライアントの信頼を得ているでしょうか?
特に若い理学療法士・作業療法士の方はクライアントとの人間関係に悩みながら仕事をされている方も多いと思います.
クライアントの信頼を得るためには,理学療法士・作業療法士が専門職として結果を出すことはもちろんですが,それ以外にもいくつか方法が考えられます.
今回はクライアントの信頼を得るための1つの方法として単純接触効果(ザイアンス効果)についてご紹介させていただきます.
単純接触効果(ザイアンス効果)とは?
単純接触効果(ザイアンス効果)というのは,1968年にアメリカの心理学者であるロバート・ザイアンスが提唱した概念です.
理学療法士・作業療法士の業界ではあまり耳慣れない言葉かもしれません.
単純接触効果(ザイアンス効果)というのは,「何度も繰り返して触れることにより,好感度や評価などが高まる」といった心理的な効果を指します.
この単純接触効果(ザイアンス効果)は,対人関係はもちろんですが,商品・サービス・情報などに対しても働く心理的効果が明らかにされており,さまざまな分野で応用されております.
例えば新聞広告やテレビのニュースで繰り返しある商品やサービスを目にする機会が増えると,自然とその商品やサービスが気になるようになります.
またTVやSNSを通じて,繰り返し同じ情報を耳にするとその情報を信じてしまうものです.
単純接触効果(ザイアンス効果)には,「潜在記憶」「潜在学習」「概念形成」といったはたらきも関わっており,潜在的に,つまり無意識のうちに働く心理効果なわけです.
対人関係における単純接触効果(ザイアンス効果)
ここで対人関係における単純接触効果について考えてみたいと思います.
例えば好きな異性に,高価で大きなプレゼントを1回するよりも,安価でも小さなプレゼントを繰り返すと異性の印象に残ることになります.
また気になる意中の人に,会う回数を増やし,頻繁に連絡をとると,無意識のうちに相手に自分の意識を向けることができるといったものです.
子供に野菜を好きになって欲しいから,食事には毎回野菜を出すと,野菜への苦手意識が少なくなるといったこともあるでしょう.
リハビリテーション科長にアドバイスを受ける場合に,一度に多くのアドバイスを受けるのではなく,複数回に分けて相談するようにする(逆効果の場合もありますが…).
こうすると○○君はいつも報連相がしっかりできて,信頼できるなといった印象を持ってもらえるかもしれません.
単純接触効果(ザイアンス効果)が逆効果になる場合も
注意が必要なのが,単純接触効果(ザイアンス効果)が逆効果になる場合もあります.
例えばそもそも相手に嫌われていたり,評価が低いと「またか・・・」と逆に嫌われてしまう可能性もあります.
こう考えると単純接触効果(ザイアンス効果)はある程度,相手に好意を持たれている場合や嫌われていない場合に有効だと考えることができるでしょう.
理学療法士・作業療法士における単純接触効果(ザイアンス効果)の活用
では理学療法士・作業療法士はどのように単純接触効果(ザイアンス効果)を活用すれば,クライアントの信頼を得ることができるでしょうか?
例えば,自分が担当しているクライアント(入院中)に対して,理学療法や作業療法以外の時間にも病室を訪れ,挨拶をしたり調子をうかがったりといった方策です.
私がよくやるのはちょっとした指示の変更を前日の夕方に伝えに行ったり,翌日の理学療法の予定を訪室して伝える等といった方法です(時間が無いときには難しいですが…).
クライアントが外来で通院されている場合には,待合で座っているところを見かけたら声をかけるというのも有効です.
またクライアントが病院にいない場合にも理学療法士・作業療法士を思い出してもらえるように,セルフエクササイズや日常生活指導のリーフレットを手渡すなどというのも効果的です.
今回はクライアントの信頼を得るための1つの方法として単純接触効果(ザイアンス効果)についてご紹介させていただきました.
理学療法士・作業療法士も簡単に取り組めそうなものが多いと思いますので,ぜひ日常診療の中に取り入れてクライアントの信頼を勝ち取りたいですね.
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