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理学療法士・作業療法士の職場内での勉強会って減ってますよね?
かつては理学療法士・作業療法士といえば業務終了後に病院や施設単位で勉強会を開催する頻度の高い集団でした.
もちろん今もまだ病院や施設単位で定期的に持ち回りで勉強会を開催されている病院や施設もあると思います.
ただ実際には働き方改革法案が施行され,超過勤務が制限される中で管理者としては理学療法士・作業療法士を残して勉強会や研修会を開催することが難しくなってきている実情があります.
今回は理学療法士・作業療法士の職場内での勉強会って減っている件について考えてみたいと思います.
時間外で研修会を開催することが難しい時代
理学療法士・作業療法士を取り巻く環境も大きく変化しております.
学生も定時に帰宅させないといけない時代です.
業務命令で時間外に研修会を開催するというのは難しい状況になっております.
そのため業務時間外での研修会開催となると任意での参加となりますが,こうなると参加しない理学療法士・作業療法士も出てきてしまう状況です.
加えて任意としても半強制的に参加を求めるようなものであれば,これはこれで大きな問題となります.
このように時間外に職場内で研修会を行うことは非常に難しくなっている状況です.
理学療法士・作業療法士の変な権利意識が向上
理学療法士・作業療法士の権利意識の向上も職場内での研修会開催を妨げる大きな要因です.
時間外に研修会を開催する職場でも,時間外に残業代も出してもらえないのに,なぜ研鑚しなければならないのかといった不満を口にする理学療法士・作業療法士も少なくないでしょう.
給料に反映されるわけでもないし,任意であれば参加したくないと考える理学療法士・作業療法士が多いのも実際です.
このように理学療法士・作業療法士の権利意識が高くなっていることもまた職場内での研修会際の開催を難しくしております.
勤務時間内の研修が行えるか?
そうなると職場内で研修会を行うとするのであれば選択肢としては時間ないしかないわけです.
ただ時間内に研修会を開催するとなるとリハビリテーション部門としての収益にも影響が及びます.
仮に20人の理学療法士・作業療法士が所属する職場で時間内に1時間の研修会を週1回開催することを想定します.
1時間というと3単位分になりますので,1名の理学療法士・作業療法士あたり平均5,000円分の報酬が減少することになります.
20人が研修会に参加するとなると,1回あたりの減収は100,000円となります.
週1回開催とすると月に400,000円,年間で考えると4,800,000円の減収となります.
つまり20人の職場では週1回研修会を開催すると,年間で500万円売り上げが下がることになります.
30人の職場では750万円,40人の職場では1,000万円の減収です.
これは管理者が勤務時間内に研修会を開催しようと考えない大きな要因となります.
職場内で勉強会を業務でやるメリット
職場内で勉強会を開催する場合にはどんなメリットが考えられるでしょうか?
職場内で勉強会を業務で開催することで,個々人の理学療法士・作業療法士の好みだけでリハビリテーションの思想や手法がバラバラにならないといったメリットも挙げられます.
組織としてどういった介入を行いましょうといった意志統一を図ることができればクライアントにとって有益であることは言うまでもありません.
わけのわからない研修会で学んできた宗教的介入を行っている理学療法士・作業療法士を管理者として標準的で科学的根拠に基づく理学療法・作業療法手法へ導くことができれば,クライアントに直接的な利益をもたらすことになるでしょう.
職場の管理者は業務として研修会を開催し,どういった方向性で各スタッフの自己研鑽を補助するかを考えるべきです.
職員の研鑚にどれだけ価値を感じるか
子育て世代の女性理学療法士・作業療法士(男性も環境によっては当然難しい場合もあります)の場合には,週末に研修会に参加したり,自宅で学習したりといったことそのものが難しい職員もいます.
職員を研鑚させクライアントに提供するサービスの質を上げるのは管理者の仕事であると考えれば,このような時間外に研鑽に取り組むことが難しい環境にある理学療法士・作業療法士に研鑽の機会を与えるといった意味ではやはり職場内で時間内に研修会を開催することに大きな意義があると思います.
最終的には管理者の理学療法士・作業療法士が減収分の数百万円と所属する理学療法士・作業療法士の研鑽とを天秤にかけた上でどちらを選択するかということになります.
結局のところ職員の研鑚にどれだけ価値を感じるかといったところでしょうか.
今回は理学療法士・作業療法士の職場内での勉強会って減っている件について考えてみました.
理学療法士・作業療法士の皆様の職場でもさまざまな工夫をされていることと思いますが,職場内での研修会開催が減少しているのは非常に残念でなりません.
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