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肩関節疾患の理学療法に関連するお勧め書籍5選
年度も終わりになりますが,次年度こそはしっかりと勉強しようと考えておられる理学療法士・作業療法士の方も多いと思います.
多関節運動連鎖の考え方から言えば,運動器疾患を関節毎に捉えることそのものに無理があるわけですが,初学者の方はまずは関節毎に疾患の特徴をおさえた上で理学療法アプローチを学ぶことが重要です.
今回は肩関節疾患に関連した書籍をご紹介させていただきます.
肩関節理学療法マネジメント
ご存知メジカルビュー社から出版されている理学療法マネジメントシリーズです.
村木先生が監修を務められているだけあって,執筆されている先生も非常に豪華なメンバーとなっております.
この書籍は疾患ごとに肩関節疾患を捉えるのではなく病態・障害毎に評価とアプローチが分けて記載されておりますので,非常に読みやすいです.
少し初学者には難しい内容も含まれておりますが,この1冊をしっかりと理解することができればかなり深い知識が身につくはずです.
構成はこんな感じです.
1 肩関節理学療法の考え方 村木孝行
2 肩関節複合体の機能解剖とバイオメカニクス 甲斐義浩Ⅱ章 肩関節疾患を理解する
1 中高齢者にみられる肩関節変性疾患 山本宣幸
2 スポーツに関連する肩関節疾患 森原 徹
3 肩関節不安定症 菅谷啓之Ⅲ章 機能障害別マネジメント
1 肩甲上腕関節の動的安定性低下(骨頭求心性の破綻) 上田泰之
2 肩関節の可動域制限 河上淳一
3 肩関節の不安定性 山内弘喜
4 肩甲骨アライメントや運動の異常 石川博明
5 投球動作の不良 坂 雅之Ⅳ章 機能障害別ケーススタディ
1 肩甲上腕関節の動的安定性低下(骨頭求心性の破綻) 上田泰之
2 肩関節の可動域制限 烏山昌起
3 肩関節の不安定性① 穐山大輝,山内弘喜
4 肩関節の不安定性② 穐山大輝,山内弘喜
5 肩甲骨アライメントや運動の異常 石川博明
6 投球動作の不良 穐山大輝,坂 雅之
臨床実践肩関節の理学療法
肩関節機能障害に対する敏腕理学療法士の技術とコツが12テーマに分けて解説されております.
前半では,病態を理解するための機能解剖と運動学,理学療法士が押さえておくべき手術のポイント,運動療法につなげるための機能評価を紹介されており,後半では,日常臨床でよく診る,あるいは問題になりやすい機能障害として,軟部組織の痛み,関節可動域制限,筋機能低下,関節不安定症を取り上げ,臨床で実際に行われている機能的特徴を踏まえた理学療法手技をレクチャーされております.
また人工関節置換術後理学療法や投球動作への介入,さらには乳がん術後の上肢機能再建のためのアプローチも掲載されており内容もかなり充実しております.
書籍の構成はこんな感じです.
肩の機能解剖を理解する
I 肩関節を構成する骨格,関節・靱帯の構造
II 肩の圧痛点
III 肩関節を構成する骨と筋の触察肩の運動を理解する
I 肩複合体の構造と組織
II 肩複合体の運動学と病態運動学肩の病態および外科的治療を理解する
I 腱板断裂
II 反復性肩関節脱臼
III 変形性肩関節症肩の機能評価に基づいた運動療法を理解する
I 病態判別の重要性
II 筋機能異常の評価
III 拘縮の主要因と判別方法実践と結果に基づく理学療法手技
軟部組織由来の痛みの原因を理解し介入する
I 肩関節周囲軟部組織の機能
II 軟部組織由来の疼痛の病態・評価
III 理学療法プログラムの実際肩の機能障害の特徴をふまえて介入する─関節可動域制限
I 肩関節可動域制限とは
II 理学療法プログラムの実際肩の機能障害の特徴をふまえて介入する─肩甲胸郭関節機能低下
I 正常な肩関節運動における筋機能
II 肩関節疾患患者の筋機能
III 肩甲胸郭関節の機能向上に必要な要素
IV 理学療法プログラムの実際
肩の機能障害の特徴をふまえて介入する─腱板の筋機能低下
I 肩関節安定化機構
II 筋機能低下と肩峰下インピンジメント症状
III 理学療法プログラムの実際
肩の機能障害の特徴をふまえて介入する─肩関節不安定症
I 関節不安定症とは
II 理学療法プログラムの実際
人工関節の特徴をふまえて介入する─術後肩関節機能の獲得
I 人工関節の特性を知る
II 人工関節のバイオメカニクスを理解する
III 理学療法プログラムの実際
運動連鎖を理解し投球障害肩の改善・予防に向き合う
I 障害部位の推察─病態評価としてのストレステストとスクリーニング方法─
II 運動機能評価
III 理学療法プログラムの実際
乳がん術後の上肢機能の再建をねらう
I 乳がんと上肢機能障害
II 乳がん術後の肩の機能障害
III リンパ浮腫
IV 進行がん・終末期にみられる肩の機能障害
V 肩の機能障害に対するアプローチ
VI リンパ浮腫の評価とアプローチ
肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション
この書籍も村木先生が監修された1冊です.
肩関節由来の疼痛のみならず頸部由来の疼痛に関しても記載があり,非常に充実した内容となっております.
この書籍を読み終えると,頸肩腕痛の原因を考える視点がかなり増えます.
ケーススタディも非常に視点が新しく興味深いです.
肩関節
第1章 肩の解剖・バイオメカニクス・疼痛のメカニズム
1.肩の解剖【矢口春木,村木孝行】
2.肩のバイオメカニクス【石川博明,村木孝行】
3.肩関節痛の種類とメカニズム【石川博明,村木孝行】
第2章 肩関節痛の評価 〜理論と実践〜
1.肩関節痛を分類するための評価【村木孝行】
2.肩甲上腕関節機能の評価【南島大輔,村木孝行】
3.肩甲骨運動の評価【南島大輔,村木孝行】
4.各疾患の留意点と介入方針の決定【村木孝行】
第3章 肩関節痛への理学療法 〜理論と実践〜
1.肩甲上腕関節1 筋機能低下による肩関節痛【村木孝行】
2.肩甲上腕関節2 拘縮による肩関節痛【村木孝行】
3.肩甲骨運動異常による肩関節痛【村木孝行】
第4章 肩関節痛ケーススタディ 〜こんな時どうする?〜
case1.上肢挙上時痛と肩関節拘縮を有する腱板断裂例【村木孝行】
case2.回旋可動域制限は軽度だが上肢挙上が著しく制限される腱板断裂例【村木孝行】
case3.重度な可動域制限を伴う拘縮完成期の肩関節周囲炎例【村木孝行】
case4.拘縮進行期(炎症期)の肩関節周囲炎例【村木孝行】
case5.コッキング後期に肩の痛みが生じる投球障害肩例【村木孝行】
頸部
第5章 頸部の解剖・バイオメカニクス・疼痛のメカニズム
1.頸部の解剖【上田泰久】
2.頸部のバイオメカニクス【上田泰久】
3.頸部痛のメカニズム【阿久澤 弘】
第6章 評価と分類
1.問診・構造異常との関連性【三木貴弘】
2.客観的評価【髙田雄一】
3.分類(classification)の紹介【三木貴弘】
第7章 頸部痛への理学療法 〜理論と実践〜
1.可動域制限を伴う頸部痛【中村幸之進,三木貴弘】
2.放散痛を伴う頸部痛【中村幸之進,三木貴弘】
3.協調性障害を伴う頸部痛【中村幸之進,三木貴弘】
4.疼痛が強い頸部痛【中村幸之進,三木貴弘】
5.頭痛を伴う頸部痛【中村幸之進,三木貴弘】
第8章 頸部痛ケーススタディ 〜こんな時どうする?〜
case1.可動域制限を伴う頸部痛例【髙田雄一】
case2.放散痛を伴う頸部痛例【三木貴弘】
case3.協調性障害を伴う頸部痛例【三木貴弘】
case4.疼痛が強い頸部痛例【髙田雄一】
case5.頭痛を伴う頸部痛例【中村幸之進】
運動のつながりから導く肩の理学療法
OPA 知っておきたいX 線画像の診かたのポイント
OPA 知っておきたい超音波画像の診かたのポイント
OPA 知っておきたい診断のポイント─身体所見のとりかた─
2 肩甲上腕関節の機能に着目した肩の理学療法
OPA 知っておきたい肩甲上腕関節の動態解析─3D-to-2Dレジストレーション法─
3 肩甲胸郭関節,肩鎖関節・胸鎖関節の機能に着目した肩の理学療法
OPA 知っておきたい上肢挙上時における肩甲骨・鎖骨の運動機能評価のポイント
4 肩甲上腕リズムに着目した肩の理学療法
5 胸郭の機能に着目した肩の理学療法
6 体幹の機能に着目した肩の理学療法
OPA 知っておきたい頚椎の機能解剖とバイオメカニクス
7 下肢の機能に着目した肩の理学療法
8 姿勢調整に着目した肩の理学療法
9 肘,前腕,手関節の機能に着目した肩の理学療法
OPA 知っておきたいヒトの進化と肩─上腕の役割の変化─
10 投球動作への応用
五十肩の評価と運動療法
第1章 肩関節に関する基礎知識
第2章 五十肩に影響を与える筋の機能とその評価
第3章 五十肩の病態について
第4章 疼痛期における治療の考え方と運動療法の実際
第5章 拘縮期における治療の考え方と運動療法の実際
第6章 緩解期における治療の考え方と運動療法の実際
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