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変形性股関節症例に対するノルディックウォーキングの有効性を示唆する論文紹介
ここ最近,ノルディックポールをもってウォーキングに取り組まれている方というのは非常に多いですよね.
ノルディックウォーキングに関しては以前にもこのブログの中で取り上げさせていただきました.
理学療法士・作業療法士が変形性関節症を有するクライアントに対して,ノルディックウォーキングを勧めることもあると思いますが,はたしてノルディックウォーキングは従来の運動療法に比較してその有効性はどうなのでしょうか?
今回は変形性股関節症例に対するノルディックウォーキングの有効性を明らかにした研究論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
Scand J Med Sci Sports. 2017 Aug;27(8):873-886. doi: 10.1111/sms.12694. Epub 2016 Apr 30.
In hip osteoarthritis, Nordic Walking is superior to strength training and home-based exercise for improving function.
Bieler T1,2, Siersma V3, Magnusson SP1,2, Kjaer M2, Christensen HE4, Beyer N1.
今回ご紹介する論文は2017年に掲載された比較的新しい論文です.
研究の概要
This observer-blinded, randomized controlled trial compared the short- and long-term effects of 4 months of supervised strength training (ST) in a local fitness center, supervised Nordic Walking (NW) in a local park, and unsupervised home-based exercise (HBE, control) on functional performance in 60+-year-old persons (n = 152) with hip osteoarthritis (OA) not awaiting hip replacement.
研究デザインは観察者盲検ランダム化比較試験となっております.
60歳以上の変形性股関節症例152例(非手術待機)を対象としております.
地方のフィットネスセンターにおいて監視下で筋力トレーニングを行った群,地方の公園で監視下でノルディックウォーキングを行った群,非監視下で自宅で運動を行った群に分類し,機能的パフォーマンスをアウトカムとしております.
アウトカムの設定
Functional performance [i.e., 30-s chair stand test (primary outcome), timed stair climbing, and 6-min walk test] and self-reported outcomes (i.e., physical function, pain, physical activity level, self-efficacy, and health-related quality of life) were measured at baseline and at 2, 4, and 12 months.
アウトカムはCS-30,段差昇降時間,6分間歩行時間,患者立脚型アウトカム(身体機能,疼痛,身体活動レベル,自己効力感,健康関連QOL)とし,ベースラインおよび介入後2か月,4か月,12カ月で測定を行っております.
研究の結果
Based on intention-to-treat-analyses improvements [mean (95% CI)] after intervention in number of chair stands were equal in all three groups at 4 months [ST: 0.9 (0.2-1.6), NW: 1.9 (0.8-3.0), HBE: 1.1 (0.1-2.0)] but greater in the NW group [1.4 (0.02-2.8)] than in the ST group at 12 months. Generally, improvements in functional performance were greater (P < 0.001-P < 0.03) after NW compared with HBE and ST at all follow-up time points. Furthermore, NW was superior (P < 0.01) to HBE for improving vigorous physical activity and to both ST and HBE for improving (P < 0.01) mental health.
ITT解析の結果,開始から4か月後のCS-30には有意な変化は認めませんでしたが,介入後12カ月では筋力トレーニングを行った群に比較してノルディックウォーキングを行った群で有意にCS-30に改善が見られました.
またいずれのフォローアップ期においても,全般的な機能的パフォーマンスの改善は,非監視下で自宅で運動を行った群や監視下で筋力トレーニングを行った群に比較して,ノルディックウォーキングを行った群で大きい結果でありました.
さらにノルディックウォーキングを行った群は身体活動量の向上や精神的健康の改善も有意に大きい結果でありました.
研究の結論
These data suggest that NW is the recommended exercise modality compared with ST and HBE.
この研究結果から変形性股関節症例に対するノルディックウォーキングは,筋力トレーニングや非監視下による自宅での運動に比較して優れていると考えられます.
今回は変形性股関節症例に対するノルディックウォーキングの有効性を明らかにした研究論文をご紹介させていただきました.
ノルディックウォーキングの優れたところは,関節への力学的負荷を軽減した状態で身体活動量を保つことができるといった点です.
さらに両側にポールをもって歩行するので,変形性股関節症例に特徴的な歩行時の側方への動揺も軽減することができます.
理学療法士・作業療法士も疼痛が強く活動性を維持できない変形性股関節症例に対してノルディックウォーキングを勧めてみるとよいかもしれませんね.
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