橈骨遠位端骨折例に対するミラーセラピーの効果

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 橈骨遠位端骨折例に対するミラーセラピーの効果 

理学療法士・作業療法士にとってミラーセラピーと言えば,脳卒中片麻痺後の機能回復に用いられる手段といったイメージが強いと思います.

ミラーセラピーによる運動錯覚が機能回復を促進するといった事実は科学的にも多くの裏付けがなされております.

一方でこれまで運動器や整形外科疾患の治療方法としてあまり用いられることの無かったミラーセラピーが,ここ最近は運動器疾患に対して用いられるようになってきております.

今回は橈骨遠位端骨折例に対するミラーセラピーの効果を明らかにした研究論文をご紹介させていただきます.

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 ご紹介する論文 

J Rehabil Med. 2016 Oct 12;48(9):829-832. doi: 10.2340/16501977-2130.

Mirror therapy for distal radial fractures: A pilot randomized controlled study.

Bayon-Calatayud M1, Benavente-Valdepeñas AM, Del Prado Vazquez-Muñoz M.

今回ご紹介する論文は2016年に掲載された比較的新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の目的 

To investigate the efficacy of mirror therapy in reducing pain and disability in patients with distal radial fractures.

この研究では橈骨遠位端骨折症例の疼痛や機能障害がミラーセラピーによって軽減できるか否かを明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

Pilot randomized controlled study. Twenty-two patients with closed distal radial fracture. Patients were randomly assigned to experimental (= 11) or control (= 11) groups. Researchers were blinded to group allocation. Both groups received conventional physiotherapy. In addition, the experimental group had 15 sessions of mirror therapy (a daily session, 30 min). The control group received the same amount of conventional occupational therapy. Assessment was made from baseline to post-treatment. Pain was measured on a visual analogue scale (VAS). Active wrist extension and Quick-DASH (Disabilities of Arm, Shoulder and Hand) were used to assess functional recovery.

研究デザインはパイロット無作為化比較試験です.

橈骨遠位端骨折を受傷した22例を対象としております.

22例を無作為に介入群と対照群に割り付けております.

なお対象者の割り付けにおいては盲検化が行われております.

両群ともに,通常の理学療法を行い,介入群に対しては15セッションのミラーセラピー(1セッション30分)を加えて行っております.

なお対象群については介入群と同様の時間の通常の作業療法を行っております.

評価はベースラインと介入後に行われております.

疼痛の評価にはVASが,機能評価には自動手関節伸展可動域およびQuick-DASHが用いられております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

Pain, disability, and range of motion improved for both groups after intervention. No significant post-treatment differences were found between groups in Quick-DASH (= 0.409), active wrist extension (= 0.191) and VAS scores (= 0.807). There was no significant difference in active wrist extension between groups. Mirror therapy was not superior to conventional occupational therapy in reducing pain and disability.

両群ともに介入後に疼痛,手関節機能,関節可動域に有意な改善を認めております.

介入群・対照群の間ではQuick-DASH,自動伸展可動域,疼痛に有意差は認めておりません.

今回の結果からはミラーセラピーが作業療法の追加実施よりも有用だということにはならないといった結果でありました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は橈骨遠位端骨折例に対するミラーセラピーの効果を明らかにした研究論文をご紹介させていただきました.

今回はミラーセラピーの有効性は明らかにされておりませんが,ミラーセラピーは一度指導をすれば,自主トレーニングとしても実施可能だと思われますので,作業療法ではなく,何かしらの自主トレーニングとミラーセラピーを比較しても良かったのかもしれませんね.

出版バイアスの問題を考えると,こういったnegativeな結果もきちんと公表することに意義がありますね.

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