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理学療法士・作業療法士の就職活動における内定取り消し
今年卒業の理学療法士・作業療法士の養成校に通われている方はすでに就職が決まっていて,あとは国家試験に合格するだけという方も多いと思います.
理学療法士・作業療法士の養成校では,最終学年になってから就職活動をはじめることがほとんどですが,最終学年は臨床実習や国家試験に向けた勉強,卒業研究など慌ただしい1年になるのが現状です.
そのため,就職活動の期間はとても短く,学生も焦りを感じることになります.
またわれわれ理学療法士・作業療法士の業界では学生が自身で内定を取り消すことはタブー視されてきました.
今回は理学療法士・作業療法士の就職活動における内定取り消しについて考えてみたいと思います.
養成校教員の話
前述したようにわれわれ理学療法士・作業療法士の業界では学生が自身で内定を取り消すことはタブー視されてきました.
しかしながら昨今は,複数の病院の採用試験を受けて,内定がでた病院から一番条件の良い病院を選ぶといった学生も増えてきているようです.
私自身が就職活動をしたのはもう15年以上前のことになりますが,その際には養成校の教員から「自身の内定取り消しはNG」ときつく指導されたことを記憶しております.
ただ考えてみると,一般企業への就職活動では複数の企業を受けて一番良いところを選ぶといった形式が普通です.
大学生の多くが早ければ2年生の段階から,遅くとも3年生になれば就職活動を始めます.
養成校の教員の話によると最近は複数の採用試験を受けられないように制限をすることが難しいケースがあるようです.
両親が養成校や実習先に乗り込んでくる時代ですから,法的に複数の病院の採用試験を受けることが制限されていない限り,養成校側も学生に複数施設の採用試験を受けることを制限できなくなってきているようです.
時代は変わったものです.
複数の病院の採用試験を受けるメリット
理学療法士・作業療法士の学生が複数の採用試験を受けるメリットとして,採用試験の期間が異なる病院を複数受験することができ,自分の希望している病院へ就職できる確率が上がるといった点が挙げられます.
特に昔と違って求人が溢れていて,好きなところにおおよそ就職できるといった時代ではありません.
また先に述べたように,理学療法士・作業療法士の養成校において,就職活動期間は限られています.
そのため理学療法士・作業療法士の学生が複数の採用試験を受けることができれば,確実に就職先を確保できますし,複数の施設の採用試験を受験することで,就職活動のスキルも向上して採用されやすくなるといった利点も考えられます.
複数の病院の採用試験を受けるデメリット
デメリットは無いでしょうか?
まず決まっていた内定を取り消すと,その病院からの内定を取り消した本人とその養成校の評価が下がります.
これは当たり前といえば当たり前です.
他の候補者を落として,その学生のために採用枠を確保したのに,突然辞退ということとなると病院や施設側としてはたまったもんではありません.
私自身が養成校時代に教員から内定取り消しはNGだと指導された裏側にはこういった事情があったに違いありません.
さらに養成校の名前に傷がつけば,この先,卒業を控えている後輩たちにも悪影響が及びます.
加えて問題なのは実習地確保にも影響が及ぶといった点です.
多くの養成校では実習地を確保するために,養成校の教員が病院や施設に頭を下げて回っているわけですが,内定辞退のケースが出てくると,最悪の場合には実習を受けてもらえなくなる可能性も考えられます.
また就職してからの人間関係にも悪影響が及びます.
理学療法士・作業療法士の業界なんて言うのは非常に狭い世界ですので,同一県で内定取り消しをしてしまうとあっという間にうわさが広がってしまい,研修会にも参加しづらくなってしまいます.
今回は理学療法士・作業療法士の就職活動における内定取り消しについて考えてみました.
最終的には決定権を持つのは理学療法士・作業療法士の学生自身です.
メリットとデメリットを天秤にかけた上で後悔の無い選択をしてほしいものです.
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