湿度と風の強さと疼痛との関連性が明らかに,気温は疼痛とは無関係

変形性膝関節症
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 湿度と風の強さと疼痛との関連性が明らかに,気温は疼痛とは無関係 

理学療法士・作業療法士が基本的動作能力や日常生活動作能力向上を目標として理学療法・作業療法を行う上で疼痛というのは大きな阻害因子となります.

実際にクライアントのリハビリテーションに携わっておりますと,天気や季節によって疼痛が増悪したり軽減されたりということは皆様も多く経験すると思います.

今回はスマホを用いた実態調査によって気温・湿度・風の強さが疼痛と関連するか否かを調査した報告をご紹介いたします.

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 今回ご紹介する論文 

How the weather affects the pain of citizen scientists using a smartphone app

William G. Dixon, Anna L. Beukenhorst, Belay B. Yimer, Louise Cook, Antonio Gasparrini, Tal El-Hay, Bruce Hellman, Ben James, Ana M. Vicedo-Cabrera, Malcolm Maclure, Ricardo Silva, John Ainsworth, HuaiLengPisaniello, Thomas House, Mark Lunt, Carolyn Gamble, Caroline Sanders, David M. Schultz, Jamie C. Sergeant & John McBeth

今回ご紹介する論文は英マンチェスター大学のWill Dixon氏らがスマートフォンアプリを用いておこなった調査です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の目的 

この研究では疼痛と気温・湿度・気圧・風速など天候に関する条件と疼痛との関連性を明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の対象・方法 

対象は,関節炎や線維筋痛症,片頭痛,神経障害性疼痛等の慢性疼痛を有する症例2,657人(平均年齢51歳,女性83%)となっております.

対象者はスマートフォンアプリを用いて,関節痛の症状の程度を毎日記録しております.

次にスマホのGPS機能から得た位置情報を用いて地域の天候情報(気温・湿度・気圧・風速)を特定し,痛みとの関連性を明らかにしております.

データの測定は約6カ月間にわたっております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

研究の結果ですが,まずは湿度についてです.

乾燥している日よりも湿度が高い日には,関節痛の重症度が高まることが明らかとなりました.

これは以前にもご紹介させていただきました.

天気痛 なんで雨が降ると関節が痛くなるのか?
今回は天気痛についてご紹介いたしました. 疼痛というのは原因が分からないと不安が増し,疼痛を強く感じやすいといった傾向があります. クライアントに気圧が変化することで疼痛が強くなる原因を分かりやすく説明してあげることも,われわれ理学療法士の重要な役割だと思います.

天気痛というやつですね.

また気圧が低い日や風速が強い日にも疼痛が強くなる傾向にありましたが,気圧や風速よりも湿度が最も疼痛と関連するといった結果でありました.

興味深いのは,気温と関節痛の重症度との間には明らかな関連は認められなかったといった点です.

何と無く寒い日には疼痛が増悪しやすいといった印象がありましたが,そうでもないようです.

しかしながら考えてみると,寒い日には風速が高い日も多いのでそういった点で,冬季の方が疼痛を強く訴えられる方が多いのかもしれません.

またもう1点,非常に興味深いのは雨天と疼痛との関連性もみられておりません

つまり雨が降っていても湿度があまり高くなければ疼痛が強くなることは無いということになります.

一方で雨が降っていなくてもどんよりして湿度が高い状況であれば疼痛が強くなるということになります.

さらに,高い湿度・強風・低気圧の3つの条件が揃う日には,平均的な天候の日と比べて強い痛みを感じる確率が20%高いことも明らかにされております.

これはなんとなくうなづける結果だと思います.

 

今回はスマホを用いた実態調査によって気温・湿度・風の強さが疼痛と関連するか否かを調査した報告をご紹介いたしました.

天候が悪いと関節の痛みが強まるというのは,単なる迷信ではないようです.

理学療法士・作業療法士もこういった結果を受けて,疼痛評価の際には天候を考慮する必要がありそうですね.

また理学療法士・作業療法士は天候を考慮して運動療法を提供する必要があるかもしれませんね.

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