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理学療法士・作業療法士も必見
サウナがトレーニング代わりになるって本当?
寒さも厳しくなってきましたので温泉旅行を予定されている方も多いのではないでしょうか?
温泉施設の中にはサウナが併設されているところも多いですが,近年では,サウナで汗を流すことの効用を裏付ける研究も多く出てきています.
今回はこのサウナがトレーニング代わりになるかどうかについて考えてみたいと思います.
サウナはトレーニング代わりにもなる
ドイツの研究者によると25分間のサウナ入浴をすると,軽いトレーニングと同じくらい体力を使うことになると報告されております.
この研究によると,サウナに入ることによって心拍数と血圧が上昇し,サウナから出ると,普段の心拍数と血圧を下回ることが確認されております.
気になる心拍数や血圧上昇の程度ですが,この研究では中等度の強度で自転車エルゴメーター(エアロバイク)を駆動した場合と同程度の上昇の程度であったと報告されております.
高温環境に体をさらすことで,中等度の強度で運動を行うのと同等のストレスを心臓に付加することができるということになります.
サウナが精神的な健康に与える影響
サウナは精神的な健康にも好影響を与えることも明らかにされております.
サウナに入るとは,心臓の自律神経系のバランスが改善され,迷走神経の活動が高まり,交感神経の緊張を低下させることで,心拍数が落ち着くことが明らかにされております.
またサウナを頻繁に使用する人は,将来的なの精神疾患リスクが低下するといったことまで明らかにされております.
サウナは血圧コントロールにも有用
さらに2017年のAmerican Journal of Hypertensionに掲載された論文では,週4-7回サウナに通った群は,週1回だけの群と比較して高血圧を発症するリスクが50%低くなることも明らかにされております.
ではなぜサウナが血圧コントロールに有効なのでしょうか?
サウナに入ることで体温が上昇すると末梢血管が拡張します.
定期的に末梢血管が拡張されると,血管内膜の機能が向上して,血圧コントロールに寄与できるわけです.
さらにサウナで汗をかくことにより全身の血液量が減少しますので,血圧も下がります.
加えてサウナ入浴後に感じるリラクゼーションは,副交感神経活動を亢進させ,結果的に血圧を安定させることにつながります.
サウナは,脳卒中のリスクを下げる
さらに週4~7回,サウナを利用した群は,週に1回だけサウナを利用した群よりも脳卒中を発症する可能性が61%低いことも明らかにされております.
これはNeurology誌に掲載されたラウカネン医師らによる2018年の研究で報告されたものです.
血圧コントロールができれば脳卒中の発症予防につながるというのは理学療法士・作業療法士であれば想像に難くないと思いますが,こう考えると健康法としてサウナを利用するのは非常に有益だと考えられます.
社会的交流の場としても有用
サウナを利用したことのある理学療法士・作業療法士の方であればご経験があると思いますが,サウナを長時間利用していると,まったく知らない方と会話が弾んでということはよくあります.
高齢者が最近のニュースやスポーツについてテレビを見ながら会話したり,一緒に過ごしたりといった社会的交流の場としてもサウナはとても有用だと思います.
ただしもちろんメリットばかりではありません.
脱水には注意が必要ですし,心疾患を合併されている方は急な血圧上昇によって心疾患が増悪する場合もあります.
理学療法士・作業療法士もこういったリスクをきちんと説明した上で,クライアントにサウナの利用を進めてみてはいかがでしょうか?
文献
1)Zaccardi F1, Laukkanen T2, Willeit P3,4, Kunutsor SK5, Kauhanen J2, Laukkanen JA2,6. : Sauna Bathing and Incident Hypertension: A Prospective Cohort Study. Am J Hypertens. 2017 Nov 1;30(11):1120-1125. doi: 10.1093/ajh/hpx102.
2)Kunutsor SK, Laukkanen T, Laukkanen JA.: Author response: Sauna bathing reduces the risk of stroke in Finnish men and women: A prospective cohort study. Neurology. 2019 Jan 22;92(4):205-206. doi: 10.1212/WNL.0000000000006809.
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