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地域ケア会議において理学療法士が行う助言のポイント
最近は理学療法士が地域ケア会議に出席する機会が増えております.
実際に地域ケア会議に参加してどのような視点でどのような発言をすべきかというのは非常に難しいです.
今回は厚生労働省が公表している専門職向け手引きを元に理学療法士が助言する際のポイントについて考えてみたいと思います.
基本的な理学療法士が助言する際のポイント
地域ケア会議では,それぞれの職種の専門的見地から,専門職としての知識や技術を活かし,共通の目標に向けた支援の方法を考えることを念頭に置いて,問いかけや助言を行うことが重要です.
理学療法士の専門性を生かした発言を行うことが重要ですが,重要なのは共通の目標に向けて助言を行うという点です.
この共通の目標からかけはなれてしまうと,理学療法士の発言は独りよがりの発言に終わってしまいます.
理学療法士の助言ポイント
理学療法士は,主に基本動作能力(立ち上がり・立位保持・歩行)の回復・改善や維持,悪化の防止の観点から助言を行うことになります.
まずは事例の理解と確認・身長・体重・BMI 等の身体組成を確認しましょう.
基本的なところですが,最近は低栄養を合併している高齢者も少なくありませんので,身長・体重・BMIといった身体蘇生を確認することは重要となります.
次に疾病・障害の要因,分類を確認しましょう.
疾患によっては経時的に機能の改善が得られるものもあれば,徐々に機能低下が進行してしまう場合もあります.
したがって疾病の特性を考慮した上で発言を行う必要があります.
移動動作レベル・ADL・運動中止基準の確認も重要です.
特に理学療法士は移動動作に関して他職種から意見を求められることも多いので,移動動作の自立レベルを把握した上で,屋内外で使用している歩行補助具が適切かを考える必要があります.
身体機能をきちんと把握することも重要です,
特に歩行や日常生活動作に必要な関節可動域が確保されているか,拘縮の有無や程度を確認することが重要です.
また身体機能にとどまることなく認知・精神機能障害の程度を評価することも重要です.
さらに住環境・自宅周辺の環境を確認することも重要となります.
生活者の視点で身体機能と環境がマッチしているかどうかを評価した上で環境面に関しても助言が行えると良いです.
課題・目標の明確化と背景要因の確認
ある程度,事例の情報が得られたら,ICFモデルに従って「心身機能」・「機能的制限」・「活動」・「参加」の構造に沿って本人の障害構造を明確化します.
機能面ばかりに目を向けず,特に生活行為や生活範囲を妨げている要因に着目し,生活行為を妨げる要因に対してできる介入を提案することが重要です.
また目標についても,レベルや期間が適切かどうか具体的に考えることが重要です.
現在のサービスやその支援内容を具体的に確認した上で,より効果的な支援内容・プログラムを検討・提案できる準備をします.
在宅では事例の家族の介護負担に着目することも重要です.
介入方法に関する理学療法士の助言のポイント
まず規則正しい生活や散歩などの運動,通いの場などへの社会参加が虚弱や廃用の予防となることを助言します.
筋力トレーニングや関節可動域運動といった介入よりも活動量を増加させる介入が重要であることを認識してもらうことが重要です.
また既に導入されている介護保険サービスや杖などの移動補助具が自立支援につながっているかどうかといった視点も重要です.
導入されているサービスや歩行補助具がご本人の自立を妨げる要因になっていないかを確認した上で助言をしましょう.
今回は厚生労働省が公表している専門職向け手引きを元に理学療法士が助言する際のポイントについて考えてみたいと思います.
的外れなKY発言をしてしまうと理学療法士の信用もガタ落ちです.
ニーズをしっかりと把握した上で良い仕事ができるようにしたいですね.
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