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結局得をするのは専門理学療法士?
登録理学療法士制度の概要が明らかとなり,先日もSNSで話題となりました.
認定理学療法士・専門理学療法士制度の今後についてはまだ詳細は明らかにされておりません.
認定理学療法士制度についてはたびたび改訂が行われてきたところがありますが,実は専門理学療法士制度についてはこれまでにもドラスティックな変化は少なく,その位置づけさえ明らかにされておりません.
今回は結局最終的に得をするのは専門理学療法士ではないかといったお話です.
専門理学療法士制度とは?
以前にもご紹介させていただきましたので,専門理学療法士制度については以下のリンクをご参照ください.
専門理学療法士と認定理学療法士の大きな相違は,学術的な活動に重きが置かれているかどうかです.
認定理学療法士というのはどちらかというと理学療法士としての臨床的な活動に焦点を当てた制度です.
そのため必須研修会の受講や試験に加えて症例レポートの提出を必要とするといったところが特徴的です.
これに対して専門理学療法士を取得するためには,原著論文や学会発表といった学術活動が必要となります.
どちらかというと研究者向けの資格ともとらえられます.
現在のところの専門理学療法士の扱いですが,研修会の領域別の単位認定をみると,認定理学療法士の上位資格に当たる扱いがなされております.
例えば運動器の専門理学療法士であれば,運動器・脊髄損傷・切断・スポーツの認定理学療法士を取得しているのと同等の扱いがなされている場合が多いです.
生涯学習制度を作っているのは?
日本理学療法士協会の生涯学習担当者が中心となって生涯学習制度の構築が行われるわけですが,日本理学療法士協会の上の立場にある方々というのは理学療法士取得からの年数で考えると,経験年数が上の方ばかりです.
そのため先日の登録理学療法士制度のような,経験年数に偏重した経験年数の少ない会員ほど過酷な学習を強いられるといった制度が出来上がるわけです.
結局得をするのは専門理学療法士?
また日本理学療法士協会の生涯学習担当者のほとんどが専門理学療法士制度資格を有しているということを考えると,だいたいどんな制度になるかは想像がつきますよね?
結局は専門理学療法士である自らの既得権益を保持するための制度が構築される可能性が高いわけです.
こう考えると結局は最終的においしい思いをするのは専門理学療法士資格を有する理学療法士になるのではないかと思います.
専門理学療法士資格というのは認定理学療法士資格に比べればかなりハードルの高い資格です.
特に2019年の7月の制度改定では理学療法学・日本理学療法士協会の英文誌をはじめとするなかなかアクセプトされることが難しい雑誌への論文掲載が資格取得の条件となりました.
これほどハードルの高い資格ですから,取得者がおいしい思いをしても良いとも考えられますが,2019年7月まではもう少し簡単に専門理学療法士資格を取得できておりましたし,制度創設当時は学会発表だけでも専門理学療法士資格が取得できたわけです.
これ以上,専門理学療法士を増やすと自らの既得権益が保持できなくなると考えた担当者が専門理学療法士資格のハードルを高くしているという見方もできます.
今回は結局最終的に得をするのは専門理学療法士ではないかといった話についてご紹介させていただきました.
具体的に認定・専門理学療法士制度の今後が明らかにされるまでは何とも言えませんが,専門理学療法士の既得権益を保持するための制度が構築される可能性は高そうですね.
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