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回復期リハビリ病棟における実績指数が操作されている?
昨今の診療報酬では回復期リハビリテーション病棟の制度にも大きなメスが入れられております.
回復期リハビリ病棟と言えば,最も多くの理学療法士・作業療法士の勤務先ですから,診療報酬改定の及ぶ影響は非常に大きいわけです.
回復期リハビリ病棟では2016年から成果主義の一環として,実績指数といったアウトカムを開示することが必要となりましたが,中医協からとんでもないデータが公表されました.
今回は回復期リハビリテーション病棟における実績指数が操作されている可能性が示唆されるデータをご紹介させていただきます.
回復期リハビリテーション病棟の実績指数とは?
平成30年4月の診療報酬改定により,回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する保険医療機関は,毎年7月に,リハビリテーションの提供実績と実績指数について地方厚生(支)局長に報告することが義務付けられました.
この実績指数の算出方法ですが,以下の表に基づいて算出されます.
簡単に言うとこの実績指数によって入院料が変わります.
1人のクライアントが1日入院していれば20,000円の入院料が算定できる場合もあれば,16,000円そこらの入院料になる場合もあるわけです.
たったの4,000円かと思われるかもしれませんが,この4,000円に患者数×日数を乗じると大きな違いになります.
そのためどこの医療機関も実績指数を高くして,高い入院料を得たいわけです.
実績指数を上げるには?
では実績指数を上げるにはどうすればよいでしょうか?
根本的にはクライアントのADLの改善率を上げることです.
そうすれば③のFIM利得が大きくなりますので,実績指数も高くなります.
ただもう1つ方法があるのです.
③のFIM利得を高くするためには,入棟時のFIMを低く見積もればよいわけです.
作為的に低く入棟時のFIMを見積もれば,実績指数は高くなるわけです.
実績指数導入後,入棟時FIMが低下傾向,FIM利得が増加傾向
2019年11月6日に開催された第430回中央社会保険医療協議会総会(以下中医協)において,診療報酬基本問題小委員会からの報告がなされ,中医協として承認されました.
今回の報告では,回復期病棟における実績指数について,実績指数導入後,入棟時FIMが低下傾向,FIM利得が増加傾向にあるとして,FIM得点の経年的な変化についてはFIM測定の制度の担保等を含め,適切な運用を促す仕組みが必要ではないかという意見が挙がったのです.
この結果はある程度予測できた結果
正直なところ,この結果はある程度予測できた結果ではないでしょうか?
どこの医療機関も入棟時のFIMを低く見積もれば,FIM利得を向上させることができるわけですから,それなりの対策をしたわけです.
今後はこの結果に基づいてどんな対策がなされるでしょうか?
おそらく転院先の急性期医療機関のFIMを用いるとかそういった話になるでしょう.
ただこれも提携した医療機関をまきこんで作為的な操作を加える医療機関が出てくることは必須でしょうね.
そもそもFIMの変化が成果主義の成果として適切なのかといった問題もありますが,次回の診療報酬改定では何かしらメスが加えられそうですね.
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