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今年度,来年度に認定理学療法士を取得しても意味が無い?
このブログでも何度か取り上げさせていただいておりますが,日本理学療法士協会の生涯学習制度が大きく変わろうとしております.
先日,協会員に配布されたJPTAニュースの中で,新しい生涯学習制度について,主に登録理学療法士の概要が明らかとなりましたので,ご紹介させていただきます.
今後の生涯学習制度のキーワードとなるのが登録理学療法士制度ですが,この登録理学療法士資格取得に当たっては日本理学療法士協会に入会した年度によって,要件が大きく異なります.
皆様もご自身の入会年度の要件を確認した上で今後の対応を考える必要があると思います.
今回は今後の日本理学療法士協会の生涯学習制度ならびに登録理学療法士制度について考えてみたいと思います.
2020年度入会の理学療法士
2019年度を
起点とした 経験年数 |
2021年4月
時点の 入会年数 |
分類の詳細 | 現制度での
履修単位・ポイント |
前期研修 | 後期研修 |
養成施設最終学年 | 2年目 | 新プロ未修了 | 履修単位:0単位 | 最初からスタート | 最初からスタート |
新プロ未修了 | 履修単位:1~10単位 | BCD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ未修了 | 履修単位:11~14単位 | CD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ修了 | 修了 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
最初からスタート |
2020年度入会の方,つまり現段階で養成校の最終学年にある方はこのような形になります.
基本的には前期・後期研修を受講して,登録理学療法士を取得する道しか用意されておりません.
現行の新人教育プログラムを受講していれば,多少前期研修が免除されることとなっております.
現行の新人教育プログラムの方が座学での講義の受講時間が短いことを考えると,現行の制度のうちに新人教育プログラムを修了させておけば少しは楽かなといったところだと思います.
2019年度入会の理学療法士
2019年度を
起点とした 経験年数 |
2021年4月
時点の 入会年数 |
分類の詳細 | 現制度での
履修単位・ポイント |
前期研修 | 後期研修 |
1年目 | 3年目 | 新プロ未修了 | 履修単位:0単位 | 最初からスタート | 最初からスタート |
新プロ未修了 | 履修単位:1~10単位 | BCD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ未修了 | 履修単位:11~14単位 | CD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ修了 | 30ポイント未満の取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
BCDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 30ポイント以上の取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 |
2019年度入会の方,つまり現段階で1年目の方はこのような形になります.
2019年度入会の方はまず新人教育プログラムを終了しておけば,前期研修の大部分が免除されます(実地研修は必要).
現行の新人教育プログラムの方が座学での講義の受講時間が短いことを考えると,現行の制度のうちに新人教育プログラムを修了させておけば少しは楽かなといったところだと思います.
また新人教育プログラムを修了した上で,現行の履修制度のポイントを30ポイント以上取得しておけば,後期研修のA・Bが免除されることとなります.
30ポイントというのは比較的短期間で取得が可能だと思いますので,現行の制度のうちに取得をしておきたいですね.
2018年度入会の理学療法士
2019年度を
起点とした 経験年数 |
2021年4月
時点の 入会年数 |
分類の詳細 | 現制度での
履修単位・ポイント |
前期研修 | 後期研修 |
2年目 | 4年目 | 新プロ未修了 | 履修単位:0単位 | 最初からスタート | 最初からスタート |
新プロ未修了 | 履修単位:1~10単位 | BCD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ未修了 | 履修単位:11~14単位 | CD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ修了 | 30ポイント未満の取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
BCDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 30~60ポイントの取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 60ポイント以上の取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 認定理学療法士取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 |
2018年度入会の方,つまり現段階で2年目の方はこのような形になります.
2018年度入会の方もまず新人教育プログラムを終了しておけば,前期研修の大部分が免除されます(実地研修は必要).
また新人教育プログラムを修了している場合には,現行の履修制度のポイントの取得状況によって後期研修の一部が免除されることとなっております.
個人的に納得がいかないのは新人教育プログラムを修了して,認定理学療法士を取得していたとしても前期研修の実地研修と後期研修が必要であるといった点です.
これだと現行の制度で,認定理学療法士を取得する意義が全くないと言えないでしょうか?
まだ専門・認定理学療法士制度がどうなるのかは公表されておりませんので,何かしらの対処(例えば,認定理学療法士を取得している者は登録理学療法士を取得すれば,同時に認定理学療法士資格も復活する)がなされることを期待します.
こう考えてみると今回の登録理学療法士制度は経験年数重視の制度ですね.
経験年数が多くても生涯学習に努めていない理学療法士も多いことを考えるとあまり納得のいかない制度だなと思ってしまいます.
2017年度入会の理学療法士
2019年度を
起点とした 経験年数 |
2021年4月
時点の 入会年数 |
分類の詳細 | 現制度での
履修単位・ポイント |
前期研修 | 後期研修 |
3年目 | 5年目 | 新プロ未修了 | 履修単位:0単位 | 最初からスタート | 最初からスタート |
新プロ未修了 | 履修単位:1~10単位 | BCD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ未修了 | 履修単位:11~14単位 | CD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ修了 | 30ポイント未満の取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
BCDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 30~60ポイントの取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 60~90ポイントの取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 90ポイント以上の取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
DEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 認定理学療法士取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
DEFの受講が必要 |
2017年度入会の方,つまり現段階で3年目の方はこのような形になります.
2017年度入会の方もまず新人教育プログラムを終了しておけば,前期研修の大部分が免除されます(実地研修は必要).
また新人教育プログラムを修了している場合には,現行の履修制度のポイントの取得状況によって後期研修の一部が免除されることとなっております.
2017年度入会の方も残念ながら新人教育プログラムを修了して,認定理学療法士を取得していたとしても前期研修の実地研修と後期研修が必要となっております.
2018年度入会の方で認定理学療法士を取得されている方は比較的少ないと思いますが,2017年度入会ですと頑張っている理学療法士は認定理学療法士を取得もしくは今年取得を目指して受験という方は多いと思いますので,そういった方々がやる気をそがれなければいいなと感じます.
繰り返しにはなりますが,まだ専門・認定理学療法士制度がどうなるのかは公表されておりませんので,何かしらの対処(例えば,認定理学療法士を取得している者は登録理学療法士を取得すれば,同時に認定理学療法士資格も復活する)がなされることを期待します.
2012~2016年度入会の理学療法士
2019年度を
起点とした 経験年数 |
2021年4月
時点の 入会年数 |
分類の詳細 | 現制度での 履修単位・ポイント |
前期研修 | 後期研修 |
4~8年目 | 6~10年目 | 新プロ未修了 | 履修単位:0単位 | 最初からスタート | 最初からスタート |
新プロ未修了 | 履修単位:1~10単位 | BCD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ未修了 | 履修単位:11~14単位 | CD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ修了 | 30ポイント未満の取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
BCDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 30~60ポイントの取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 60~90ポイントの取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
CDEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 90~200ポイントの取得 | 見做し前期研修修了者 D(実地研修の受講が必要) |
DEFの受講が必要 | ||
新プロ修了 | 200ポイント以上の取得 | 登録理学療法士 | |||
新プロ修了 | 認定理学療法士取得 | 登録理学療法士 |
2012~2016年度入会の方,つまり現段階で4~8年目の方はこのような形になります.
2012~2016年度入会の方もまず新人教育プログラムを終了しておけば,前期研修の大部分が免除されます(実地研修は必要).
また新人教育プログラムを修了している場合には,現行の履修制度のポイントの取得状況によって後期研修の一部が免除されることとなっております.
2012~2016年度入会の方から新人教育プログラムを修了して,一定のポイントを取得しているか,もしくは認定理学療法士を取得していれば,前期研修の実地研修と後期研修が完全に免除されます.
2012~2016年度入会の方で既に認定理学療法士を取得されている方は多いと思いますが,ここでは登録理学療法士とのみ記載されております.
これが「登録理学療法士+認定理学療法士」を意味するのか,「登録理学療法士のみ」を意味するのかは不明ですが,後者であればここ数年で駆け込みで認定理学療法士を取得した理学療法士の苦労は報われないと思ってしまいます.
登録理学療法士は確定で,何かしらの条件のもとに認定理学療法士に認定されるといったことを期待したいですね.
このあたりは専門・認定理学療法士が今後どうなるのかが発表されないと何とも言えないところですが,都道府県士会関係者から聞いた話では前斜である可能性が高いです.
仮に後者であれば認定理学療法士を取得している理学療法士の意欲は大きく低下し,生涯学習制度に無関心な理学療法士が増えてしまうのは必須です.
2011年度以前入会の理学療法士
2019年度を
起点とした 経験年数 |
2021年4月
時点の 入会年数 |
分類の詳細 | 現制度での
履修単位・ポイント |
前期研修 | 後期研修 |
9年目以上 | 11年目以上 | 新プロ未修了 | 履修単位:0単位 | 最初からスタート | 最初からスタート |
新プロ未修了 | 履修単位:1~10単位 | BCD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ未修了 | 履修単位:11~14単位 | CD(実地研修)受講が必要 | 最初からスタート | ||
新プロ修了 | 登録理学療法士 | ||||
認定理学療法士取得 | 登録理学療法士 |
2011年度以前に入会した方は新人教育プログラムを修了しているか,認定理学療法士を取得していれば必然的に登録理学療法士になれます.
これってどうなのでしょうか?
9年目以上であれば何の努力もなしに登録理学療法士になれて,9年目未満の理学療法士にはかなり高いハードルが課せられているというのは納得できません.
確かに臨床経験は重要だと思いますが,臨床経験年数と生涯学習は別物だと思います.
2011年度以前に入会した理学療法士の方もまた認定理学療法士を取得していても登録理学療法士としか明示されておりません.
これが「登録理学療法士+認定理学療法士」を意味するのか,「登録理学療法士のみ」を意味するのかは不明ですが,後者であれば新人教育プログラムを修了しただけの理学療法士と,努力して認定理学療法士を取得した理学療法士が同等の扱いということになりますので,ここ数年で認定理学療法士を取得した理学療法士の苦労は報われないなと思ってしまいます.
ただ考えてみると,厚生労働省や日本医師会・日本看護協会に認定資格を認めてもらえるには,過去の制度では基準が易しすぎますので,そういった意味では全てリセットして再度,認定理学療法士制度をスタートするということも考えられなくはありません.
最終的には何かしらの条件を果たすと認定理学療法士資格が継続されるといったところに落ち着きそうな気はしますが,気になるのは条件でしょうね.
今回は今後の日本理学療法士協会の生涯学習制度ならびに登録理学療法士制度について考えてみました.
経験年数が多い方は認定理学療法士を取得していれば,「登録理学療法士+認定理学療法士」となる可能性が高いですが,入会年数の浅い理学療法士の場合は,認定理学療法士を取得していても前期・後期研修を受ける必要があるといったおかしな制度が納得できません.
都道府県士会の生涯学習担当者へは協会から新たな専門・認定理学療法士制度に関して要件が提示されておりますが,とてもハードルが高い制度となっております(詳細は明示できませんが…)が都道府県士会から猛反対をくらうと思いますので,おそらくもう少し低い基準に落ち着くのではないかと思います.
まずは専門・認定理学療法士制度が今後どうなるのかについての発表が気になりますね.
2019年11月1日に出された日本理学療法士協会からの通知(抜粋)
2016 年度以前に入会の「認定理学療法士 取得者」は、登録理学療法士の位置づけとなるのか?
JPTA NEWS No.321 に掲載の表は,新生涯学習制度の登録理学療法士(前期研修・後期研修)の移行について示したものです.
2016 年度以前に入会で認定理学療法士を取得している方は,2021 年度は入会 6 年目以上となりますので,前期・後期研修は修了とみなし、登録理学療法士は取得済となります.
新生涯学習制度において登録理学療法士の上に位置づく認定・専門理学療法士制度は,現在,所管委員会にて検討中です.
現制度の認定・専門理学療法士取得会員の,新認定・専門理学療法士制度内での位置づけについては,要件設定等が確定次第,改めてご案内いたします.
この文章を見ても現在,認定理学療法士を取得している理学療法士は「登録理学療法士+認定理学療法士」となる可能性が高そうですね.
一安心です.
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