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Twitterで炎上している寝たきりの方への理学療法提供について
すでにご覧になられた方も多いと思いますが,Twitterで寝たきりの方への理学療法提供に関するツイートが話題となっております.
今回はこのTwitter記事をもとに寝たきりの方への理学療法の意義について改めて考えてみたいと思います.
Twitterで炎上しているツイート
点滴に繋がれた寝たきり患者のリハビリ介入について目的を見失いそうになる。
何のためにリハビリやってんのか、、どうせ目も覚さないチューブに繋がれた生きる屍に対して行なう必要性も感じない。ただこの介入を行うことでコストが発生し自分のお給料になるんだと言い聞かせる。— ゆとりの理学療法士 (@CtHlfQJOej2lPxw) October 16, 2019
現在,話題になっているのがこのツイートです.
ゆとり世代の理学療法士ということで比較的若い理学療法士だと思いますが,このツイートが波紋を広げております.
このツイートに対するリプライの中でも議論されておりますが,そもそも理学療法士の原点は,身体に障害のある者に対し,主としてその基本的動作能力の回復を図るため,治療体操その他の運動を提供するというところにあります.
では基本的動作能力の回復が見込めない場合にはどうすればよいのでしょうか?
療養病棟ではこういった悩みを持つ理学療法士は少なくないのではないかと思いますが,われわれが理学療法を提供すれば,当然ながら医療費が発生し,税金を使うこととなります.
基本的動作能力の回復が見込めないクライアントに対して,拘縮予防と称して関節可動域運動を続けて,税金を使い続けてもよいのかといった思いに陥る気持ちも分からなくはありません.
拘縮・褥瘡予防で税金を使っていいのか?
理学療法士・作業療法士の方であれば基本的動作能力の改善が見込めなくとも予防的に関わることに意義を見出せるのではないかと考える方も多いと思います.
例えば股関節外転可動域・肩関節外転可動域制限が強くなると,清拭や更衣に要する介助量も増えてしまいます.
また葬儀屋の3分間という言葉を耳にされたことのある方も多いと思いますが,亡くなられた方が棺に入る際に,例えば股関節・膝関節の屈曲拘縮が著しくなると,人工的に骨折させて棺に入っていただく必要があります.
遺族の方々にもできるだけ綺麗な姿で最期を見送ってもらえれば,亡くなられた方も嬉しいはずです.
こう考えると拘縮予防にも十分な意義があると思いますし,わわれができるのは拘縮予防だけではないと思います.
適切なポジショニングに基づく褥創予防もまた理学療法士に期待されているところだと思います.
ただこれを税金を使って理学療法士がやるべきことなのかといったところが大きな問題です.
診療報酬上で認められているのだからと言えばそれまでですが,こういったケアは看護や介護のケアの中で行われるべきことではないかといった考え方もできると思います.
問題は表現
上記の内容についてはそれぞれさまざまな考えや価値観があってそれは当然だと思います.
私自身もこの理学療法士に一部賛同する部分もあります.
おそらく正解は無いと思います.
このツイートが炎上しているのは,おそらく表現に問題があるからです.
ゆとりの理学療法士と理学療法士といった名称を使用しているにもかかわらず,クライアントを「チューブに繋がれた生きる屍」と表現している点は残念でなりません…
今回はこのTwitter記事をもとに寝たきりの方への理学療法の意義について改めて考えてみました.
SNSでの表現については理学療法士の皆さんも気を付けたいですね.
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