第6回日本予防理学療法学会開催までに読んでおきたい研究紹介④

介護予防
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 第6回日本予防理学療法学会開催までに読んでおきたい研究紹介④ 

 

一昨年まで行われた日本理学療法士学会が,昨年度から完全に分科会学会単独での開催となりました.

令和元年10月19-20日に広島県で第6回日本予防理学療法士学会が開催されます.

今回はこの第6回日本予防理学療法士学会の一般演題の中から面白そうな研究をいくつかご紹介いたします.

crowd of people in building lobby

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高さの異なるリーチ動作がバランス能力に及ぼす影響について 

 研究の目的 

転倒予防の観点からも有用である,動的バランスの簡易検査としてFunctional Reach Test(以下:FRT)が知られている.

しかし,リーチ動作は椅子やテーブルのような40から70㎝程度の高さに対して行う事が多く,FRTのような肩屈曲90°のリーチ動作は実施する機会が少ない.

これは先行研究でも課題の一つとして述べられている.

そこで,日常での動作を念頭に置いた,床から40㎝の高さの前方リーチ(以下:40㎝リーチ)の有用性と妥当性について検討を行ったので報告する.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

対象は健常若年齢者18名(男性7名,女性11名),年齢は21.1±1.13歳.

方法は,①FRT(Duncanら1990)と②40㎝リーチの最大到達距離を3回測定し,NRSで両者の難易度をみた.

なお,40cmリーチは高さ40cm台を設置し,触れないぎりぎりで前方リーチさせた.

その際,膝屈曲を許可した.

また,先行研究を参考に,妥当性としてバランス能力と関連あるパフォーマンス項目③立位体前屈,④反応時間(棒落下テスト),⑤立ち幅跳び,⑥下肢荷重率を測定した.

分析は1)FRTと40㎝リーチの相関,2)FRT・40㎝リーチを従属変数とし,各項目との相関,3)ハムストリングス柔軟性要素の除外のため,「40㎝リーチ-FRT」をリーチ差とし,リーチ差と立位体前屈の相関をみた.統計解析は,1)2)3)すべてPersonの積率相関係数を使用した.

有意水準は5%とした.

NRSは単純集計で検討した.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

①FRTと40㎝リーチとの間にr=0.593と有意な相関が認められた(p=0.01).

②各パフォーマンスとFRTに関しては,立ち幅跳びとの間にr=0.503と有意な相関が認められた(p=0.03).40㎝リーチは,全ての項目間に有意差を認めなかった.

③立位体前屈とリーチ差との間に有意な相関は認めず,下肢柔軟性の関与は少なかった.④NRSの中央値は両者5.0点で,40㎝リーチとFRTの難易度に差はない結果となった.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結論 

FRTと40㎝リーチは相関をみとめたが,FRTがパフォーマンスと関連があったのに対し,40㎝リーチはすべて関連なかった.

先行研究にて,FRT時に股関節屈曲位・足関節底屈位をとり,重心を前方移動させずにリーチする対象者が多いと報告がある.

動的バランス機能が身体重心の移動を伴う動作を達成する機能であるとすると,40㎝リーチは股関節戦略を使用し重心を前方移動させないリーチ動作であり,動的バランスの評価としては不適当である可能性がある.

また,40㎝リーチは柔軟性の影響を排除できると予測していたが,柔軟性との関与は少ない結果となった.

難易度の違いもないため,FRTの汎用性・簡便性を考慮すると,FRTの方が動的バランスの評価として有用であると示唆された.

 

 

 

 

 

 

 

 感想 

Functional reachも方法によってバランス評価にならないといった結果だと思いますので,かならずリーチを行う際の上肢の高さには注意したいですね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 介護予防自主グループへの参加に関連する要因の検討 

 

 研究の目的 

2015年度に介護予防・日常生活支援総合事業が導入され,全国自治体において住民主体の介護予防活動(以下,自主グループ活動)を促進していく動きが盛んである.

先行研究において自主グループ活動の運動介入によって要介護状態の発生リスクを抑制することが示されており(Yamadaetal.2017),社会保障費が増加し続ける我が国において高齢期に自主グループ活動へ参加し健康寿命の延伸を図ることは重要である.

しかし,一般的な社会活動や健康調査への参加要因について調査した研究はあるが(鈴木ら,2003),自主グループ活動への参加要因に関して調査した研究はきわめて限られている.

そこで,本研究では自治体が実施した一般介護予防事業終了者へのアンケート調査をもとに事業終了後の自主グループ活動への参加の要因を明らかにすることを目的とした.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

本研究では,平成28・29年に東京都北区が一般介護予防事業参加者に対して,事業開始3ヶ月後(以後,T1)と介護予防事業終了6ヶ月後(以後,T2)に実施した自記式アンケートを分析した.

回答を得られたのは230名(男性:56名,女性:174名,年齢:65-95歳)であった.

T1で健康度自己評価および基本チェックリストの合計点,ソーシャルキャピタルの「近隣住民との交流(以下,SC1)」,「近隣住民への信頼の強さ(以下,SC2)」,「近隣住民への相互信頼(以下,SC3)」,地域活動への参加の有無を調査した.T2では自主グループ活動への参加の有無を調査した.

自主グループ活動への参加の有無と各評価項目との関連をロジスティック回帰分析で検討した.

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

参加群は132名(57.4%),不参加群は98名(42.6%)であった.

自主グループへの参加の有無を従属変数,各調査項目を独立変数として個別に投入した単変量のモデルでは,SC2(オッズ比,95%信頼区間:4.63,1.44-14.83)が自主グループへの参加と有意に関連していた.

基本チェックリストの合計点,健康度自己評価,SC1,SC2,SC3,地域活動への参加の有無のすべてを独立変数として投入した多変量のモデルにおいても,SC2(3.96,1.17-13.35)が有意な関連要因であった.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結論 

本研究の結果から,健康度や生活機能,地域活動への参加状況にかかわらず,近隣住民への信頼性が高いと一般介護予防事業から自主グループ活動へ参加しやすいことが示唆された.

一般介護予防事業から介護予防自主グループ化を進める過程で近隣住民への信頼性を高めるような介入をすることによって,自主グループへの参加を促すことができる可能性があるのではないかと考えられる.

 

 

 

 

 

 研究の結論 

現在,理学療法士が関わる通いの場において最も問題となっているのは,通いの場への高齢者の参加率の低さです.

今回のデータを考えるとやはり理学療法士がどうこうというよりは住民同士が近隣住民と信頼関係を構築し,近隣住民を巻き込みながら通いの場が広がっていく必要があると考えられますね.

 

 

 

今回はこの第6回日本予防理学療法士学会の一般演題の中から面白そうな研究をいくつかご紹介いたしました.

学会に参加される方は学会までに抄録をしっかり読み込んで参加したいですね.

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