人工股関節全置換術後に用いられるさまざまな評価ツール

人工股関節全置換術
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 人工股関節全置換術後に用いられるさまざまな評価ツール 

人工股関節全置換術後には治療効果の判定に,さまざまなツールが用いられます.

理学療法士・作業療法士も評価ツールを用いて治療効果の判定に携わる機会は少なくないと思います.

本邦では古くから日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOAスコア)が用いられてきましたが,最近の学会を見るとこの日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOAスコア)の使用は激減し,その代わりに新たな評価ツールが用いられることが増えてきております.

人工股関節全置換術後に用いられるさまざまな評価ツールに関して,理学療法士の視点でその特徴を整理してみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 評価ツール使用の意義 

なぜこういった評価ツールの使用が必要なのでしょうか?

一番はクライアントへのフィードバックや術後の身体機能およびQOLの回復を客観的に評価するためです.

関節可動域や筋力といった個々の要素だけを評価するよりも,今回紹介するような総合的な評価ツールを用いた方が,クライアントにも術前後の変化が分かりやすいわけです.

またこれらの評価ツールは理学療法士・作業療法士のみならず整形外科医の臨床研究にも用いられることが多いので,それぞれの評価ツールの特徴を知っておくことが重要です.

 

 

 

 

 

 

 日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOA hip score) 

日本で古くから用いられてきたのが日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOA hipscore)です.

この最も普及している股関節機能評価墓準である瘤痛(40点) ,可動域(20点) ,歩行能力(20点),日常生活動作(20点)の4項目から構成されております.

この日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOA hip score)の大きな特徴は全てが客観的な評価に基づくものであり,クライアントのQOLや満足度といった主観的な評価が含まれていないといった点です.

 

 

 

 

 

 

 日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ) 

JOAに代わって使用頻度が増えてきているのが,日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)です.

この尺度は日本で開発された患者立脚型評価法です.

痛み(28点),動作(28点) ,メンタル(28点)の三つの質問構成因子で構成されております.

この尺度の特徴はクライアントの主観的な評価が含まれているといった点です.

また日本人特有の和式動作に関する設問が含まれており,現在のところ本邦でもっとも使用されている総合的な評価ツールといえるでしょう.

最近の学会ではこの日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)を用いた臨床研究が非常に多くなってきております

 

 

 

 

 

 

 Harris Hip Score 

本邦では日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)が用いられることが多いですが,国際的に最も普及しているのは,このHarris Hip Scoreです.

疼痛(44点),玻行(11点) ,歩行支持(11点) ,歩行距離(11点),座位(5点) ,公共交通機関の利用(1点) ,階段昇降(4点) ,靴・靴下履き(4点) ,変形(4点) ,可動域(5点)という項目から構成されております.

疼痛は6段階に分かれており,機能は跛行,歩行支持,歩行距離などの歩行能力(33点)と,階段昇降,靴・靴下履き,座位,公共の乗り物利用などの日常生活動作(14点)から構成されております.

JOA hip scoreにはない項目として変形があり,4通りの変形パターンがすべてない場合が4点とされております.

また可動域は満点が5点と,JOA hip scoreに比べ全体に占めるウエイトが小さいのが特徴的です.

こういったスコアの中に跛行が含まれているのは珍しいです.

 

 

 

 

 

 

 Oxford hip score 

Oxford hip scoreも海外の論文では使用されることが多い尺度の1つです.

疼痛と日常生活動作に関連する12の質問項目から構成される疾患特異的なQ○L尺度です.

簡易ではありますが,変形性股関節症特有の身体的影響に限定されるため,QOLを多面的に評価するには包括的尺度との併用が必要となります.

Dawsonにより開発された疾患特異的尺度ですが,本邦でも上杉らにより日本語版が作成され,高い信頼性と妥当性が確認されております.

 

 

 

 

 

 

 WOMAC 

変形性股関節症の健康関連QOLにおける疾患特異的尺度として使用される評価ツールです.

この評価ツールの特徴としては,クライアント自身が健康関連QOLを自己評価するといった点です.

本邦でも2000年代前半からこのWOMACを使用した報告が多く散見されましたが,ここ最近は日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)が使用されることが増えてきております.

 

 

 

 

 

 

 SF-36 

健康関連QOLにおける包括的尺度として有用である身体機能,日常役割機能(身体) ,体の痛み,全体的健康感活力,社会生活機能,日常役割機能(精神) ,心の健康という八つの健康概念を測定するための複数の質問項目から構成されております.

この評価ツールは股関節疾患のみならず,さまざまなクライアントのQOLを評価するツールとして用いられます.

 

 

 

 

 

 

 Hip Disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS) 

股関節疾患患者の主観的な健康関連QOLを測定するための尺度で,症状,硬さ,痛み,ADL,スポーツ,QOLという項目から構成されます.

HOOSは股関節疾患患者の主観的な健康関連QOL(HRQOL: Health Related Quality of Life)を測定するための尺度です.

HOOSはWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)をもとに,Dr. EwaRoosによってデンマークで開発されました.

現在は14カ国語に翻訳され国際的に幅広く使用されております.

HOOS日本語版についても既に信頼性および妥当性が確認されております.

 

人工股関節全置換術後に用いられるさまざまな評価ツールに関して,理学療法士の視点でその特徴について考えてみました.

どれも学会ではよく目にする評価ツールですので,その特徴について理学療法士・作業療法士も知っておきたいものです.

 

 

参考文献

Satoh M, Masuhara K, Sabine Goldhahn, Kawaguchi T: Cross-cultural adaptation and validation reliability, validity of the Japanese version of the Hip disability and Osteoarthritis Outcome Score (HOOS) in patients with hip osteoarthritis, Osteoarthritis and Cartilage, 21, 570-573, 2013

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