最近話題のtext neck(スマホネック)について考える

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 最近話題のtext neckについて考える 

理学療法士・作業療法士の皆様もスマートフォンを使用されている方というのは非常に多いと思います.

私のブログを閲覧いただいているのも実は6割近くはスマートフォンから閲覧いただいているような状況です.

以前からスマートフォンをはじめ,タブレット,携帯ゲーム機などのデジタルデバイスの使い過ぎが原因と疑われる心身の不調を訴える人が増えているといったニュースは多くテレビでも取り上げられております.

今回はスマートフォンが引き起こすさまざまな弊害の中でも頸部周囲の疼痛に着目した概念である,スマホネックについて理学療法士の視点で考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 実は頸部痛を引き起こすのはスマホでなく「不動」であった 

スマートフォンをはじめ,タブレット,携帯ゲーム機などのデジタルデバイスの使用時間が長いと,頚肩腕痛を起こす方が多いわけですが,権威ある脊椎領域専門誌European Spine Journalに掲載された論文が非常に有名です.

この論文は2015年に中国から出されたものですが,タイトルはPhotographic measurement of head and cervical posture when viewing mobile phone: a pilot studyというものです.

この論文の内容ですが,結論としては携帯電話を片手で使うと頸部痛が出やすいという内容です.

この論文では携帯電話を使っている人とそうでない人に分けて比較すると,頸部痛の発生に有意差が認められなかったとされております.

つまり携帯電話を使っている人ほど頸部痛を訴える方が多いというわけではないようです.

否かという単純な話ではなく、多因子であることが他の論文からも分かっているのです。

 

 

 

 

 

 

 知っておきたいtext neck 

スマートフォンをはじめ,タブレット,携帯ゲーム機などのデジタルデバイスの使用による首や肩の不調を表す「text neck」という言葉が学術用語として使われるようになったのは,上述したEuropean Spine Journalに「Text neck and neck pain in 18-21-year-old young adults」という論文が2018年に掲載されてからです.

ちなみにtext neckを扱った論文数は韓国からの投稿が多いという特徴があります.

長時間携帯端末を使用していると頸部痛などが発生するというのは,論理としてはかなり確かなことですが,ここで非常に重要な点は携帯端末を使用している間は「不動」になるといった点です.

つまりスマートフォンをはじめ,タブレット,携帯ゲーム機などのデジタルデバイスを使っているかどうかではなく,長時間にわたって同じ姿勢でいることが問題なわけです.

 

 

 

 

 

 

 頭部の位置と頸部への負担 

頭部の重量は体重の約10%といわれておりますので,体重が60kgの人では6kgということになります.

この重たい頭部が30度前傾すると頸部への負荷は3倍以上になります.

現在のところ頸部が重心線から前に4cm出ると不具合が起こりやすいことも明らかにされております.

人の体はかなり許容範囲が広いので,頸部への負担が3倍になってもすぐに支障が出ることはありませんが,長時間同じ姿勢でいるということが加わるとさまざまな問題が起こります.

考えてみると昔は現代よりも重い荷物を持つ機会が多かったはずですし,長時間の頸椎前屈作業もいろいろあったと思います.

一方で現代のような頸部痛や不定愁訴を訴える人が少なかったのです.

また現代でも一般の人よりも筋緊張の場面が多い運動選手に,そういった症状があるなんて聞いたことないですよね?

そう考えますと頸部痛は,筋緊張に加えて,焦点距離を一定とした同じ姿勢でいること,つまり「不動化」が重なったことによって起こるのだと考えられます.

 

 

 

 

 

 

 Text neckとは? 

理学療法士・作業療法士であれば頭部の重心は耳介を通るというのは知らない方はいないと思いますが,この頭部の重心が前方にシフトすることによって頸椎の椎間板や,頭部を支える頸部伸筋群・筋膜への負担が大きくなります.

頸部伸筋群を支配する神経は,運動機能や自律神経に関わる前庭神経核や,自律神経を司る青斑核などにつながっておりますので,強い負担がかかってしまうと,頭痛や肩こりだけでなく,眼精疲労・冷え症・めまい・頸性狭心症・抑うつ状態を招くことにもつながります.

つまり単なる首や肩の痛みといったようないわゆる筋骨格系の障害のみならず,社会生活継続を妨げる症状を出現させてしまうことになります.

さらに頭部が前方へ偏位することで,頸部前方にある胸鎖乳突筋が浅側頭動脈を圧迫し,頸部後方にある頭板状筋が大後頭神経を圧迫することなども考えられます.

このようにtext neckはわれわれ理学療法士・作業療法士であれば必ず知っておきたい病態です.

 

 

 

 

 

 

 なぜパソコン操作で無くスマホ操作で頚肩腕痛が出現するのか? 

頭部が前傾するのであれば,長時間のパソコン操作や読書などでも同じような症状が発生しそうですが,なぜtext neckはスマホ操作で限定的に出現するのでしょうか?

頸部前屈すると肩甲骨が外転します.

頸部を支える筋肉は肩甲骨に付着しますので,肩甲骨が外転すると頸部と肩甲骨を繋ぐ筋群の走行距離が長くなり,筋や筋膜(fascia)の緊張が強くなりやすいわけです.

パソコン操作の場合には,肩甲骨が大きく外転することは少ないのですが,スマホを使って顔の前で操作・閲覧しようとすると,端末を持っている方の肩甲骨の外転角度が大きくなります

このあたりがスマホのようなデバイスとパソコン操作の大きな違いなのでしょうか?

 

今回はスマートフォンが引き起こすさまざまな弊害の中でも頸部周囲の疼痛に着目した概念である,text neck(スマホネック)について理学療法士の視点で考えてみました.

ポイントは頸部・肩甲骨間に走行する筋群です.

自分自身はもちろんですが,クライアントの頚肩腕痛予防における1つの視点として,text neckについて知識を持っておきたいですね.

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