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今話題の日本理学療法士協会会館建設について考える
先日の参議院選挙における立候補議員と日本理学療法士協会のやり取りの中で日本理学療法士協会会館の費用に関する話題が持ち上がりました.
実は日本理学療法士協会会館の建設に関しては,以前にも話題には挙がっていたのですが,知らない理学療法士が多かったというのが実際だと思います.
今回はこの日本理学療法士協会会館の建設について考えてみたいと思います.
日本理学療法士協会会館建設の背景
日本理学療法士協会も,2019年で54年を経過することとなりました.
日本理学療法士協会の設立時には会員数も非常に少なく事務局機能も仮住まいのマンション事務所と数名の事務員で機能していたわけです.
それから数十年が経過し,事務局を今後増加する業務と職員増員を見込み,現在,千駄ヶ谷にある協会会館の建設が始まりました.1998年に竣工し現事務所が開設されました.
当時の有資格者の増加見込みは緩やかなカーブを想定していましたので,20名程度が勤務する事務室20人程度の会議室,会長室資料室など,先人の想いの詰まった建物が完成しました.
しかし,時代の流れは急激で理学療法士を取り巻く状況は大きく変化しています.
なかでも2000年の公的介護保険の創設が基点となり,回復期リハビリテーション病棟,介護保険サービスである通所・訪問リハビリテーションなど,理学療法士の勤務先は急増しております.
それに合わせて養成校も増加し,40年目で6万人,50年目で13万人まで理学療法士の有資格者が急激な上昇カーブで輩出されている状況です.
現在の会館設立時にはこのような状況は予想し得なかったとも考えられます.
当然ながら日本理学療法士協会の運営にも大きな影響があり,増加する会員の数への対応だけでなく,組織の拡大は組織の力を示すものでもあり,理学療法士の地位の向上,学識の向上など,さまざまな状況に対応できる拠点機能が求められている状況です.
現在は,千駄ヶ谷の事務所内部を改修し40名強の事務員を3フロアに分散し,押し込む状態で業務が行われております.
その結果として千駄ヶ谷の事務所は会議や研修会への対応が不可能となっており,田町にカンファレンスルームを開設し, 2つの事務所機能で運営を行っている状況です.
私自身もこの田町のカンファレンスルームには何度か足を運んだことがあります.
推定を大きく上回るペースで増加する会員を支えるには,現在の事務局分散体制では費用対効率が悪いと考え,新会館建設の計画が始まりました2014年より会館の骨子をつくる諮問委員会が開催され,2017年には会館建設委員会が立ち上がり,2018年1月より東京都港区六本木に土地の取得2月より設計事務所の選出し,基本設計案の作成が始まっております.
さらに2019年1月より既存建物の解体工事新会館建設が開始され2020年度3月の竣工を目指しております.
気になる日本理学療法士協会会館建設に要する費用は?
現在の,会館やカンファレンスルームの利用に要している費用ですが,専用会議室(田町)借上げコストが約2,200万円/年 (会議支援に係る経費含む),別途事務所隣倉庫借上げに要する費用が約120万円/年となっており,年間で2,500万円弱の費用が必要な状況です.
また機能的収容面積の不足から1フロアでの事務機能集約が困難であり,事務局職員の会館・専用会議室間移動における業務が非効率な状況にあります.
気になる日本理学療法士協会会館新設に要する費用ですが,六本木への移転予定となっており,土地・建築費・解体費込みで20億円が必要な状況です.
ちなみに意外に知られていないことですが,日本理学療法士協会員の協会費には会館積み立て金1,000円が含まれています.
なぜ六本木会館の設立については,なぜもう少し土地の安い田舎に新設しないのかといった意見も出ておりますが,足を運ぶ事務員職員の移動時間や旅費,関係期間とのやり取りの効率性を考えると都心がベストだという考えのようです.
これも知らない方が多いと思いますが,こういった内容も協会が勝手に決めているというよりは,第48回日本理学療法士協会定時総会で決議されている内容です.
今回はこの日本理学療法士協会会館の建設について考えてみました.
現在の理学療法士の給与を考えると,こんな馬鹿高い会館の建設が本当に妥当かどうかといった意見もあると思います.
私自身は年間1,000円でこんなものが建設できるのであれば,それはそれで新設していただきたいと思っておりますが,大切なのは中身です.
素晴らしい建物がたっても運営の中身が伴わなければ,1,000円を返していただきたいと思ってしまいます.
参議院議員選挙の件で協会に不信感を持った理学療法士の方も少なくないと思います.
要は費用対効果だと思いますので,素晴らしい建物できっちりとしたお仕事をしていただきたいと思うわけです.
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