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どの都道府県が最も理学療法士が飽和しているのか?東北地方は安泰?九州地方は不安?
皆さんはご存知でしょうか?高齢者は増えないのに理学療法士が増える時代に突入していることを…これが何を意味するかというと非常に単純です.
理学療法の主な対象が高齢者ですから,このままですと単純に仕事がなくなってしまうことになります.
事実,一部の都道府県では地元への就職を希望する学生の就職先が無く,県外就職を余儀なくされるといった学生も出てきている状況です.
日本理学療法士協会もこういった状況をふまえ,職域拡大のためにいろいろと手をうっておりますが,理学療法士養成数にこの職域拡大が追いつくかどうかすら怪しいところです.
ただ実はこの理学療法士数と高齢者数のバランスというのは都道府県によっても大きく異なります.
今回はどの都道府県が最も理学療法士が飽和しているのかについてデータからひも解いてみたいと思います.
都道府県によっても高齢者数と理学療法士数が異なる
理学療法士の対象者の多くは高齢者ですので,現状の理学療法の対象のフレームで考えると,理学療法士の仕事を確保する上では65歳以上人口/理学療法士数を考えることが重要です.
現実には理学療法士数は把握することができませんので,ここでは理学療法白書2018を元に65歳以上人口/日本理学療法士協会員数で考えることとします.
あくまで日本理学療法士協会会員のみを対象としているので,厳密に言えば少し数値に相違があるかもしれませんが,都道府県によって協会会員の入会割合が大きく異なるといった状況ではありませんので,十分に参考にはできる数値だと思います.
結論から言えば都道府県別の理学療法士数に対する高齢者数は東高西低といった状況です.
特に東北地方で理学療法士数に対する高齢者数が多く,九州地方で理学療法士数に対する高齢者数が少ない状況です.
当然ながら理学療法士数に対する高齢者数が多いということは理学療法の対象となる高齢者が多くなりますので,仕事が多くある場合が多いということになりますし,理学療法士数に対する高齢者数が少ないということは理学療法の対象となる高齢者が少なくなりますので,仕事が少ない場合が多いということになります.
最も理学療法士数に対する高齢者数が少ないのは?
ワースト1位は高知県で理学療法士数に対する高齢者数が151人となっております.
以下に順位と理学療法士数に対する高齢者数を示します.
第1位:高知県151人
第2位:鹿児島県176人
第3位:沖縄県180人
第4位:佐賀県182人
第5位:熊本県188人
第6位:長崎県198人
第7位:大分県210件
第8位:徳島県212人
第9位:福岡県218人
第10位:鳥取県234人
最も理学療法士数に対する高齢者数が多いのは?
最も理学療法士数に対する高齢者数が多いのは秋田県で理学療法士数に対する高齢者数が550人となっております.
これはワースト1位の高知県の3倍以上の数値です.
都道府県の間でここまで開きがあるのです.
第1位:秋田県550人
第2位:青森県443人
第3位:栃木県439人
第4位:新潟県431人
第5位:神奈川県405人
第6位:岩手県401人
第7位:宮城県392人
第8位:三重県378人
第9位:福島県378人
第10位:東京県376人
なぜこんなアンバランスが起こるのか?
なぜここまでアンバランスが起こるのでしょうか?
一番は養成校数と高齢者人口に違いがあるからです.
養成校を新設する際に高齢者数までが考慮されていることはほとんどありません.
また特徴的なのは九州地方です.
九州地方と言えば福岡県で某法人の養成校新設に対して県の理学療法士会が強く反対をしたといった歴史がありますが,裁判にまで持ち込まれ,最終的に法人の養成校新設が認可されました.
これは私見ですがこういった裁判の結果が九州地方の養成校の開設を加速させた時代があったのではないかと考えております.
今回はどの都道府県が最も理学療法士が飽和しているのかについて考えてみました.
ここまで理学療法士の飽和度は都道府県で格差がありますので,今後転職等を考えられている方は1つの情報として知っておきたいところです.
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