運動前のストレッチには害も益もない?

運動療法・物理療法
スポンサーリンク
スポンサーリンク

 運動前のストレッチには害も益もない? 

理学療法士が指導することが多いストレッチですが,昔から運動前にストレッチを行うと障害予防につながるといった話があります.

でもこれって本当でしょうか?

近年は運動前のストレッチの是非は,スポーツ界ではさまざまな議論があります.

今回は運動前のストレッチにはどういった意味があるのかについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 ストレッチの効果は? 

米国陸上競技連盟(USA Track and Field)のある研究では,13~60歳の1,400名を対象に比較実験を実施被験者を2グループに分け,縦断的に調査を行っております.

まず対照群はストレッチを行うことなく運動を行う群,もう一方の群は静的ストレッチ(下腿三頭筋・大腿二頭筋・大腿四頭筋)を行ってから運動を行うストレッチ群としております.

運動はランニングを主体としたプログラムを実施しております.

3ヶ月間ランニングを継続したところ,対照群もストレッチ群も,それぞれ16%が怪我をしたと報告されております.

つまりこの結果からみると,ストレッチは障害予防効果が無いとも考えられます.

 

 

 

 

 

 

 ストレッチには害も益もないのか? 

最近の研究結果では,運動前の静的ストレッチは,障害の予防につながらないのみならず,パフォーマンスを低下させる可能性も指摘されております.

過去のある実験では,静的ストレッチを行うと,ストレッチをしない場合に比較して,ジャンプのパフォーマンスが低下するといった報告もなされております.

一方で,ランニングで起こりがちな,筋肉などへの酷使による怪我の防止には,多少なりとも効果があるとする報告もあります.

 

 

 

 

 

 

 ストレッチが習慣になっている場合にはどうすればよいか? 

そうはいってもすでに運動前のストレッチが習慣にないっている方も少なくないと思います.

運動前にストレッチを行わないとなんとなく運動を実践できないといった方もいらっしゃるでしょう.

実際に米国陸上競技連盟の研究によると,運動前のストレッチを習慣にしていた人が,急にストレッチをやめてしまうと,障害発生率が高くなったと報告されております.

従来のルーチンに体が順応しておりますので,その習慣を急にやめてしまうと障害が発生しやすいようです.

つまりこれまで習慣にしてきた人はストレッチを継続したほうがよいということになります.

 

 

 

 

 

 

 ストレッチばかりが準備運動ではない 

準備運動であればストレッチである必要はありません.

例えばランニングを行う前に少し歩くといった方法でも十分に準備運動になります.

特に静的ストレッチの場合にはIb抑制により筋出力が低下しやすいので,高いパフォーマンスを発揮したい場合にはストレッチを行うよりも大股でゆっくりと歩行するといった動的な運動を行った方がパフォーマンスを低下させること無く運動の準備を行うことができるとも考えられます.

 

今回は運動前のストレッチにはどういった意味があるのかについて考えてみました.

今のところ運動前のストレッチには益も害もないといったところではありますが,ここでいうところのストレッチはすべて静的ストレッチに該当するものです.

今後は動的なストレッチやその他の準備運動に関する障害予防効果に関する報告が待たれます.

 

参考文献

1)McHugh MP, Cosgrave CH: To stretch or not to stretch: the role of stretching in injury prevention and performance. Scand J Med Sci Sports. 2010 Apr;20(2):169-81.

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました