PNFにおける正常のタイミングと発散について

運動療法・物理療法
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目次

 PNFにおける正常のタイミングと発散について 

今回もPNFに関してです.

前回はPNFの促通の抵抗について筋力増強の観点からご紹介させていただきました.

今回は促通の要素の中でも正常のタイミングと発散について理学療法士の視点で考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 正常のタイミング 

動作を遂行するには連続した協調性のある運動が必要となります.

協調性のある効率的な運動では運動は遠位から近位へと進みます.

また回旋要素に注目すると効率的な運動では回旋が最初から最後まで行われていることがわかります.

運動は遠位から近位へ,回旋は最初から最後まで均等に」といった原則を守ることが重要となります.

 

 

 

 

 

 

 

 実験してみましょう -どちらが力が入りやすいでしょう?- 

この正常のタイミングといった促通の要素の重要性は自分で感覚的に経験をしてみるとよくわかります.

 

手指伸展・手関節背屈位で肩関節を屈曲するのと,手指屈曲・手関節掌屈位で肩関節を屈曲するのではどちらが肩関節に力が入りやすいでしょうか?

おそらく手指伸展・手関節背屈位で肩関節を屈曲した方が肩関節が屈曲しやすいと思います.

このように遠位から正常なタイミングで運動を誘導すると近位の運動を促通しやすくなるわけです.

 

 

 

 

 発散と強化 

発散というのは刺激に対する反応が拡大したものです.

強い筋群に抵抗を加えることで,弱い筋群をより強力に収縮させることができます

これを強化と呼びます.

 

 

 広義の発散 

運動パターン内(共同筋群間)での発散は広義の発散と呼ばれますがこれに関しては以前にもご紹介させていただきました.

 

運動パターンへの抵抗や伸張刺激はパターン内で活動する筋群の筋活動を増大させることが可能です.

これは広義の発散と呼ばれますが,遠位⇒近位,近位⇒遠位といったようにパターン内で筋活動を増強することができるのです.

 

 

 

 

 近位⇒遠位 

遠位筋の活動が十分に行えない場合,近位の共同筋群に強い抵抗をかけることで遠位筋の活動を促通することができます.

例えば,股関節・膝関節周囲筋の機能は比較的保たれているものの,足関節の自動背屈運動が困難な脳血管障害片麻痺患者に対し,股関節・膝関節の屈曲に対し抵抗をかけることで背屈運動を促通することができます.

 

 

 

 

 遠位⇒近位 

近位筋の活動が十分に行えない場合,遠位の共同筋群に強い抵抗をかけることで近位筋の活動を促通することができます .

例えば,大腿骨近位部骨折術後7日目,立ち上がり時の骨盤前傾を促す目的で腸腰筋の活動を得たいが疼痛が強く困難な例に対して,足関節背屈へ抵抗刺激をかけることで腸腰筋の活動を促通することができます.

 

 

 

 狭義の発散 

これに対して運動パターン外への発散は狭義の発散と呼ばれます.

 

一般に健側肢に強い抵抗を加え,患側肢への発散を狙う場合が多いです.

狭義の発散(運動パターン外)を狙ってパターンを行う場合には,運動パターンを行うことによって,①どこへ運動が波及するか,②どこが固定に使われるか,③交叉性屈曲・伸展反射,④姿勢などを考える必要があります.

 

この場合には上肢の伸展・内転・内旋パターンの使用により,頸部・体幹の屈筋群へ,さらには対側股関節屈筋群へも運動が波及しているのがわかります.

同時に同側下肢へは身体を固定させるための伸展方向への活動が出現しています.

 

この図の場合には下肢の屈曲・内転・外旋パターンの使用により,対側下肢の伸展・外転・内旋パターンが促通されているのがわかります.

上肢のパターンでも交叉性屈曲-伸展反射が出現しますが,下肢パターンでほど強いものではありません.

 

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