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理学療法士が考えるダイエット(減量)に効果的なウォーキングのコツ
どれくらいの歩幅で歩くのが効果的なのか?
理学療法士であればクライアントの歩行に関して様々な指導を行う機会が多いと思います.
ウォーキングに関してもさまざまな指導をされると思いますが,皆様はウォーキング中の歩幅に関してどのように指導をされていますか?
なんとなく歩幅を大きくすると効果的な感じがすると思いますが,あまり大きくすると歩行率は低下してしまいますので,逆に消費エネルギー量が少なくなってしまう気もします.
今回はどのくらいの歩幅でウォーキングを行うのがダイエット(減量)に効果的なのかについて考えてみたいと思います.
歩幅を広くすることが重要
歩行運動は正しいフォームで行うことにより,ダイエット(減量)効果も大きく変わります.
ダイエット(減量)効果を高くするためには,歩幅を広くして大股で歩く方法が効果的です.
あまり知られていませんが,ウォーキングによるダイエット(減量)効果を高めるには,歩幅を広くすることが重要となりますが,実際には多くの方が理想とされる歩幅より狭いフォームでウォーキングを行っていることが多いのです.
大股で歩く効果とメリット
歩幅を大きくして大股で歩くと何が良いのでしょうか?
まずは歩幅を大きくすると立脚終期における股関節伸展角度が大きくなりますので,腸腰筋の活動を活性化することができます.
また歩幅を大きくして大股で歩くことで消費エネルギー量が増えることも明らかにされております.
歩幅を大きくして大股で歩くことで,通常の歩行時と比べて消費エネルギー量が約1.2倍に増えることが明らかにされております.
本当に歩幅を大きくするだけでうまくいくか?
本当に歩幅を大きくするだけでうまくいくかを考えるために,走行を例に考えてみたいと思います.
走行にはstride走法(歩幅を大きくとる走法)とpitch走法(単位時間あたりの歩数を多くする走法)があります.
歩行においても歩幅を大きくとり速度を早めようとするstrategyと,歩行率を多くすることによって速度を速めようとするstrategyが考えられます.
ある一定の歩幅まではより歩幅を大きくすることで歩行率を減少させること無く歩行速度を向上させることが可能となります.
しかしながら歩幅を必要以上に大きく(身長の70%以上)すると歩行率が低下してしまい,結果的に歩行速度は低下し,消費エネルギー量も減少してしまうことになります.
また歩幅を大きくすることで単位時間当たりのエネルギー消費量を増やすことができたとしても,歩行効率が低下して連続歩行距離やウォーキングを行う時間が短くなってしまうとあまり意味が無いわけです.
そういった意味では酸素摂取量(消費エネルギー量)が最低となる経済的歩幅,つまりもっとも歩行効率の高い歩幅で長時間ウォーキングを行った方が結果的にはダイエット(減量)効果が大きくなると考えられます.
どのくらいの歩幅がウォーキングに最適か?
酸素摂取量(消費エネルギー量)が最低となる経済的歩幅についても多く研究がなされておりますが,一般的には70~80cm程度が理想であるとされております.
この歩幅が短すぎても,長すぎても歩行効率は悪くなってしまいます.
つまり長い距離を続けてウォーキングを行いダイエット(減量)効果を高めたいのであれば,経済的歩幅である身長の40-45%程度,おおよそ70~80cmが理想的な歩幅であると考えられます.
一方で比較的短い距離を速く歩きたい場合には,歩幅を広げて(身長の70%程度,100~110cm程度)歩くことが勧められます.
このようにどのくらいの距離をウォーキングするかによっても適当な歩幅が変化するということです.
そもそも「歩幅」って?
今さらにはなりますが,そもそも歩幅が何かといった定義も重要です.
通常は歩幅というのは,ウォーキング中に前後になっている足のつま先からつま先までの距離(踵~踵でも問題ありません)を指します.
歩数計や活動量計を販売している「オムロン」もまた歩幅の目安として身長の45%程度を推奨しております.
したがって身長が160cmの方であれば,72cmの歩幅が理想ということになります.
ただ実際に身長の45%なんていいわれてもピンときませんよね?
そういった場合には歩幅を簡易的に決定する良い方法があります.
肩幅を目安に歩幅を決定する方法です.
まっすぐに立った状態で両足を肩幅に合わせて開きます.
ここから足の位置を変化させること無く側方を向いてください.
これが身長の約45%程度に該当する理想的な歩幅です.
1万歩は何キロぐらいになる?
理想的な歩幅でウォーキングを行えるようになれば,万歩計や活動量計からおおよその歩行距離を算出することも可能となります.
仮にウォーキングの目安としてよく用いられる「10,000歩」をウォーキングしたとすれば,歩幅×10,000歩ですから7,200mつまり7.2km歩行したことになります.
ウォーキングってなかなか続きませんので,今日はこのくらいの距離を移動できたんだといった具体的な距離をイメージしてもらうということも継続してウォーキングを行うためには重要だと思います.
最近はGRUS 心拍計付歩幅計シルバーに代表されるような歩幅を測定できるウォーキングウォッチも販売されるようになってきております.
これは東京都健康長寿医療センター研究所の研究結果に基づき開発された最新のウォーキングウォッチです.
こういった機器も合わせて使用すればダイエット(減量)により効果的なウォーキングが実践できると思います.
参考文献
1)安藤正志,黒沢和生,丸山仁司,他:歩幅の変化が速度・酸素摂取量におよぼす影響.理学療法のための運動生理8:111-114,1993
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