理学療法士からみた単関節筋と二関節筋

運動療法・物理療法
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 理学療法士からみた単関節筋と二関節筋 

ストレッチングや筋力トレーニングなど,理学療法士は筋に対してアプローチをする機会が少なくありません.

ストレッチングや筋力トレーニングを行う上では,対象とする筋の特徴を知っておく必要があります.

筋は大きく分類すると単関節筋と二関節筋に分類されますが,単関節筋と二関節筋の特徴を理解しておくことが重要となります.

今回は理学療法士の視点で単関節筋と二関節筋について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 股関節と膝関節における二関節筋 

不思議なことに股関節と膝関節を同時に伸展できる二関節筋は存在しません.

股関節と膝関節の二関節筋には,股関節屈曲・膝関節伸展の作用をもつ大腿直筋,股関節屈曲・膝関節屈曲作用をもつ縫工筋,股関節伸展・膝関節屈曲作用をもつハムストリングスがありますが,荷重時に最も重要と考えられる股関節伸展・膝関節伸展作用を有する二関節筋は存在しません

 

 

 

 

 押し動作における単関節筋と二関節筋 

上肢における多関節動作である押し動作時を考えてみたいと思います.

単関節筋および二関節筋の筋活動と押し動作の方向との関係を考えてみると,単関節筋である三角筋は66%,上腕三頭筋外側頭は105%の筋活動を示しているのに対し,二関節筋である上腕二頭筋長頭は22%,上腕三頭筋長頭は81%活動しています.

二関節筋の筋活動が単関節筋に比べ低いのは,上腕二頭筋短頭は肩関節屈曲に対しては動筋であるのに対し,伸展では拮抗筋として働くことになるためです.

同様に上腕三頭筋長頭は肩関節屈曲では拮抗筋として肘伸展では動筋として働くことになりますので,筋活動が小さいわけです.

 

 

 

 

 変換器としての二関節筋 

二関節筋は変換器としての役割をもちます.

走行時の股関節と膝関節伸展相における筋の相互作用について考えたみたいと思います.

大腿四頭筋の広筋群と大殿筋はどちらも単関節筋ですが,二関節筋の半腱様筋と大腿直筋はともに共同的に収縮します.

大腿四頭筋の広筋群と半腱様筋は両方とも活動していますが,広筋群の収縮は,膝伸展だけでなく活動中の半腱様筋を伸張します.

半腱様筋は股関節の伸展による短縮と同時に膝では伸張されますので,その筋の長さは全体としてほとんど変わることはありません.

したがって半腱様筋は股関節を伸展させますが,等尺性収縮に近い活動を行っていることになります.

この半腱様筋の作用は,筋の力-速度関係上非常に有利です.

筋力は短縮スピードが増加するほど低下するため,股関節で短縮,膝で伸張されることによって等尺性収縮を行うことにより効率良く筋力を発揮できます.

股関節と膝関節伸展では,広筋群が膝伸展によって半腱様筋の収縮速度を低下させ,股関節伸展力を間接的に補強しています.

また筋の長さ-張力関係に基づき,半腱様筋の受動張力や筋張力は,筋が伸張されると増加します.

このように半腱様筋(他のハムストリングスも同じ)は収縮中の広筋群から伸展している股関節へ力を伝達する変換器として機能していることになります.

股関節と膝関節の伸展の際,大殿筋と大腿直筋の関係は,広筋群と半腱様筋の関係と類似しています.

単関節筋である大殿筋は,股関節伸展によって活動中の大腿直筋を伸張し,膝の伸展力を補強します.

股関節伸展筋群と膝関節伸筋群の相互依存は最も効果的な力発揮を可能にします.

例えば,椅子から立ち上がるような股関節と膝関節伸展の組み合わせを要する機能的活動を評価する際に,この相互依存が考慮されることになります.

 

 

 

今回は理学療法士の視点で単関節筋と二関節筋について考えてみました.

少し難しい話になったかもしれませんが,二関節筋というのは過剰収縮により活動を抑制することに主眼が置かれることが少なくありません.

しかしながら,今回のように本来の二関節筋の役割を考えてみると二関節筋の存在というのはわれわれの動作を行う上で欠かすことができないものだと認識を改めることができるでしょう.

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