CRとPSでは関節可動域(ROM)運動の方法が異なる

人工膝関節全置換術
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 人工関節のタイプに合わせた関節可動域運動 

 CRとPSでは関節可動域(ROM)運動の方法が異なる 

以前にもご紹介させていただきましたが,人工膝関節全置換術(TKA)は後十字靭帯の温存によって,大きく分類するとCR型とPS型に分類することができます.

CR型とPS型では人工膝関節そのもののバイオメカニクスが大きく異なりますので,当然ながら関節可動域運動時にも注意すべき点が異なります.

今回はCR型・PS型といったインプラントの相違によって,関節可動域運動時に何に注意すべきかを考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 CR型とPS型 

TKAには大きく分けて,生体の膝組織の構造・バイオメカニクスを人工膝関節でできるだけ忠実に再現するanatomical approachのコンセプトに基づいた後十字靱帯温存型:posterior cruciate retaining(CR)型,実用的な機能の再現を第一に考え,構造・バイオメカニクスで機能を代償して人工関節を作製するfunctional approachのコンセプトに基づいた後十字靱帯切除型:posterior stabilized(PS)型,蝶番型:hinge typeがあります.

PCLはrollbackという膝関節の生理的な屈曲運動に関与しております.

CR型のPCLを温存する利点としては後方へのprimary stabilizer rollbackの誘導,側方動揺性のmedial stabilizer,固有位置感覚機能の温存,応力分散による骨インプラント間のストレス軽減,膝関節伸展機構のレバーアーム延長による筋力効率の向上などがあげられます.

CR型に対しPS型はPCLを切除しpostcam機構によりrollbackを強制的に誘導する機構が組み込まれております.

PS型の利点としてPCL切除により関節変形の矯正が容易であり,術中視野がよくなり正確な骨切りと適切なコンポーネントの設置が可能になるといわれております.

このようにCR型とPS型は異なる特徴を持っているわけですが,関節可動域(ROM)運動を行う上では,PS型がCR型より有利であるといわれております.

CR型のTKA後においては,残存したPCLの変性や機能不全などにより,膝関節屈曲運動時にうまくmedial pivot JP rollbackが誘導されない可能性があります.

後十字靭帯が十分に機能している場合には問題無いのですが,人工膝関節全置換術の適応となる変形性膝関節症例で後十字靱帯が機能していることは少ないわけです.

そのため,膝関節屈曲運動時の大腿連動と下腿運動の動態を把握し,評価に基づき必要に応じて徒手的に関節運動を誘導することが必要となります.

重要なことは, TKAの特性を知り適切な膝関節運動を促すことです.

 

 

 

 

 CR型と人工膝関節全置換術(TKA)に対する関節可動域(ROM)運動 

前述の通り,CR型のTKA後においては,残存したPCLの変性や機能不全などにより,膝関節屈曲運動時にうまくmedial pivot JP rollbackが誘導されない可能性があります.

したがって屈曲可動域運動の際には,rollbackを誘導しながら関節可動域運動を行う必要があります.

具体的には脛骨を前方へ引き出しながら可動域運動を行うことが重要となります.

同時に膝関節屈曲に伴う下腿の内旗を誘導しながら関節運動を行うことも重要です.

 

 

 

 

 PS型の人工膝関節全置換術(TKA)に対する関節可動域(ROM)運動 

PS型のTKA後においては,postcam機構によってrollbackが強制的に誘導されますので,下腿(脛骨)の操作は不要です.

PS型のTKAが適応される症例の特徴としては,後十字靱帯の変性が著しく,関節変形が高度な症例が多いので,矯正に伴う内側軟部組織のtightnessが顕著な場合が多いです.

したがって縫工筋や内側ハムストリングス等の大腿内側の軟部組織の伸張性向上を図りながら,屈曲可動域運動を行うことが重要となります.

 

今回はCR型・PS型といったインプラントの相違によって,関節可動域運動時に何に注意すべきかを考えてみました.

上述したようにCR型のインプラントとPS型のインプラントでは関節可動域運動を実践する際に考慮する点が異なります.

まずはCR型・PS型のインプラントの特徴を理解した上で,事前にインプラントの種類を把握した上で関節可動域運動を行うことが重要です.

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