脊椎骨折の外固定期間と離床のタイミング 骨癒合を妨げない臥位姿勢とは?

脊椎圧迫骨折
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 外固定期間と離床のタイミング 骨癒合を妨げない臥位姿勢とは? 

脊椎骨折に限ったことではありませんが,主治医によってクライアントの外固定の期間や離床のタイミングが異なり,困惑するといった経験をする理学療法士は多いのではないでしょうか?

またクライアントからも早くコルセットを取りたい等といったコルセットの不快感の訴えを耳にする機会は非常に多いと思います.

医師によって考え方が異なるためと言われればそれまでですが,今回は脊椎骨折の外固定期間と離床のタイミングについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 理学療法士が気になる脊椎骨折例の外固定期間 

今回の内容ですが,そもそも外固定期間は各施設や主治医によってそれぞれ考え方が異なるため,ひとつの参考として捉えていただくようよろしくお願いいたします.

 

骨折の不安定性が強く脊椎骨折後に体幹ギプス固定が選択された場合は入院を基本とし,治療開始1 カ月後のX線やCTにより骨癒合が進展し疼痛が軽減していれば,硬性コルセットに変更して退院となります.

脊椎破裂骨折と圧迫骨折の違いについては以前もご紹介させていただきましたが,破裂骨折なんかはこういったケースが多いですね.

その後、治療開始2カ月後のⅩ線やCTにより圧潰の進行が食い留まっていれば,硬性コルセットから軟性コルセットへと変更されますが,不安定性が残存していれば装着期間を1カ月間延長します.

 

前方支柱を主体とする脊椎圧迫骨折例では体幹ギプスが使用されることは少なく,半硬性コルセットや軟性コルセットが作成されることが多いです.

この場合には骨癒合状況や腰背部痛の程度に応じてコルセットの装着期間が決定されます.

一般的には治療開始2カ月後のX線やCTにより骨癒合が進展し疼痛が軽減していれば,軟性コルセットへ移行します.

軟性コルセットの装着に関しては2~3か月程度ということが多いと思います.

コルセットを除去するのは簡単ですが,やはり偽関節や圧潰のリスクを考えると安易にコルセットを除去するのは怖いですよね.

最終的には3カ月以降も薬局で販売されているような簡易コルセットの装着を勧められる場合も少なくありません.

 

 

 

 離床時期 

圧迫骨折に対する離床時期は一定の見解が得られておらず,早期離床を勧める施設と2~3週間程度ベッド上安静を設けてから離床を勧める施設とがあります.

われわれ理学療法士・作業療法士は選択された固定法に準じて適宜対応することが重要となります.

当然ながら高齢者に長期臥床や安静を強いることは廃用性症候群が進展し,移動能力や身体能力を奪うきっかけとなるため,早期離床をすることが重要であると考えられます.

高齢者が1日臥床をするだけでも筋力低下は加速的に進行しますので,早期離床が重要となるわけです.

また安静臥床をしても圧潰変形や偽関節を抑止することが困難といった見解もあり,十分な外固定を行った上で早期離床を進めることが重要となります.

しかし,早期離床を行う場合は強固な外固定のみならず,適切な日常生活動作を指導しないと圧潰の進行や疼痛の増悪を引き起こす可能性があります.

日常生活上で前屈姿勢を回避した姿勢が可能となれば,起立・歩行を許可し,トイレは洋式トイレのみ,入浴は硬性コルセットへの変更後にコルセットを外したうえで,立位でのシャワーのみが許可されることが多いです.

特に入浴動作についてはどこまで許可するかが意見が分かれるところですが,立位でのシャワーが困難な場合には,入浴用の簡易コルセットを装着した上で坐位でシャワーを行うことを許可する場合もあります.

 

一方で2週間ベッド上安静を徹底して行うことで,有意に骨癒合が得られたとする報告もあり,圧迫骨折部の評価が適切に行われていない段階で早期離床を行うと,骨癒合不全を加速させてしまうため,ベッド上安静が重要とする見解もあります.

 

結局のところ離床を早期化することにより圧潰変形・骨癒合不全・偽関節が出現しやすくなるといったリスクと,離床を早期化さすることにより廃用性筋力低下・肺合併症等の合併症を予防できるといったベネフィットのバランスをどう考えるかということだと思います.

リスク・ベネフィットのどちらに偏っても問題となりますので,クライアントの状況に応じて離床期間を決定する必要があります.

 

 

 骨癒合を妨げない臥位姿勢とは? 

ベッド上安静といっても,フラットなベッドで長時間背臥位になっていては,骨癒合を進めることはできません.

完全なフラットなベッドにおける臥位姿勢では椎体の上縁に重力による圧着力が加わらず骨癒合が進展しにくいわけです.

骨癒合を進行させるためには,ベッド上でも適度な圧縮力を加えることが重要となります.

ギャッジアッフ°で20~30°程度起こすと椎体は水平化する方向に傾斜するため,骨癒合の進展や偽関節発生の抑止効果として有利となります.

側臥位は前壁を中心とした圧迫骨折であれば離解刺激が加わりにくいため,背臥位よりも有効です.

骨癒合を進める視点でどういった臥位姿勢で安静にしてもらうかを考えることも重要です.

 

今回は脊椎骨折の外固定期間と離床のタイミングについて考えてみました.

われわれ理学療法士の立場としては離床を進め日常生活動作能力の向上をと進めたいところですが,やはりベースには骨癒合を妨げないといった視点が重要だと思います.

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