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理学療法士・作業療法士にとって敬語以上に重要なクッション言葉
皆さんは「クッション言葉」をご存知でしょうか?
クッション言葉というのは,ストレートに言ってしまうときつくなりがちな言葉の衝撃をやわらげてくれる働きをもつ言葉です.クッション言葉を使うことで相手への配慮や思いやりを示すことができ,言いにくいことも言いやすくなるわけです.
例えば理学療法士・作業療法士が看護師に頼みごとをする際に看護師に負担をかけてしまう心苦しさ,あるいは看護師からの要望を断るときの申し訳なさを伝えることができます.
クッション言葉が文字通りクッションになることで相手の気持ちも和らぎますし,同時に自分自身の気持ちの負担も軽減できるわけです
クッション言葉の使用例
具体的にクッション言葉を使用する場面にはどのようなシーンがあるか,またその際にはどのような「クッション言葉」を使用することが望ましいのか,以下の表で確認してみてください.
「クッション言葉」を使用する場面 | 具体例 |
ものを尋ねる | ・差し支えなければ
・失礼ですが ・ご迷惑でなければ ・おうかがいしたい(教えていただきたい)ことがあるのですが |
依頼する | ・恐れ入りますが
・お手数おかけしますが ・ご面倒でなければ ・ご都合がよろしければ ・お忙しいところ申し訳ありませんが |
断る | ・あいにくですが
・せっかくですが ・ご意向に添えず ・申し訳ありませんが ・心苦しいのですが |
改善してほしい | ・説明が十分ではなかったかもしれませんが
・私どもの説明不足だったかもしれませんが ・言葉が足りなかったかもしれませんが |
援助を申し出る | ・お力になれることがあれば
・私にできることがあれば ・もしよろしければ |
クッション言葉を具体的に使用する場面とは?
理学療法士・作業療法士が上記のクッション言葉を実際に使用する場面には,どのような場面があるでしょうか?
いくつか例を挙げてみますので,参考にしてみてください.
例1.PT・OT予約時間に大幅に遅れ,クライアントの待ち時間が長くなる場合
「大変申し訳ございませんが,〇〇分ほどお待ちいただくことになります」
「お忙しいところ申し訳ありませんが,お待ちいただけますか?」
クッション言葉を入れることで申し訳ないという気持ちが伝わるので「待ち時間が長くなる」というニュアンスの内容でも,クライアントが受ける印象は和らぎます.
例2.クライアントがテレビで見た体操を独自に行っているのをやめてほしい場合
最近は健康番組も増えておりますので,クライアントがよかれと思って体操をしていることってありますよね.
上手に伝えなければ気を悪くしてしまうこともあるでしょう.
そんな場合にもクッション言葉が便利です.
「私どもの説明不足だったかもしれませんが,その体操は〇〇さんにはかえって負担がかかると思います」
この場合には,事前にきちんと説明しておかなかった自分に非があるのであって決してクライアントに非はありませんというニュアンスを伝えることで,クライアントの気持ちを穏やかにできます.
例3.忙しそうな医師に質問したいとき
「お忙しいところ申し訳ありませんが,〇〇について教えていただきたいのですが」
「ご迷惑でなければ,先ほど教えていただいた〇〇について,もう少しうかがいたいのですが」
相手の時間を頂いて申し訳ないといったニュアンスを伝えることで,忙しい時であっても相手が受ける印象は全く違います.
クッション言葉が使えない理学療法士・作業療法士
病院でいえば特に医師というのは時間に追われていることが多いです.
われわれ理学療法士・作業療法士は医師から指示をもらう必要があるのですが,多忙の医師に指示をもらう場合には,医師の手が空いている時間を見計らって切り出すのが最低限のルールです.
さらにクッション言葉を使うことで現状を正しく把握を確認できなおかつ,「教えを乞いたい」という姿勢を示すことができます.
さまざまなクッション言葉を状況に応じて使い分けられるようになれば,クライアントや他職種,同僚・先輩・上司などとのコミュニケーションもよりスムーズに行えるようになるでしょう.
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