理学療法士・作業療法士が意外と知らないロコモ度テスト

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目次

理学療法士・作業療法士が意外と知らないロコモ度テスト

前回はロコモティブシンドロームの定義とその概念,疫学的なところをご紹介させていただきました.

ロコモティブシンドロームに該当するかどうかは,ロコモ度テストと呼ばれるテストによって判断が行われます.

今回はこのロコモ度テストについてご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

ロコモ度テストとは?

ロコモ度テストというのは,移動機能を評価するテストとして2015年に日本整形外科学会により発表されました.

ロコモ度テストは,①立ち上がりテスト,②2ステップテスト,③ロコモ25の3種目の計測結果から,項目で設定された臨床判断基準値を用いて,「ロコモ度1」と「ロコモ度2」を判定するテストです.

 

ロコモ度1というのは移動機能の低下が始まっている段階を指します.

通常は,①立ち上がりテストでどちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない,②2ステップテスト値が1.3未満である,③ロコモ25の結果が7点以上の場合を,ロコモ度1とします.

ロコモ度2は移動機能の低下が進行している段階を指します.

通常は,①立ち上がりテストで両脚で20cmの高さから立ち上がれない,②2ステップテスト値が1.1未満である,③ロコモ25の結果が16点以上の場合を,ロコモ度2とします.

 

 

 

ロコモ評価における立ち上がりテスト

ロコモ評価における,立ち上がりテストは両脚または片脚で自分の体重を垂直方向に移動する機能をみるテストであり,被験者の下肢筋力を反映する評価方法です.

40cm・30cm・20cm・10cmの高さの台から,片脚または両脚で立ち上がることができた一番低い台の高さを測定結果として記載します.

難易度は,一般に両脚40cm,30cm,20cm,10cm,片脚40cm,30cm,20cm,10cmの順序となります.

 

10・20・30・40cmの台を用意して,まず40cmの台に両腕を前に組んで,両脚は肩幅くらいに広げ,腰掛けます.

反動をつけずに立ち上がり,そのまま3秒間保持します.

40cmの台から両脚で立ち上がれたら,片脚でテストを行います.

左右どちらかの脚を上げた状態で,反動をつけずに立ち上がり,そのまま3秒間保持します.

この流れで30cm→20cm→10cmと進めていきます.

 

 

 

立ち上がりテストの臨床的意義

立ち上がりテストを開発した村永の報告では,立ち上がりテストの結果と最大等尺性膝伸展筋力が有意な相関を示しております.

またOgataらの研究においても,Kappa係数0.73と高い信頼性が報告されております.

最近の研究では立ち上がりテストは歩行機能や片脚立ち時間などその他の運動機能とも関連することが報告されており,立ち上がりテストは高齢者の下肢筋力を反映する有用な方法であると考えられます.

 

 

 

2ステップテストとは?

2ステップテストは,身体を水平方向へ移動する機能を評価するテストです.

2歩の最大歩幅を測定し,被験者の身長で除した値が2ステップ値となります.

テストを行う際には,ジャンプしないよう被験者に指示します.

またバランスを崩して転倒しないように介助者を配置する必要があります.

測定長は開始肢位の両側つま先から最終位のつま先までの距離をメジャーを用いて5mm単位で計測し,残りは切り捨てます.

測定長は左右脚各2回ずつ実施しその最大値を採用します.

測定に先立ち十分な練習をした後,転倒のリスクを配慮し近位監視で実施しました.

また杖と装具を使用している場合には装具のみその使用を許可します.

 

一般的に歩行能力評価として実施される10m歩行テストでは,直線で10m以上の測定空間が必要なことから,測定に際しては体育館やリハ室など測定可能な場所への移動が必要となります.

また地域や在宅においては10m歩行テストを行える場所が確保できないことも少なくありません.

 

 

2ステップテストの臨床的意義

2ステップテスト値は,歩行速度や6分間歩行距離と有意に高い相関があることが報告されております.

またOgataらの研究においても,級内相関係数0.84と高い信頼性が報告されております.

さらに実際の測定においても,歩行速度の測定ほど広いスペースを必要としないため, 2ステップテストは高齢者の歩行能力を簡便に評価する手段として有用であると言えます.

さらに10m歩行テストやTUG測定では比較的元気な高齢者の場合には,床効果(測定値が底打ちしてしまう)が生じてしまうといった欠点がありますが,2ステップテストの場合には床効果が生じにくいといった面でも,介入前後で測定値を比較する上で非常に有用です.

 

 

 

 

参考文献

1)村永信吾:立ち上がり動作を用いた下肢筋力評価とその臨床応用.昭医会誌61 :362-367, 2001
2)Ogata T et al:Development of a screening program to assess motor function in the adult population: across-sectional. Observational study.  J Orih Sci20: 888-895, 2015.
3)中村雅俊・他:地域在住高齢者の運動機能および要介護リスク関連指標としての立ち上がりテストの有用性.運動器リハ26:338‐345,2015.
4)村永信吾,平野清孝:2ステップテストを用いた簡便な歩行能力推定法の開発.昭医会誌63:301-308, 2003

 

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