内側型変形性膝関節症に対する下腿内旋エクササイズを含む運動療法の疼痛軽減効果

変形性膝関節症
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 内側型変形性膝関節症に対する下腿内旋エクササイズの疼痛軽減効果 

今回は北海道理学療法という雑誌に変形性膝関節症に関する興味深い介入研究がありましたので,こちらの研究をご紹介させていただきます.

 

 

 

 この研究の主旨 

この研究では,変形性膝関節症に対する下腿内旋エクササイズを含む運動療法・徒手療法が,身体機能に及ぼす即時的効果を明らかにすることを目的としております.

内側型膝 OA と診断された対象者を,下腿内旋エクササイズを含む運動療法・徒手療法を実施する群(内旋群)と,下腿内旋エクササイズを含まない運動療法・徒手療法を実施する群(対照群)にランダムに割り付けております.

観察因子は,膝関節痛(歩行時・立ち上がり時),膝関節可動域(屈曲・伸展・内旋・外旋),大腿骨内側顆間距離,膝関節周囲筋力(屈曲・伸展),10m 歩行時間,階段昇段時間となっております.

これらの測定を介入前後に実施しております.

結果ですが歩行時・立ち上がり時痛,膝内旋・外旋可動域,大腿骨内側顆間距離に交互作用を認め,内旋群で介入後に有意な改善を認めております.

内側型膝 OA への下腿内旋エクササイズを含む介入は,膝内旋可動域と動作時の膝関節痛や膝内反アライメントを即時的に改善させる可能性が示唆されます.

 

 

 

 内側型変形性膝関節症の膝関節キネマティクス 

内側型変形性膝関節症患者のスクワット動作中の膝関節キネマティクスは,膝関節屈曲全可動域において,正常膝よりも大腿骨に対して脛骨が外旋位であることが明らかにされております.

また変形性膝関節症の病期が進行するほど,膝屈曲20度以降の伸展運動中の外旋運動が減少する例が多くなることが明らかにされております.

このように変形性膝関節症に特徴的なスクリューホームムーブメントの異常に対して,膝関節の回旋キネマティクス正常化を意図した下腿内旋位でのエクササイズ(下腿内旋エクササイズ)が重要となると考えられます.

このような背景からこの研究では,変形性膝関節症例に対するスクリューホーム運動改善を意図した下腿内旋エクササイズを含む運動療法・徒手療法が,身体機能に及ぼす即時的効果を明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 研究デザイン 

本研究は,内側型変形性膝関節症を対象に,下腿内旋エクササイズを含む運動療法・徒手療法を実施した群(内旋群)と下腿内旋エクササイズを含まない運動療法・徒手療法を実施した群(対照群)に対する治療効果を比較した準ランダム化比較試験となっております.

 

 

 

 研究の対象 

2014 年 2 月から 2015 年 2 月までに変形性膝関節症と診断され,運動療法が処方された者となっております.

対象者の包含基準が,①一次性変形性膝関節症,②50-80歳の日本人,③Kellgren Lawrence 分類(K/L分類)Ⅲ以下となっております.

除外基準は,①下腿内旋エクササイズ経験者,②独歩不可能な者,③膝の手術歴を有する者,④リウマチの診断歴を有する者,⑤研究の理解が困難な者となっております.

 

 

 

 研究のプロトコル 

介入前にアンケートにて年齢,性別,身長,体重,BMI,K/L 分類,The Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)を調査しております.

アウトカムとして,膝関節痛(歩行時・立ち上がり時),膝関節可動域(屈曲・伸展・内旋・外旋),大腿骨内側顆間距離,膝関節屈曲および伸展筋力,10M 歩行時間,階段昇段時間を測定しております.

その後,リハビリ処方時点で対象者を内旋群と対照群にランダムに割り付け,運動療法および徒手療法を実施直後に再計測が行われております.

介入は各群 1 名の固定された介入者によって実施され,測定は対象者の割り付け情報を盲検化された介入者とは異なる2名(検査者 A・B)によって行われております.

 

 

 

 具体的な下腿回旋エクササイズの介入方法 

内旋群・対照群ともに座位および立位での膝内旋可動域改善を目的とした運動療法および徒手療法を実施しております.

内旋群の運動療法としては,リアライン・レッグプレス(GLAB 社製)を用いて下腿内旋エクササイズを行っております.

下腿内旋エクササイズは,膝関節 90 度屈曲位にて足部を固定した状態での下腿内旋運動を10回反復し,続いて下腿を内旋位とした開始肢位から膝関節を伸展するレッグプレス運動(膝関節伸展)を10 回反復,加えて足底面を床へ接地させたまま膝関節屈曲 60 度位まで膝を屈曲し,その位置から両股関節を外旋(開排)させて大腿に対して下腿の内旋を誘導し,その状態を維持したまま股・膝関節を同時に伸展させ,開始肢位に戻るニーアウトスクワットは動作を10 回反復しております.

対照群の運動療法は,変形性膝関節症に対して行われる股・膝関節の筋力トレーニングとし,両脚ブリッジ,straight leg raising

(SLR),大腿四頭筋セッティング,スクワットとしを実施しております.

 

 

 

 研究の結果 

歩行時・立ち上がり時痛および膝内旋・外旋可動域,大腿骨内側顆間距離に交互作用を認め(p<0.05),内旋群で介入後に有意に改善しております.

内旋群における介入前後での平均改善量は,歩行時痛が18.25 mm(p<0.001),効果量(d=1.00),立ち上がり時痛が 21.67mm(p<0.001, d=1.13),膝内旋可動域が 3.74°(p<0.001,d=1.33),膝外旋可動域が 4.07°(p<0.001,d=0.98)大腿骨内側顆間距離が 9.11mm(p<0.001,d=0.66)となっております.

歩行時・立ち上がり時痛および膝内旋可動域は,介入後に内旋群が対照群と比較して有意に良い値を示したており,介入後の両群間の平均値の差は,歩行時痛が 24.45mm(p=0.007,d=1.02),立ち上がり時痛が 21.51mm(p=0.05,d=0.88),膝内旋可動域が 2.92°(p=0.024,d=1.02)となっております.

膝屈曲・伸展可動域,膝屈曲筋力,階段昇段時間は,介入に主効果を認め,介入後に有意に改善しておりますが(p<0.05),交互作用はなく,膝屈曲筋力,10M 歩行および階段昇段時間は,群に有意な主効果を認め,内旋群が有意に良い値を示しておりますが(p<0.05),交互作用は認めておりません.

 

 

 

 この研究からわかること 

今回の研究では下腿内旋エクササイズによって即時的な疼痛軽減効果が得られている点が非常に興味深い点です.

これまでにも股関節・膝関節周囲筋力トレーニングによる変形性膝関節症の疼痛軽減効果が明らかにされておりますが,この研究では歩行時痛が介入前の VAS 25.2mm から介入後 6.9mm,立ち上がり時痛が介入前 33.3mm から介入後 11.6mm へと大きく改善しております.

変形性膝関節症例ではスクワット動作において正常膝と比較して大腿骨に対する脛骨の外方偏移および外旋が増加し,歩行荷重応答期に内旋運動が減少することが明らかにされております.

また歩行時の膝内反モーメント増加は疼痛を増加させますが,膝内反モーメントの増加には膝の内反および脛骨外方傾斜増加が関連するとされております.

下腿内旋エクササイズによって膝内旋可動域の改善により,膝内反アライメントに改善が得られ,膝関節の動作時痛軽減に繋がるものと考えられます.

 

 

 

 

これまで変形性膝関節症例の疼痛に対する特異的な介入の報告は多くありませんでしたので,こういった報告は非常に貴重だと思います.

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