機器を使った動作分析・運動分析

理学療法評価
スポンサーリンク
スポンサーリンク

 機器を使った動作分析・運動分析 

動作分析と言えば理学療法士・作業療法士の必須スキルとなりますが,一般的には動作・運動分析というと目で見て,立脚終期に骨盤が回旋しているとか,立脚初期に踵接地が無いとか,そういった定性的な評価を想像される方が多いと思います.

こういった定性的な評価は理学療法士・作業療法士がクライアントを評価するスキルとしては非常に重要ですが,一方で研究的な視点から考えると定量的な評価も欠かすことはできません.

今回は機器を用いた動作・運動分析について考えてみたいと思います.

 

 

 

 2次元動作解析装置による動作分析・運動分析 

機器を用いた動作・運動分析というとVICON等の3次元動作解析装置を用いた動作・運動分析を想像される方も多いと思いますが,実は限界はあるものの市販のデジタルカメラを使用して2次元レベルで動作解析を行った報告も増えてきております.

2次元動作解析では,デジタルカメラ1台を三脚で固定し,分析した平面から撮影した画像を事後処理する方法が一般的です.

デジタルカメラの撮像される動画の周波数や,解析ソフトの解析のサンプリング周波数を考慮して撮影する方法が用いられます.分析できる面は限られますが,簡易に撮像・分析でき,臨床的に活川しやすい方法だと言えます.

 

 

 

 2次元動作解析装置による動作分析・運動分析の適応・利点・欠点 

一平面上の動きで比較的動作が速くなく,複雑でない動作の解析が適します.

リハビリテーションの現場では,立ち座り動作,歩行は矢状面上からの撮影で,屈曲・伸展の解析は可能です.

簡易的なマーカセットを用いた研究が多く報告されております.

利点としては,特別なキャリブレーションを必要とせず,撮影・分析が可能な点です.

また一平面上の解析のため,デジタルカメラ1台で撮像したデータで解析可能です.

ただし3次元動作解析装置と比較すると取得するサンプリング周波数が少なく(一般的にデジタルカメラで30Hz程度),,素早い動作の解析には不向きです.

最近はハイスピードカメラを用いた報告も増えてきておりますが,スポーツなどの3次元の動きが多い動作の解析は困難です.

また, デジタルカメラの機種や,三脚の位置・角度・ズーム・マーカの貼付箇所などの撮影条件を一定にする必要があります.

それ以外に,ビデオカメラを用いた動作分析ではレンズ特有の歪み,カメラ自体やコンピュータに取り込む際のサンプリング周波数が問題になります.

2次元動作解析ではカメラに対して直交した動きは正確にデータを収集できますが,動画の端に寄った動きの解析は誤差が生じるので注意が必要です.

 

 

 

 2次元動作解析装置による動作分析・運動分析における解析方法 

2次元動作解析装置による動作・運動分析の解析方法として,よく用いられているのは,無料の画像処理ソフトウェア(ImageJ)やMotion Analysis toolなどを利用して解析する方法です.

最近ではKinoveaと呼ばれるマーカーを自動追跡してくれるフリーソフト使用されるようになってきております.

 

 

 

 3次元動作解析装置による動作分析・運動分析 

デジタルカメラ2台以上から得られた動画を専用のソフトで解析する方法と,複数台の赤外線カメラで搬像して分析する方法があります.

近年,反射マーカを使用しないで計測する方法や, Kinect(Microsoft)で簡易的に撮像する方法などが開発されております.

表面マーカ式動作解析装置は, Vicon(CRESCENT)をはじめとして複数の機種があります.

体表に反射マーカを貼付ることで計測可能であるため,被験者に対する侵襲は少ないといった利点があります.

赤外線カメラは焦点距離が長く(通常10m),複数のカメラを使用することでかなり広い計測空間を確保できるため,自然な運動を計測することが可能となります.

さらには床反力計や筋電計を同期して用いることができるため,関節にかかる力学負荷や関節周囲筋の筋活動を同時に評価できるなど拡張性も高いのが特徴です.

 

 

 

 3次元動作解析装置による動作・運動分析の適応・利点・欠点 

3次元動作解析装置による動作・運動分析では,基本的にすべての動作の解析が可能です.

カメラの台数や性能により動作速度や複雑さが異なります.

またマーカの貼付方法でも計測できる動作が異なります.

近年は撮影方法やマーカセットの工夫により,複数人同時計測が可能となり,介助動作の研究やダンスの研究など,2名以上の動きを解析することも可能となっております

また,さまざまなオプションソフトがあり,研究者がセグメントを定め任意の動きから関節モーメント・パワーを計算できるといった利点もあります.

一番の欠点は,カメラ1台が数百万円するなどシステムが高価であることが挙げられます.

また動作とともに皮膚は動くため,立位姿勢で貼付したマーカによる誤差(skin motion error)を考慮する必要があります.

マーカの誤差はポイントクラスター法などの開発により,一つひとつのマーカの動きによる誤差を軽減できるようになりました.

 

 

 

 データの正規化 

これは3次元動作解析に限ったことではありませんが,1回の計測では再現性が高い波形やデータが得られません.

そこで反復測定した複数のデータを加算平均し表示します.

同じ動作であっても動作にかかる時間は施行ごとに多少異なるため,時間軸を正規化する作業が必要となります.

また動作分析と床反力,筋電図解析など複数の機器を用いた計測を実施する際は,筋電図は取得するサンフリング周波数は1,000Hzで動作分析装置は200Hzなど異なります.

そのためデータをそろえて分析するときに最も少ないサンプリング周波数の倍数に設定しておくと,データ処理がしやすくなります.

しかし取得するサンプリング数が少ないと速い動作の分析には不向きとなります.

どのような動作や動きの分析が必要か,特に複数データを取得する際は最も低いサンプリングで取得する機器やデータに依存する傾向がある点に注意が必要です.

 

 

 

 

今回は機器を用いた動作・運動分析について考えてみました.

2次元動作解析については臨床でも実践可能なので,動作を定量化する上では,方法論を確立しておくことが重要です.

また3次元動作解析については臨床で実践する機会は少ないかもしれませんが,論文や学会発表で動作解析の研究内容を理解する上では,最低限の知識を整理しておきたいところだと思います.

コメント

タイトルとURLをコピーしました