2018年ケアマネ受験者数が激減,介護業界に激震 PT・OTへの影響は?

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 ケアマネ受験者が激減,介護業界に激震 

厚生労働省発表によりますと,今年度の介護支援専門員(ケアマネージャー)の実務研修受講試験を受験者は全国で4万9312人であり,13万1560人だった昨年度の37.5%にとどまったとされております.

 

グラフを見ても非常に激減しているのがわかると思いますが,6割近くも受験者数が減っております

これまでの試験の介護支援専門員(ケアマネージャー)受験者は過去10年,概ね13万人台から14万人台で推移してきております.

2016年度は12万5000人まで減少しておりますが,ここ数年10万人を下回ることはなかったわけですが,今回は5万人を下回ったわけですから異常事態です.

これは高齢化とともにさらに介護保険利用者が増えることが予測される状況を鑑みると,非常に危機的な状態だと考えられます.

特に介護分野で勤務する理学療法士・作業療法士にも全く影響がないとは言えないと思います.

 

 なぜこんなに受験者数が減ったのか? 

そもそも介護支援専門員(ケアマネージャー)の実務研修受講試験の受験資格にはルールがあります.

一番わかりやすい受験資格は,国家資格等に基づく業務経験5年ですが資格を所有しているだけでなく,「要援護者に対する直接的な対人援助業務」つまり,営業や事務ではない各資格本来の業務に従事している期間のみが対象となります.

該当資格としては医師,歯科医師,薬剤師,保健師,助産師,看護師,准看護師,理学療法士,作業療法士,社会福祉士,介護福祉士,視能訓練士,義肢装具士,歯科衛生士,言語聴覚士,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,柔道整復師,栄養士,管理栄養士,精神保健福祉士などが挙げられます.

この国家資格取得者に加えて相談援助業務経験を5年有する,介護資格(ヘルパー等)+介護等業務経験5年,無資格でも介護等の業務経験が10年以上あるといった基準があったのです.

しかしながら2018年から相談援助業務経験を5年有する場合にも受験資格を与えられる条件が厳格となりました.

さらに介護資格(ヘルパー等)+介護等業務経験5年や,介護等の業務経験が10年以上(無資格)といった条件が受験資格から外されたのです.

この制度改定によって,介護支援専門員(ケアマネージャー)の実務研修受講試験の受験資格を得られる人がかなり限定されたわけです.

「介護等業務経験10年以上」で受験できる最後のチャンスだった昨年は,その前の年と比べて受験者数が6975人多かった点を踏まえると,やはり今回の受験者数の激減は制度改定による影響が大きいものと思われます.

実際には介護支援専門員の元資格というのはおおよそ7割弱が介護福祉士,看護師が5%程度となっており,理学療法士・作業療法士はその他の10%程度の中の1%前後にすぎません.

残りはというと実は「介護等業務経験10年以上」で全体の15%程度を占めております.

つまりこれまで介護支援専門員(ケアマネージャー)になる方の多くが介護福祉士または「介護等業務経験10年以上を有する無資格者」であったことになります.

なぜこういった改訂が行われたかについては,いろいろと意見がありますが,社会保障費の増大の一因が介護支援専門員(ケアマネージャー)の質の低下によるものではないかといった見方もあり,介護支援専門員(ケアマネージャー)の質の担保を図るために,こういった制度改定が行われました.

 

 受験者数だけでなく勤務するケアマネージャーは今後減少する? 

皆様もご存知の通り,政府は年間約1,000億円の財源を投入し、2019年10月より勤続10年以上の介護福祉士に対して「月額8万円相当」の賃上げを行うことを発表しております.

これは介護業界にとっては数少ない明るいニュースの1つです.

さて介護支援専門員の処遇はどうかと申しますと…

2018年10月31日の社会保障審議会介護給付費分科会の議論の結果,居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)は処遇改善の対象とならないことがほぼ確実となりました.

今のところ「施設ケアマネ」についてはまだ「更なる処遇改善」の対象となる可能性が残されております.

つまり介護福祉士から介護支援専門員(ケアマネージャー)になる金銭的なメリットが少なくなったと考えることができます.

人によっては介護支援専門員として働いているけど,処遇改善の8万円を頂けるのであれば,介護福祉士に戻って働こうかと思う方がいても当然だと思います.まだ勤続年数10年以上という基準の具体的なところが示されておりませんので,このあたりはもう少し様子を見る必要性がありそうですが…

ただ介護支援専門員(ケアマネージャー)ってわれわれから見てても本当に大変そうです.

休日に呼び出しというのも頻繁にありますし,実務者研修はも44時間から87時間と倍の時間になっています.

担当する業務は幅広く「何でも屋」みたいになってしまってます.

その中でこの待遇であれば介護福祉士に戻ろうかという方が多くなりそうですね…

 

 理学療法士・作業療法士への影響は? 

介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を持っていない理学療法士・作業療法士には大きな影響はないと思います.

今後,介護支援専門員(ケアマネージャー)が絶対的に減少することが予測されますので,介護支援専門員(ケアマネージャー)資格を有する理学療法士・作業療法士もターゲットになる可能性があります.

施設側から「理学療法士・作業療法士は増加しており雇用するのは簡単だから,介護支援専門員(ケアマネージャー)をもった理学療法士・作業療法士に,介護支援専門員(ケアマネージャー)として勤務してくれないか」といった依頼がある可能性も考えられます.

介護支援専門員(ケアマネージャー)というのは年齢を重ねてからの理学療法士・作業療法士の1つの働く形だとも思いますが,理学療法士・作業療法士以上に待遇が悪いので…

介護領域で勤務されている方の職場ではここ数年でいろいろと大きな変化が起こりそうですね.

 

 

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