理学療法士に政治活動は不要?

働き方
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令和元年7月に参議院選挙が行われます.

ご存じの方も多いと思いますが,日本理学療法士協会からも「田中まさし」氏が出馬されます.

日本理学療法士連盟でもこの「田中まさし」氏を支援すべく,個人カードの作成が始まっております.

政治活動って皆さんどういった印象を持っていますか?何か面倒くさいなとか,私は政治なんて興味が無いといった理学療法士の方も少なくないともいます.

今回は理学療法士の政治活動についてかんがえてみたいと思います。

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目次

 理学療法士になぜ政治活動が必要なのか? 

皆さんは政治活動の必要性についてどうお考えでしょうか?

私自身も数年前までは政治活動なんかしなくても,日々の臨床の中でしっかりとクライアントと向き合って,個々の理学療法士が結果を出せば,理学療法士の社会的地位は保たれるものだと考えておりました.

 

また理学療法の科学的根拠の裏付けになる学術論文をたくさん出せば,社会も理学療法士を認めてくれるのだといった浅はかな考えをもっておりました.

 

しかしながら世の中といのはそんなに単純ではありません.

例えば理学療法士が運動器疾患の方に20分の理学療法を提供すると,1,650円がクライアントから頂けるわけですが,この1,650円ってどうやって決まっているかご存知でしょうか?

20分の単価というのは診療報酬で決定されるわけですので,理学療法士はエビデンスも多く出しているし,社会的にも多くの高齢者の役に立っているからもう少し20分あたりの単価を上げましょうなんて話にはならないわけです.

 

 

 

 

 

 

 診療報酬ってどうやって決まるの? 

そもそも診療報酬改定は、医療サービスの対価を定めるものですが,定めるにあっては中央社会保険医療協議会(中医協)と呼ばれる厚生労働大臣の諮問機関で議論されます.

 

この中医協は医療従事者・保険者・公益委員の3つのグループからなる審議会なわけですが,簡単に言えばこの中医協の議論の中に理学療法士の議員が入っていなければ,各種業界団体の政治的な力や交渉によってリハビリテーション関連の財源配分というのは低いものとなってしまうでしょう.

 

 

 

医師にしても看護師にしてもどの専門職にあっても自らの業務が国民の健康や生活を支えているとの認識はあるでしょうし,自らの待遇や生活を守り向上させたいと思うことは当然のことです.

 

そのため各専門職団体は国政に専門職を送り,望む方向へ政策を誘導させようとするわけです.

現在の診療報酬等をみれば看護師の政治力の強さは目を見張るものがあります.

診療報酬に定められている看護師の人員配置の要件や認定看護師関連の加算なんかは理想ですよね.

看護師不足がメディアでも報道されておりますが,日本看護協会・連盟は看護師の看護師が不足する様な制度を作り,看護師の希少価値が高まる様な制度を作り上げているわけです.

 

 

理学療法士そして国民生活にとって望ましいと考える医療や介護,保健などのサービスを提供する政策へと誘導し,リハビリテーション関連の財源を確保するためには,理学療法士を国政に送り,国政に送られた理学療法士が代弁者として国政の場で主張をしていく必要があるわけです.

すなわち理学療法士の社会的地位を向上させるためには,政治活動が必要なわけです.

 

 

 

 

 

 

 理学療法士連盟と理学療法士協会って何が違うの? 

日本理学療法士協会というのは,理学療法による社会貢献を行う公益団体という側面と,理学療法の探究と教育を行う学術団体という側面,そして理学療法士の利益を守るための社会的活動を行う利益団体といった3つの側面を持ちます.

利益団体としての社会的活動の中には,理学療法士の専門性の認知のための啓蒙活動や,適正な評価や職域を得るための政治活動などがあるわけです.

診療報酬へわれわれの意思を反映させるには,厚生労働省や他団体に対し渉外活動を行う必要があるのですが,協力してくださる国会議員がいなければわれわれの声は届きません.

 

国会議員の協力を得るためには,その国会議員(候補者)を選挙で当選させるための選挙活動をすることが求められるわけですので,日本理学療法士協会は公益社団法人であるため選挙活動ができないわけです.

 

そのため選挙活動を行うための団体として理学療法士連盟があります.すなわち理学療法士連盟というのは日本理学療法士協会が行う政治活動に必要な国会議員の協力を得るための選挙活動を行う団体ということになります.

政治連盟を作って活動をしているのは何も理学療法士だけではありません.

看護師の団体としても日本看護連盟がありますし,医師も政治連盟を作って活動をしております.

組織が異なりますので協会と合わせて連盟にも所属する必要があるのです.

 

 

 

 

 当選するだけでは政治力が足りない 

平成31年7月に参議院選挙が行われます.

前回の小川かつみ氏の際には見事当選を勝ち取ったわけですし,あれ以降会員も増えているので,今回の選挙は簡単に当選できるのではないかとお考えの方もおられるかもしれませんが,そんな簡単な話ではないようです.

仮に当選したとしても,できるだけ上位当選しないと,政党の中で重要な仕事がもらえなかったり,支援団体(理学療法士やリハビリ関連)の要望を政策に入れてもらいにくくなるようです.

 

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 強い意志が無いと政治家にはならない 

前回出馬された現参議院議員の小川かつみ氏にしても,今回出馬を予定されている田中まさし氏にしても元々社会的な地位を確立されている方々です.

こんなことをいうと失礼かもしれませんが,お二人とも理学療法士の職を辞めてゆっくりと畑でも耕しながら老後を過ごしてもよいわけです.

政治家なんかになれば寿命を縮めます.私が同じ立場であれば,まずできません.

 

私自身はお二人の講演を何度か聴講したことがありますが,お二人とも理学療法に対する愛や強い思いがあり,理学療法を守りたい,若い理学療法士を守りたいといった強い意志を持っておられます.

理学療法士としての職を辞され,ゆっくりと過ごしていても理学療法やリハビリテーションの今後がどうなろうがご自身の生活には直接的に大きな影響はないわけです.

 

私が理解できないのは,そんな方々が,若い理学療法士のために身を削ってまで国政に出馬されているにもかかわらず,若い理学療法士が政治活動に全く興味が無いといった状況です.

世代なのかもしれませんが,今の20代の方の将来のために60歳を超えた方々が尽力して下さっているわけです.

もう少し協力しましょうよ,自分たちの未来がどうなっても知りませんよ.

 

 

現在,養成校で勉学に励まれている学生さん,20代の理学療法士の方々,もう少し自分の未来について考え,政治活動に参加する意義を考えてみてください.

たった1人国政に出たところでとか,協会関連の理学療法士が出馬しても自分たちの意思は反映されないといった思いをお持ちの方も少なくないと思いますが,理学療法士の議員が国政に立つことはプラスにはなってもマイナスにはならないと思います.自分たちの将来です.

この記事を通じて,若い理学療法士の方々が,改めて今後のことを考える機会になれば良いなと思います.

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