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他職種と理学療法士・作業療法士の対象者との関わり方の違い~リハビリ専門職は相談しやすい存在である~
少しぼやっとしたテーマですが,今回は医師や看護師といった他職種と,理学療法士・作業療法士の対象者との関り方の違いについて考えてみたいと思います.
私の実際に働くまではこういったことを意識することがありませんでしたが,十数年働いていると理学療法士・作業療法士の関わり方は他職種とはずいぶん異なるものだと日々実感しております.
他職種の方がこの記事を見ると不快に思われることもあるかもしれませんが,あくまでバイアスのかかった私見であるといったところでご理解いただければと思います.
医師の対象者へのかかわり方
われわれリハビリ専門職から見た他職種の代表といえば医師や看護師だと思いますが,まずは医師と対象者との関り方について理学療法士・作業療法士の視点で考えてみたいと思います.
医療従事者の中で最も不足していて多忙なのは医師であることは言うまでもありません.
医療機関に勤務する勤務医はしかり,開業医の医師も日々の診療の中で多忙を極めておられます.
対象者との関り方は医師の中でも当然個人差があるわけですが,時間で考えてみますと非常に短いものです.
外来でも対象者と医師がかかわりを持つのは数分ですし,入院されている方になると1週間に1度しか医師と顔を合わせていないといった方も少なくない施設もあると思います.
特に勤務医というのは数十人の入院患者さんを担当し,加えて手術や外来業務を行っているのですから,対象者と接する時間が短くなるのも致し方ないところがあると思います.
また高齢者にとっては,医師は神様のような存在で,医師が部屋に来ても緊張して確認したかったことが言えなかったといった場合も少なくありません.
看護師の対象者へのかかわり方
医療機関に勤務する看護師というのは3交代で夜勤をされていたり,土日祝日は交代勤務をされていることが多いと思いますので,患者さんの中にはあの看護師さん久しぶりに見たとかそういった声を耳にすることも少なくありません.
また看護師には部屋担当というのがあり,1日のスケジュールの中で病室間を動き回る必要がありますので,30分以上1人の時間患者さんと接するというのは緊急でもない限り日常的には難しい仕事だと思います.
特に急性期の医療機関に勤務する看護師はテキパキ対応する必要がありますので,そのテキパキさが患者さんからすれば看護師さんも忙しそうでと相談しにくさにつながったりします.
理学療法士・作業療法士のかかわり方
では理学療法士・作業療法士等のリハビリ専門職はどうでしょうか?
施設形態によって差はあるでしょうが,個別リハビリテーションを行う場合には,われわれリハビリテーション専門職は数十分の間,対象者とマンツーマンで接することになります.
医療機関で考えますと3単位のリハビリテーションを提供する場合には,1時間といった長い時間対象者と時を過ごすことになります.これは他職種にはないわれわれの関わり方の大きな特徴だと思います.
一定時間患者さんと過ごしていると患者さんはいろいろな相談をしてくださいます.
入院中の悩みであったり,今後に対する不安であったり,実は看護師さんよりもリハビリ専門職が先に患者さんのいろいろな訴えを耳にするといったケースも少なくないと思います.
「言いにくいんだけど隣の人のいびきがうるさくて」とか,「先生はこういったんだけど実はまだこの部分が気になるんだけど」とかいろいろな相談を受けます.
もちろんリハビリテーション以外の相談はわれわれにはどうすることもできなかったりするわけですが,傾聴してあげるだけでも患者さんは安心します.
また重要なのはこういった悩みを他職種と共有することだと思います.
一定時間対象者と関われるわれわれの有利なところを生かして得た情報を,他職種へ伝達するというのはわれわれの重要な使命です.
さらにわれわれ理学療法士・作業療法士は関節可動域運動等を通じて,対象者の身体に接触する機会も少なくありません.
こういったボディタッチもまた患者さんがわれわれに相談してみようと思う1つの理由だと思います.
今回はかなりぼやっとしたテーマにはなりましたが,対象者にとっては理学療法士・作業療法士は身近な相談役であるといったことを再認識して対象者の話に耳を傾けましょう.
そうすれば必ず対象者の信頼を勝ち取ることができますし,重要な情報を他職種と共有すればチームの一員としての信頼関係を築くことにもつながるでしょう.
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