変形性股関節症例におけるX線の診方①

変形性股関節症
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以前の記事でもご紹介いたしましたが,変形性股関節症の理学療法を考える上では,変形性股関節症の病期を考えることが重要となります.初期の股関節症と末期の股関節症では,理学療法を行う上で考えるとことも大きく異なってきます.病期はX線から判断できますが,X線からは病期のみならず,様々な情報を得ることができます.今回は変形性股関節症例におけるX線を診る上でのポイントについてご紹介したいと思います.

目次

股関節正面像の診方

変形性股関節症に限らず,股関節におけるX線写真の代表が股関節正面像です.股関節正面像から得られる情報を整理しておけば,変形性股関節症だけでなく大腿骨近位部骨折等の他の股関節疾患のX線を診る上でも有益です.両股関節正面像からは①脚長差・②骨盤前後傾の程度・③大腿骨の回旋・④股関節の求心性・⑤症例の活動性を把握することができます.

①脚長差

 

涙痕-小転子間距離の左右差を測定することで脚長差を測定することができます.涙痕-小転子間距離というのは両小転子の先端を直線で結び,この直線から左右の涙痕に向けて垂線を引き,この距離の左右差を測定します.

正確な脚長差を測定する上ではX線の前徴を測定する方法が最も勧められますが,簡易な方法としてはこの涙痕-小転子間距離の測定が有用です.この涙痕-小転子間距離は股関節内外転角度の影響を受けにくいといった利点もあり,臨床でも幅広く使用されております.

 

②骨盤前後傾の程度

骨盤腔・閉鎖孔の形状から骨盤の前後傾の程度を確認することができます.骨盤腔縦径長い場合には,骨盤が前傾していることになりますし,骨盤腔縦径が短い場合には骨盤が後傾していることになります.一般的に一次性股関節症例では骨盤腔縦径が短く骨盤が後傾していることが多く,二次性股関節症例では骨盤腔縦径が長く骨盤が前傾している症例が多いのが特徴です.

 

涙痕-小転子間距離の左右差を測定することで脚長差を測定することができます.涙痕-小転子間距離というのは両小転子の先端を直線で結び,この直線から左右の涙痕に向けて垂線を引き,この距離の左右差を測定します.

正確な脚長差を測定する上ではX線の前徴を測定する方法が最も勧められますが,簡易な方法としてはこの涙痕-小転子間距離の測定が有用です.この涙痕-小転子間距離は股関節内外転角度の影響を受けにくいといった利点もあり,臨床でも幅広く使用されております.

③大腿骨の回旋

小転子・大転子の見え方から大腿骨の回旋の程度を把握することができます.

④股関節の求心性

 

左骨盤臼蓋は外側が浅く寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全)が進んでいるのがわかります.そのため左大腿骨は頚体角が大きくなっており,求心性も低いのが見て取れます.

変形性股関節症例で求心性を代償できている場合には,頚体角が小さく内反股となっています.内反股では外転筋群のモーメントアームが長くなるので外転筋の筋力を発揮しやすいといった利点があります(大腿骨頸部へ加わる剪断力は高くなりますので大腿骨近位部骨折骨折では内反股は大きな問題となります)

 

⑤活動性

大腿骨骨幹部における骨皮質の厚さを確認することでおおよその活動性を確認することができます.

 

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参考文献

1)大宝英夫, 他: 涙痕間線と小転子を基準とした脚長差測定の精度に関する検討. Hip Joint37: 391-394, 2011

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