いつの間にか専門理学療法士取得のハードルがかなり上がっている件

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 いつの間にか専門理学療法士取得のハードルがかなり上がっている件 

今後,生涯学習プログラムが変更されることはこのブログの中でも何度かご紹介させていただきました.

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若い理学療法士の方は,まずは認定理学療法士の取得に向けて取り組まれているところかと思いますが,今回は専門理学療法士制度の変更についてご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 専門理学療法士とは? 

認定理学療法士に比較すれば知名度がやや劣る専門理学療法士制度ですが,この資格は認定理学療法士資格の上位資格に当たる資格です.

これまで専門理学療法士資格の位置づけについてはあまり言及されておりませんが,これまでの日本理学療法士協会における様々な研修会での専門理学療法士の扱いを鑑みますと,専門理学療法士資格はその領域の複数の認定理学療法士を取得しているのと同等の価値があると考えられます.

例えば内部障害の専門理学療法士を取得していれば,呼吸・循環・代謝といった3領域の認定理学療法士を取得しているのと同等の扱いということです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 専門理学療法士の取得はもともと難易度が高い 

専門理学療法士資格を取得するためには,関連する560ポイントものポイント取得が必要となります.

ポイント数が多いだけではなくて,学術ポイントの中の原著論文のアクセプト,教育ポイントの取得に関しては非常にハードルが高く,限られた立場にある理学療法士しか取得できない状況です.

この点に関しては以前の記事でもご紹介させていただきました.

 

認定理学療法士・専門理学療法士って取得すべき?合格率は? 診療報酬への影響は?
日本理学療法士協会の認定・専門理学療法士制度ができてもう少しで10年が経過しようとしておりますが,皆様はこの制度をどうお考えでしょうか? 認定・専門理学療法士資格を有する自身の経験も踏まえながら,この資格を取得すべきかどうかについて考...

 

そのため昨年の専門理学療法士取得者は認定理学療法士取得者に比較するとかなり少ない状況です.

このようにもともと非常にハードルが高かった専門理学療法士制度ですが,2019年7月1日にさらに専門理学療法士取得におけるハードルが引き上げられております.

認定理学療法士制度に皆の注目が集められる中で,いつの間にか改訂されているといった状況です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何が変わったのか? 

一番の大きな変更点は学術ポイントの中の必須ポイントの条件です.

これまでは学術ポイントにおける必須ポイントは査読付きの雑誌への論文掲載が条件でした.

査読付きといっても雑誌によってかなり難易度に相違があります.

例えば日本理学療法士協会発刊の「理学療法学」は昔から査読が厳しいことで知られておりますが,理学療法科学会が発刊する「理学療法科学」などは掲載料を40,000円支払えば,最低限のラインをクリアしていれば簡単に掲載されます

これまでの専門理学療法士取得者の中にもこの理学療法科学へ論文を掲載し,専門理学療法士を取得したといった理学療法士が多かったわけです.

事実上,掲載料を支払って,専門理学療法士資格をお金で買っているようなものです.

ただ今回の改定では,学術ポイントにおける必須ポイントの条件が,査読付きの雑誌から,日本語論文では日本理学療法士協会が発刊する「理学療法学」,「Physical Therapy Research(旧Journal of the Japanese Physical Therapy Association)」のみに限定されたのです.

英文誌に関してはSCI・SSCIに登録されている雑誌への掲載でもポイント取得が認められておりますが,英文誌という時点でハードルがかなり高いことには変わりありません.

この2つの雑誌は非常に査読が厳しいわけですので,専門理学療法士取得のハードルがかなり上がったと言えます.

実際に年間におけるこれらの雑誌への論文掲載は40本程度です.

この40本の中でどれだけ専門理学療法士を取得していない会員からの新規論文投稿があるかが不明ですが,こういった状況から考えると新規の専門理学療法士取得者というのはほとんど出てこない状況になると思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なぜ専門理学療法士資格取得のハードルが上がったのか? 

なぜ専門理学療法士資格取得のハードルが上がったのかを考えてみたいと思います.

まずは日本理学療法士協会が現行の専門理学療法士数で十分だと考えていることが背景に考えられます.

認定理学療法士はまだまだ増やしても,専門理学療法士はこれ以上増やす必要が無いと考えているとも考えられます.

また日本理学療法士協会発刊の「理学療法学」,「Physical Therapy Research(旧Journal of the Japanese Physical Therapy Association)」への会員の論文投稿を増やすといった目的も含まれていると思います.

私も理学療法学の編集委員の先生とお話をさせていただいたことがありますが,理学療法学への投稿論文数が思ったよりも増えないといった問題がありました.

今回の制度改訂によって協会が発刊する雑誌への論文投稿を誘導する目的も大きいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 取得時期によって難易度がかなり異なる 

実は専門理学療法士制度創世記には原著論文が無くとも学会発表で資格が取得できた時代があります.

また2019年6月末まではいわゆるはげたかジャーナルへの論文掲載でも資格が取得できたわけです.

こう考えるとこれから専門理学療法士を取得する理学療法士と,それまでに専門理学療法士を取得した理学療法士の間ではかなり実力にも差があると考えることができるでしょう.

 

今回は専門理学療法士制度の変更についてご紹介させていただきました.

今回の改定でお金で専門理学療法士資格を購入することはできなくなりました

本当に実力のある理学療法士のみが取得できる資格になったという面から考えると,良い改定だとは思いますが,これまで取得した理学療法士と過去に取得した理学療法士の資格取得における難易度の差が気になりますね…

どの制度でもそうですが,やはり経験者が優遇されるような制度になっているところは否めませんね.

コメント

  1. […] いつの間にか専門理学療法士取得のハードルがかなり上がっている件今回の改定でお金で専門理学療法士資格を購入することはできなくなりました. 本当に実力のある理学療法士のみが […]

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