二次骨折予防に関する最新理学療法研究紹介

投稿者: | 2018年12月17日

昨年まで行われた日本理学療法士学会が,今年度から完全に分科会学会単独での開催となりました.

 

平成30年10月20-21日に福岡県で第5回日本予防理学療法士学会が開催されました.

 

今回はこの第5回日本予防理学療法士学会の一般演題の中から二次骨折予防に関連する面白そうな研究をいくつかご紹介いたします.

 

 

 理学療法士として橈骨遠位端骨折受傷者の二次骨折予防に向けた調査 

作業療法士が勤務する医療機関では,橈骨遠位端骨折例に対しては理学療法士はノータッチというケースが少なくないと思います.

橈骨遠位端骨折は他の脆弱性骨折に比べ初発骨折として発生する割合が高く,受傷年齢が若いといった特徴があります.

手首の骨折ですので受傷後も活動量はある程度維持されるわけですが,再転倒による二次骨折の危険性が高いのも事実です.

橈骨遠位端骨折例は後に大腿骨近位部骨折を受傷しやすいといった特徴がありますので,初回の橈骨遠位端骨折時から積極的に二次骨折予防に向けた介入を行う必要がありますが,実際にはその二次骨折予防に対する介入は適切に行われておらず,その予測因子も不明確です.

この研究では橈骨遠位端骨折受傷後5 年を経過した症例を調査し,受傷後の転倒歴と体組成,身体機能を調査しております.

対象は2010 年4 月からの24 ヵ月間に橈骨遠位端骨折を受傷し掌側ロッキングプレート固定術を行った148 例となっております.最終的に郵便・電話で評価を依頼し同意を得られた38 例を対象としております.

対象は全例が女性で評価時年齢は平均70.8 歳となっております.受傷後経過期間中の転倒の有無を聴取した結果,転倒を経験している者が9例(転倒群),転倒を経験していない者が29例(非転倒群)となっております.

調査項目は身長・体重・BMI・生体電気インピーダンス法(BIA)により算出した骨格筋量および体脂肪量・骨格筋指数(SMI),Timed Up and Go test(TUG)・Functional Reach test(FR)・2 ステップテスト・立ち上がりテスト・握力となっております.

合わせてAsian working group forsarcopenia(AWGS)のアルゴリズムを用い,両群のサルコペニア発症率を算出しております.転倒群・非転倒群間で調査項目を比較しております.

結果ですが対象の23.7%が橈骨遠位端骨折受傷後の5 年間で転倒した経験があり,転倒群では歩行能力,下肢筋力が有意に低下しているといった結果でありました.

よって橈骨遠位端骨折受傷者に対して,理学療法士が二次骨折予防を目的として身体機能向上の為に介入する意義があると考えられます

 

 

 

 転倒により橈骨遠位端骨折を呈した患者の身体機能と再転倒予防 

先ほどの研究は橈骨遠位端骨折例のその後の転倒経験を調査した報告でしたが,この研究は実際に転倒予防に関して介入した結果の方向です.

橈骨遠位端骨折は高齢者の4大骨折の中の1つですが,受傷機転としては転倒が多く,特に前期高齢者に多いといった特徴があります.

橈骨遠位端骨折のリハビリテーションでは上肢機能改善が中心となりますが,先ほどの研究でもご紹介したようにその後の再転倒も少なくないことから,受傷後の生活の質の向上には再転倒の予防が重要となります.

この研究では,65 歳以上の橈骨遠位端骨折などの上肢骨外傷疾患患者に対して上肢機能の改善に加え,転倒予防を目的として,身体機能評価から転倒する可能性のある場面やリスクの指導,自主トレーニングプリントを用いた運動療法およびバランス練習の指導が行われております.

介入の結果ですが,対象の1~2 ヶ月後の再転倒は0 件であったと報告されております.

この研究の残念なのは運動機能の変化を評価していないこと,追跡期間が非常に短いことです.

また対照群が設けられておりませんので,これでは介入効果が明らかになりません.

研究の視点としては非常に面白いと思いますので,もう少し長期的に転倒予防介入の有効性が示されると良いですね.

 

 

 

今回は二次骨折予防に関連する面白そうな研究をご紹介させていただきました.

橈骨遠位端骨折をはじめとする上肢骨折例は大腿骨近位部骨折の予備軍であることには間違いありません.

Stop at one,つまり初回骨折で終わらせることができるようにわれわれが積極的に関わることが重要ですね.

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