理学療法士必見 CPMの間違った使い方が非常に危険

人工膝関節全置換術
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目次

CPMの間違った使い方が非常に危険

CPM(Continuous passive motion)といえば人工膝関節全置換術後に使用されることが多い機器です.

この機械の歴史は非常に古く,理学療法士が少ない時代には関節可動域運動をこのCPMに委ねていた時代もあったのは事実です.

今回は人工膝関節全置換術後におけるCPMの使用について考えてみたいと思います.

 

 

 

CPM(Continuous passive motion)による関節可動域運動

以前の記事でもご紹介させていただきましたが,術後問題となりやすいのは組織間の癒着です.

中でも皮膚・皮下組織間の癒着と膝蓋上嚢の癒着が問題となります.

炎症期には組織の瘢痕化が助長されることが多く,急性炎症期には特に組織間の癒着を予防することが重要となります.

癒着を予防する上では,組織間の滑走性を維持するために関節運動を頻回に行う必要がありますが,理学療法士が関わることができる時間は24時間の中でせいぜい1~2時間程度が限界です.

理学療法以外の時間にまったく関節を可動させないと癒着が生じてしまうのは誰が考えてもわかることがです.

CPM(Continuous passive motion)を使用する1つの目的として,長時間持続的に関節を運動させることで癒着を予防できるといった点が挙げられます.

 

 

理学療法ガイドラインにおけるCPM

最近ではCPMの使用に関して否定的な意見も良く聞かれますが,CPMに関しては海外ではその有効性に関して多くの研究で検討がなされております.

理学療法ガイドラインでも,CPMの有効性について記述がありますが,これによると「TKA後CPMの使用は,関節可動域改善に有効であるが,臨床的意義は小さい」とされております.

CPM使用に関する無作為化比較試験によると,通常の理学療法士による介入のみと,CPMを併用した場合,術後3 か月の時点では屈曲角度,腫脹,機能,疼痛に有意差は認められなかったとされております.

また自動運動を中心とした理学療法と比較してCPMの有効性は短期的にも長期的にも認められなかったとする報告もあります.

またCPMの使用は,短期的には関節可動域の改善に有効であるが,長期成績には影響を与えず,CPMの長期使用は,関節可動域の改善にほとんど影響はないとする報告もあります.

まとめると,短期的には一部の論文で関節可動域改善効果が認められておりますが,長期的にはその効果・意義は乏しいと考えることができるでしょう.

CPMの使用については施設や術者によってさまざまだと思われますが,術後2週間程度,癒着予防を目的として実施する施設が多いと思います.

 

 

 

 

CPMによる可動域運動と理学療法士が行う可動域運動の違いは?

CPMによる関節可動域運動の目的は基本的には癒着予防です.

間違っても関節可動域を拡大させる目的でCPMを使用してはいけません

したがってCPMを使用する場合には,疼痛の無い関節可動域の範囲で長時間持続的に可動させることが重要となります.

無理なCPMの角度設定は防御性収縮や術後炎症を増強させ,逆に関節可動域獲得の妨げになってしまいます.

 

理学療法士が行う関節可動域運動の目的は言うまでもなく関節可動域の拡大です.

組織の伸張や滑走性改善を目的に行いますので,当然ながら時には疼痛を伴います.

 

CPMが精神的なストレスになっているクライアントも少なくありません.

CPMを行うというだけで,憂鬱な気分になって疼痛が増強するクライアントすら存在します.

あくまでCPMは癒着を予防するために疼痛の無い範囲で可動させるといった認識を持っておく必要があります.

顔をゆがめても,「痛い」と訴えても機械は止まりません.

クライアントにとっては恐怖でしかありません

間違ってもCPMを使って疼痛を我慢して可動域を拡大するといったことのないようにしたいものです.

 

 

 

 

参考文献

1)日本理学療法士協会,変形性膝関節症理学療法ガイドライン,2011

 

 

 

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