Honda歩行アシストって?

投稿者: | 2018年10月25日

最近のリハビリテーションの1つのトピックスと言えばロボリハ,すなわちロボットリハビリテーションでしょうか?HALなんかは前回の診療報酬改定で一部の対象者に限っては保険請求が認められたわけです.HALと合わせて最近よく耳にするのが,このHonda歩行アシストという歩行支援ロボットです.ロボットというと中枢神経疾患を対象として用いられることが多いのですが,このHonda歩行アシストに関しては整形外科疾患を対象としても使用効果が多く報告されております.今回はこのHonda歩行アシストについてご紹介したいと思います.

歩行再建 歩行の理解とトレーニング [ 大畑光司 ]

 Honda歩行アシストの概要 

Honda歩行アシストは,自動車メーカーで有名な本田技研工業が開発した歩行支援ロボットです.歩行障害のあるクライアントに対して,正常歩行パターンの学習を目的として用いられます.本田技研工業はHonda歩行アシストの開発の前から,ASIMOをはじめとした歩行研究を継続的に行っておりましたので,そういった経験を生かしてこのHonda歩行アシストが開発されたということになります.

Honda歩行アシストでは股関節角度センサーにより得られた歩行周期の情報に応じて股関節のモーターを制御し,モーターの出力によって,立脚期や遊脚期における適切な股関節の運動方向を誘導することで歩行運動を改善することを目的としております.HAL等の大型の歩行支援機器と比較して簡便に装着することができ,パワーアシストとしてではなく,歩行運動の「適切さ」を直接,体感させて指導できることがHonda歩行アシストの大きな特徴であります.2014年に国内50施設にて試験使用が行われておりますが,2015年11月よりリース販売が開始されております.

 適切な歩行の誘導 

円滑な歩行においては,倒立振子モデルで説明されるように運動エネルギーと位置エネルギーを効率よく変換することが重要となります.健常者を対象としてHonda歩行アシストを使用した調査でも,Honda歩行アシスト使用中に快適歩行で7.1%,最大歩行で10.5%酸素消費量が減少したと報告されております.Honda歩行アシストが直接的に作用するのは股関節のみであり,そのトルクは最大でも4Nmと小さいトルクなわけですが,効率的に歩行のタイミングを教示したことによって,全身の酸素消費量が減少するのではないかと考えられております.また高齢者を対象とした報告でも,Honda歩行アシストの使用によって,歩行速度が有意に増加したと報告されております.さらに生活期の脳卒中後片麻痺患者を対象とした報告では,Honda 歩行アシストの装着によって歩行の対称性に改善が得られたと報告されております.以上の報告をふまえると,Honda歩行アシストの使用によって適切な歩行の誘導が可能となり,歩行効率が改善するものと考えられます.

 

 Honda歩行アシスト装着による効果って持続するの? 

前述したようにHonda歩行アシスト装着による歩行効率の改善が,さまざまな歩行障害を有するクライアントを対象として,明らかにされているわけですが,気になるのは歩行アシストを外した後にどうなるかという点ですよね.Honda歩行アシストの装着による学習効果についてもいくつかの報告が散見されます.脳卒中後片麻痺例を対象とした報告によると,Honda歩行アシストを用いたトレーニングを継続的に行うと,Honda歩行アシストをoffした後であっても歩行対称性が有意に改善することが明らかにされております.すなわちHonda歩行アシスト使用によって適切な歩行誘導を行うと,使用後であっても学習効果が残存し,歩行効率が改善するというわけです.したがってHonda歩行アシストを用いた歩行トレーニングは適切な歩行パターンを再学習させるための手段として非常に有用であると考えられます.

 

 効果的な対象は? 

基本的にはHonda歩行アシストは,股関節のみを小さなトルクで誘導するツールですので,HALのように自立して歩行ができないクライアントに対して使用することはできません.少なくとも自力で歩行が可能なクライアントが対象となります.したがって歩行は自立しているものの,歩容の改善に課題のあるクライアントが主な対象となります.

臨床歩行分析ワークブック

今回はロボットリハビリテーションの中でも最近導入されることの多いHonda歩行アシストについてご紹介いたしました.Honda歩行アシストのリース料ですが,45,000円/月となっており,最低でも3年以上の契約が必要なようです.すなわち3年で162万円となります.あくまでリースですので,固定資産や備品として残るものではありませんので,これを高いと考えるか安いと考えるかは,いろいろと議論はあると思いますが,HALに代表されるような大型のロボットに比較すれば,現実的に導入が可能な機器と考えることができるのではないでしょうか?

 

文献
1)Shimada H, et al: Effects of an automated stride assistance system on walking parameters and muscular glucose metabolism in elderly adults. Br J sports Med42: 922-929, 2008
2)大畑光司: 「歩行アシスト」を用いたリハビリテーション.Clin Eng25: 149-153, 2014
3)大畑光司: ホンダ製歩行アシスト装置による脳卒中後片麻痺患者における歩行時の同時収縮の減少. Jpn J Rehhabil Med49,2012
4)Buesing C, et al: Effects of a wearable exoskeleton stride management assist system(SMA)on spatio-temporal gait characteristics in individuals after stroke: a randomized controlled trial. J Neuroeng  Rehabil12: 69, 2015

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