リハビリ業界では初?研究不正が発覚!

投稿者: | 2018年9月23日

ここ最近の医療に関連する研究不正といえば,「STAP細胞の論文の捏造や改ざん問題」や「ディオバン臨床研究不正事件」が記憶に新しいところだと思いますが,残念なことにリハビリテーション関連の研究不正が週刊文春の取材で明らかにされております.

今回はこの研究不正に関して考えてみたいと思います.ちなみにまだこの件に関しては真相が明らかにされておりませんので,それもふまえて記事をご覧いただければと思います.

 週刊文春の取材記事によると 

週刊文春の取材記事によると,慶応大学医学部が10年間研究開発を進めてきたBMI(Brain Machine Interface)治療器に関して研究不正がある可能性があるようです.

このBMIは「NHKスペシャル」でも取り上げられ,脳卒中による運動麻痺を回復させる「夢のリハビリ機器」として,われわれのリハビリテーション業界でも今後のますますの発展が期待されていた治療技術の1つです.

この危機に関して,NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構),文部科学省,AMED(日本医療研究開発機構),厚生労働省に研究不正に関する告発状が出されていることが、ジャーナリストの森省歩氏と週刊文春の取材で明らかにされたのです.

 

驚くべきは連名で告発している2名のうちの1人は,慶応大学名誉教授の千野直一先生だということです.

千野先生といえばわれわれの業界では知らない人はいないというくらいの有名なリハビリテーション医の先生のお一人です.FIMに関する書籍をはじめとしてさまざまな書籍も執筆されている先生です.

この千野先生が「BMIに関する効果の捏造」を告発されたようです.このBMIをめぐっては,文部科学省・厚生労働省厚労省・内閣府・NEDOなどから過去10年間の総額で20億円を超える公的研究費が支給されており,この告発が本当であれば大きな問題になりそうです.

 

 そもそもBMIって何? 

BMI(Brain Machine Interface)と聞くと肥満の1つの指標になっているBody Mass Indexを思い浮かべられる方も多いと思いますが,BMI療法というのは,脳と機械を連動させる機器であるBrain Machine Interfaceを用いた脳卒中片麻痺上肢機能障害に対する新しい治療法のことです.

BMI療法に関しては慶應義塾大学を中心にこれまでに脳卒中後の上肢機能障害に対する治療効果に関する論文が多く報告されております.特に脳卒中後の上肢機能といえば実用手まで改善することは非常に難しく,数年治療してもなかなか改善しないというのが実情だと思います.

元読売巨人軍の長嶋茂雄さんも,かなりの時間の機能訓練を受けておられますが,上肢機能の改善は十分に得られておりません.病態にもよりますが,このように上肢機能改善は難しいといった考えがわれわれの業界の中には暗黙知としてあったわけですが,このBMIはそういった限界を打破する夢の治療機器として期待が寄せられていたわけです.

 

 われわれへの影響は 

当然ながらこういった不正が本当であれば,一般の方から見ればリハビリテーションに対する失望感を持たれる方もいらっしゃると思います.

さらに研究倫理に関して今後ますます厳しい基準が求められることが予測されます.それでなくても大学病院などの一部の研究機関では,STAP細胞事件をきっかけに倫理審査委員会での研究計画受理までの手続きがかなり煩雑に,そして厳しいものとなりました.

今回の事件が本当であれば,今後ますますわれわれの業界における研究倫理が厳格なものとなっていくことが予測されます.われわれにとっては学術研究のハードルがさらに上がることになるかもしれません.

 

 

今回はリハビリテーション関連の研究不正について考えてみました.

こういった研究不正は何よりクライアントへの裏切り行為の何物でもありません.

障害を持ったクライアントはわれわれの治療技術の進歩に強い期待を寄せております.

今後この事件の真実も徐々に明らかになると思いますが,この件が本当であればわれわれの業界全体にとっても大きなマイナスだと思いますので,非常に残念でなりません.

 

 

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