二関節筋を考慮した関節可動域の測定~膝関節屈曲可動域制限の原因を考える~

理学療法評価

筋の短縮(伸張性の低下)を評価する場合に,一般的な関節可動域測定(二関節筋を緩めた肢位での測定)だけでなく二関節筋を伸張した肢位での測定を行うことによって,二関節筋の短縮を特定することが可能です.

今回は膝関節屈曲可動域制限について考えてみたいと思います.

 

 膝関節屈曲可動域制限の原因 

股関節伸展位での膝関節屈曲角度と股関節屈曲位での膝関節屈曲角度を測定し比較すると膝関節屈曲可動域制限の原因を特定しやすくなります.

股関節伸展位で膝関節屈曲可動域が小さく,股関節屈曲位で膝関節屈曲可動域が大きければ,膝関節伸展と股関節屈曲作用を持つ大腿直筋が短縮している可能性が高いと考えられます.

 

逆に股関節伸展位でも屈曲位でも膝関節屈曲角度が同じ程度制限されている場合には,大腿直筋の短縮はないと考えられます.

この場合には,単関節筋である内側広筋・外側広筋・中間広筋の短縮が膝関節屈曲可動域制限の原因と考えられます.

この3筋を見分けるのは非常に難しいのですが,伸張時の伸張痛や圧痛の部位により決定します.臨床上は3筋が同程度短縮している場合も少なくありません.

股関節屈曲位と伸展位で膝関節屈曲可動域が同程度制限されている場合には,筋の短縮だけではなく関節包の短縮,関節内運動の障害,骨の衝突(脛骨大腿関節・膝蓋大腿関節),浮腫や痛み,皮膚の伸張性の低下などの可能性も考えられます.

 

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 膝関節屈曲可動域制限の原因を特定する 

前述したように膝関節屈曲可動域を測定する場合には,必ず股関節伸展位と股関節屈曲位の2つの肢位で測定を行う必要があります.

症例①は股関節屈曲位よりも股関節伸展位で膝関節屈曲可動域が制限されており,end feelは軟部組織伸張性であります.

また患者は大腿前面に伸張痛を訴えているので,股関節屈曲と膝関節伸展の作用を持つ大腿直筋の短縮が,膝関節屈曲可動域制限の原因と考えられます.

 

 

 

症例②は股関節屈曲位と股関節伸展位における膝関節屈曲可動域がともに70°でありますので,大腿直筋の短縮は膝関節屈曲可動域制限の原因ではないと考えられます.

またend feelが軟部組織伸張性であること大腿遠位外側に疼痛を訴えていることから,外側広筋の短縮が膝関節屈曲可動域制限の原因と考えられます.

 

 

 

症例③についても症例②と同様に,股関節の肢位による膝関節屈曲可動域に変化はなく,end feelも無抵抗性であります.

さらに膝関節を屈曲しようとすると患者は疼痛を訴え,end feelがspasm性に変化することから,筋や関節内の問題ではなく,膝関節の疼痛によって膝関節屈曲可動域制限が生じていると考えられます.

 

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今回は膝関節屈曲可動域制限の原因について考えてみました.症例の可動域制限を考える上では,対象者の訴える疼痛部位や,end feel,解剖学や運動学的な特性をふまえて可動域制限の原因を考える必要があります.

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